It’s your city ロンドン ロンドン大学生活 Vol. 2

It’s your city ロンドン ロンドン大学生活 Vol. 1より

アメリカよりイギリス!

英国(スコットランドを除く)の大学が良かったのは、3年で学位が取れること(アメリカは4年)。一般教養課程がなく、1年目から専門科目を学べること。一般教養の興味がない科目を英語で勉強するのはかなりキツイですし、既に大学で専攻したい内容が決まっていたので、3年間専門分野のみで、その専門を深く掘り下げて学べることは、英国の大学の大きな魅力だと思いました。それから、アメリカと違い、留学生の週20時間以内のアルバイトが認められていたので、生活費を稼げるのも魅力でした。実際、勉強が大変でアルバイトの時間を捻出するのは難しいですが、大学在学中は、イタリアのクルーズ船を取り扱うイギリスの旅行会社でアルバイトもしていました。

ファウンデーションコースについて

ファウンデーションコースとは留学生のために設けられた大学進学準備コースのことです。イギリスの教育システムは、大学入学前の段階(six formと呼ばれる日本の高校にあたる過程で17~18歳までの2年間)で進学する学部の専攻に合わせ、専門分野の基礎も勉強するカリキュラムになっています。基本的にイギリス国内から入学する学生は、すでに専門分野の基礎課程を学んで大学1年生になります。実際、学部課程に進んでからイギリス国内から進学してきた学生たちの専攻分野の知識に驚きました。そのため、留学生が大学の授業についていけるように、アカデミック英語やエッセイ、論文の書き方、専門分野の知識を習得するために準備されているのがファウンデーションコースです。 そこでの成績と提出するエッセイの評価によって、行ける大学が決まります。日本で高校卒業後にイギリスの大学へ進学を希望する留学生は、ほとんどの場合、ファウンデーションコースは必須です。日本で大学を卒業後、マスター(修士課程)への進学を目指す留学生は必須ではありません。わたしは、日本で短大を卒業しましたが、大学入学には英語のスコアが足りなかったのと、英国での専攻はPolitics(政治学)と決めていたので、SOAS (ロンドン大学東洋アフリカ学院) のファウンデーションコース(ICC)に進みました。

SOAS University of London(ロンドン大学東洋アフリカ学院)のファウンデーションコースで学んだこと

SOAS University of London

SOAS University of London (以下、SOAS)は、ロンドンの中心部Bloomsbury(ブルームスベリー)地区、大英博物館のすぐ近くにある大学です。 大学進学準備コース(ICC)は10か月のコースで学期(セメスター)制。4科目(モジュール)を習得します。アカデミック英語、Understanding the Modern Worldの2科目は必修となり、大学で専攻したい分野に関連した選択科目 「政治、国際法、アート&文学、世界史、メディア・コミュニケーション、経済、ビジネス、開発学」 などの科目から2科目を選択します。
(参照2021年https://www.soas.ac.uk/ifcels/ugfoundation/
わたしは 1つは「政治(Politics)」 もうひとつは「国際法(International law)」を選びました。1学期ごとに4科目それぞれ2,000字のエッセイの提出、コースの終わりにはFinal Examがあり、とてもハードですが、かなり力がつきます。これは断言できます。

SOASのファウンデーションコースの魅力は、きめ細かに指導してくれる親身な講師陣だと思います。月並みな言い方に聞こえますが、Queen Mary, University of London (以下、ロンドン大学クィーン・メアリー)に入学し、如何にSOASのICCコースの講師たちが親身で頼りになり、そして優しかったか、のちに気づくことになりました。SOASの特徴でもありますが、日本人に慣れた教授や講師がたくさんいらっしゃいます。以前、ICCコースを修了してちょうど10年経ってファウンデーションコースの事務局(IFCELTS)を訪れた時、約60人在籍している講師のほとんどがまだ在籍していて大変驚きました。それだけ大学が安定して講師を雇用しているということです。 大学進学コースに特化した質の高いカリキュラムと、経験豊富で親身な講師たちが、名門大学への進学率を誇る所以なのだと思います。 わたしはICCに通っていた当時、その年の学生の中で最高年齢者でした。 18歳や19歳の世界中からの留学生と一緒に学ぶ経験は楽しかったですね。この時に一緒だった10歳近く年下の子たちとは今も仲良くしています。 

ロンドン大学クィーン・メアリーでの3年間と卒業まで

ロンドン大学クィーン・メアリー

ICC修了条件の60パーセントをクリアし、無事SOASのファウンデーションコースを修了。第1希望のQueen Mary, University of London (以下、ロンドン大学クィーン・メアリー)の政治学部からオファーをいただけたわたしは、晴れて、大学1年生となりました。嬉しかったですね。 ICCも大変だったので、もう半分やり遂げたくらい晴れやかな気持ちでしたが、本当の地獄はここからでした。 その年、政治学部に入学したのは約90人いて(このうち、卒業するまでに30人近くがドロップアウトで去っていた..)日本人は、私ひとりでした。日本人どころか、アジア人が!!1人も!!いませんでした。ええぇぇ…大都市ロンドンの大学で、アジア人がひとりもいない学部ってあるのか?!Queen Maryの学生は45%以上が留学生という中で、私が入学した年の政治学部はほとんどがEU圏内からで、国内のイギリス人のほかには、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、イタリア、フランス、スペイン、そしてロシア、東ヨーロッパ、中東からの生徒でした。

