アウトドアを楽しむ、イギリスの夏のピクニック

英国の夏の美しさは言葉に尽くせません。午後9時を過ぎる頃ようやく日没を迎える夏は格好のアウトドアシーズンです。今年は1000年に一度と言われる異常気象のため40度を超える猛暑に見舞われたと聞きますが、通年だと真夏でも最高気温は25度から27度程度。湿度が少なく過ごしやすいため人々は時間を忘れて屋外で過ごします。

緑の中にピクニックのセッティングされたテーブルと2脚の椅子

英国の夏の風物詩、ピクニック

英国の夏の風物詩、ピクニックはアウトドアイベントに欠かせません。
豊かな森や草原でお弁当を広げて日がな一日過ごすことは心と体へのご褒美ですね。

イギリスのピクニックの歴史は18世紀半ばに始まります。時は優雅なジョージアン時代。カードゲームに興じ、お酒をいただきながら交流を深める場として貴族たちの間で流行しました。
その後、産業革命により都市部に人口が集中しロンドンの環境は著しく悪化しました。19世紀以降は生活水準が上がり、暮らしに余裕が出来た人々が大都会を抜け出し自然の残る郊外で過ごすため、お弁当を持って田舎へ出かけるようになりました。

ピクニックに欠かせないバスケット

ハンパーの中に用意されたピクニックのセット

ロンドンの老舗百貨店フォートナム&メイソンが1730年代後半にある富裕なお客様のリクエストに応えて美味しい食べ物をぎっしり詰めてピクニックハンパーを作ったことが始まりだと聞きます。
その時の中身はジビエのパイ。焼き立てパン。バター&チーズ。フルーツケーキ。ミネラルウォーターとビール。そしてフォートナム&メイソン発祥のスコッチエッグだったそうです。想像しただけでお腹が空いてしまいますね。

ピクニックに定番のサンドイッチ

ピクニックのフードは食べやすさを考えて詰めます。
基本的に指でつまめるフィンガーフード中心のメニューになります。

お皿にならぶミートパイ

サンドイッチやミートパイは欠かせません。

大人が楽しむピクニック

最後にご紹介するのはお洒落なマナーハウスオペラでのピクニックです。

イギリス郊外のマナーハウス

オペラの上演前にマナーハウスの庭園は広大なピクニック会場となります。

マナーハウスの広い庭園に建つマーキー(テント)

あらかじめ予約をしておけば写真のようなマーキー(テント)の中でお食事をいただくこともできます。

オペラの上演前にマーキーで楽しむピクニックの風景

正装した人々がお弁当のバスケットやカートを持って庭園内で過ごす姿は、イギリスならではの光景です。

マナーハウスの庭でオペラ上演前にピクニックを楽しむ人々の姿

オペラの幕間にいただくピクニックディナー。美味しさも格別です。

イギリスを訪ねるたびに伝統と文化を守る成熟した大人社会の風格を感じます。ここでは大人たちが遊ぶ場所が沢山あります。社交シーズンの夏は外で楽しむイベントが多く見られますがマナーハウスオペラでのピクニックはその最たるものです。
長い冬を迎えるまえのひと時を自然と共に過ごすイギリス人のライフスタイルは本当に素敵だなとしみじみ思います。


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荻野洋子

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