Politics Department

一番辛かったのは入学後最初の何か月間。科目ごとに90分の講義のあと、2クラスに分かれてディスカッションクラスがあるのですが、その日その日のお題があり、リーディングリストにあった文献を事前に予習しグループで40分ほどディスカッションするのですが、もう自分だけが異空間にいるとしか言いようがない、一言も発言できないどころか、お題さえわからない、講師が何を言っているかわからない、質問がわからない、クラスメートたちがなぜ笑っているのかわからない、泣きそうでした・・・・永遠の40分。 最初の頃はディスカッションクラスのあと、トイレでよく泣いていましたね。泣いても仕方ないのはわかっていたけれど、涙が勝手に出てきてしまう。

だいたい、英語でEUの政治について、イギリス政治について、生まれも育ちもイギリス国内やEU圏内から来ている学生たちと議論をするなんて。あたしは一体?ここで何をやっているんだろうー。イギリスやEU政治家の名前がポンポン議論で飛び交うなかに、まさか政党の名称さえ不十分。歴史背景も不十分。場違いとしかいいようがない。空気とならないようにするには?この40分を少しでも意義あるものにするには?一体どうすればいいんだろうー。各科目の大量の予習文献に加えて、課題(エッセイの提出期限)、一定の点数を取らなければ進級できない。落第するわけにはいかないと必死でした。とにかく、空気にならないためには、予習文献をひとつだけでもしっかり読み込んで、何かひとつでも、自分の意見を発言しようと目標を立てました。

ある時、クラスメートに、Ekko, how about Japan? (日本はどうなの?)と聞かれました。昨夜あれだけ文献読んできて発言しようとしていたところ、投げられた質問がお題と関係ない日本のこと?と思いました。そして、やっと、気づいたことがありました。 学部で日本人たった1人の私が、このクラスで貢献できることって、日本のことなんだ。イギリス政治の授業でも、ヨーロッパにしか興味なさそうな彼らが知らないこと、日本のことを比較して話していいのかもしれない。気づくのが遅くて恥ずかしい限りですが、目の前がパッと開けた瞬間だった。その日から文献を読んだ後、これは日本ではどうなっているのかを調べてから、ディスカッションクラスに臨みました。先に自分の意見を述べたあと、EUと日本の例を比較して説明するようにしたら、いつの間にか、発言ができるようになっていました。決して、流暢ではなかったけれど。日本のことなど全く興味がなく、世界はヨーロッパ中心に回っているとしか思ってなさそうな彼らの前で、今後日本に興味を持つか持たないか、日本への印象を決めるのはわたしかもしれない・・。 ここではわたし、日本代表。 遠く離れたイギリスで、これほど日本人というアイデンティティの重みを知った3年間はありませんでした。

Library

何より、必死なわたしを救ってくれたのは、同じ政治学部に一緒にサバイブする大切な友人2人が出来たこと。
ひとりはドバイ出身の女の子、もう一人はロシア出身の男の子。彼らは遥かにわたしより成績優秀で英語もネイティブ並みに流暢でしたが、勉強以外のリフレッシュする楽しい時間を作るのも上手でした。わたしたちは、3年間全ての科目で同じ授業を取り、山ほどの読むべき文献の内容を課題ごとにポイントをシェアして、政治的な答えのない議論を来る日も来る日も意見を交わし過ごしました。彼らのおかげで、モチベーションを保つことが出来、卒業できたのだと思います。

絶え間なく新しい価値観に出会う街、ロンドンの魅力

イギリスでは多くの美術館・博物館が入場無料ですが、例えば、ロンドンでは、大英博物館、テート・ブリテン、ロンドン・ナショナル・ギャラリー、V&A博物館、すべて入場無料。観光だと急いですべて欲張りに訪れたくなるけれど、気軽にいつでも何度でも訪れることができるのは住んでいることの醍醐味のひとつ。館内のフロアごと、じっくり何度も訪れて鑑賞ができるし、世界の名だたる劇場で活躍するアーティストの公演やオペラもクラシック音楽も驚くほど頻繁に上演され、安くチケットが手に入り、贅沢な時間を過ごすことができます。ロンドンの数多くの美しい公園を横切って街を歩けば、歴史的遺産、世界中に変革を起こしてきた歴史上の人物ゆかりの場所、銅像、記念碑などタイムスリップして歴史に出会うことが出来、思いを馳せることは感慨深いです。一方で、多種多様な人種が住むロンドンは、街中の至る場所で起きる民族・政治的デモを目の当たりにする機会も多く、今、世界で何が起きているか無関心でいられない環境こそが、ロンドンという街を一層多様性と受容性に満ちた社会にしていると思うのです。

終わりに

ロンドンの大学生活で常に刺激となっていたのは、ロンドンという街、様々な国籍の 「ロンドナー」達でした。彼らの寛容なこと、正直なこと、潔いこと。人口の4割近くがイギリス国外で生まれ、300以上の言語が話されているロンドン。その多様性は、自分が外国人だと忘れてしまうほどの居心地の良さ。国籍、肌の色、信仰、生まれや民族的背景問わず、my city, my homeだと感じさせてくれます。そのコスモポリタンな街の魅力が、ロンドンが醸し出す雰囲気や空気、心地よいサウンド、独特な香り、溢れるエネルギーとなって形成されている。めくるめくスピードで新たな出会いがあり、別れも突然やってくる。そして、再会を可能にしてくれる街。 今は、新型コロナウィルスの世界的拡大で訪れることが出来ませんが、ロンドンは永遠にmy home, your home. また自由に旅ができるようになったら、あなたも人生に一度はロンドン、いかがですか。 

When a man is tired of London, he is tired of life!
ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だー サミュエル・ジョンソン

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

Ekko

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こんにちは、初めまして!初めての渡英は高校生の時。その時から英国が好きで大学に進学し卒業。6年過ごしたロンドンは今も心の故郷。以来、毎年渡英しています。現在...

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