英国流クリスマスのティータイム風景

紅茶とともにカウントダウン!アドベントティー

光輝くクリスマスツリー、サンタクロース、そしてクリスマスケーキ…。
アドベントを迎えてからクリスマスまでの時間は、大人も子供も心躍るひとときです。
クリスマスといえば、キリストの降誕を祝う宗教的なセレブレーション。ひとことでキリスト教といっても、カトリックとプロテスタント、そしてイギリスの英国国教会では、祝祭にも少しずつ違いが見られます。

教会暦によると、クリスマスシーズンのはじまりはアドベントサンデー(待降節)。
12月25日の4週間前の日曜日からスタートしますが、イギリスの場合はその1週間前、スターアップサンデーから気分は盛り上がります。この日は、クリスマスデザートの主役、クリスマスプディングを仕込む日。部屋中にクリスマスの幸せな香りが広まれば、「今年もいよいよ、クリスマスがやって来る!」と実感します。

クリスマスまでのカウントダウンが始まれば、ティータイムにもあたたかな彩りが添えられるようになります。アドベントの時期は、日本の「師走」と同じように、年末を迎える準備で誰もが大忙し。一人で過ごすくつろぎのティータイム、そして誰かと過ごすゲストとのアフタヌーンティー、ティーカップも大忙しです。

紅茶好きにとって、アドベントのお愉しみといえばクリスマスまでのカウントダウンをしながら飲む「アドベントティー」。
12月1日を迎えると、待ってました!とばかり童心にかえって小窓を開けます。11時のイレブンジズには気軽なティーバッグ、そしてアフタヌーンティーの時間には25種類のリーフティーが詰まった豪華な缶を開けて、ゆったりと紅茶を味わいます。
普段はあまり人工的な香りづけをしたフレーバードティーを好まないイギリス人ですが、クリスマスティーにはフルーツにスパイスをあわせたブレンドティーをいただきます。
これは、クリスマスは別名「香りの祭典」とも呼ばれることに由来します。

クリスマスティーに合わせた商品の数々

セレブレーションのティータイムを彩るアイテム

クリスマスのアフタヌーンティーを盛り上げるアイテムが、ティータイム用のミニクリスマスクラッカー。通常のクラッカーと比べるとサイズが小さめ。とても可愛らしいクラッカーを割ってからティータイムがスタートします。パンっと割ってみると、中からはお約束通りジョークや嬉しいプチギフトが顔をのぞかせます。もっと小さなサイズのティーカップクラッカーは、その名の通りティーカップに添えてサービスします。こちらは、さすがに入っているのはジョークの紙一枚。それでも、心温まるおもてなしにゲストもニッコリ…、表情もやわらぎます。

クリスマスティーと一緒にいただくお菓子の定番はイギリス流のクリスマスケーキです。
日本でクリスマスケーキといえば、いちごのショートケーキを連想しますが、英国伝統のクリスマスケーキは、洋酒に漬けたフルーツがギュギュっと詰まったどっしり重いフルーツケーキが振る舞われます。アドベントサンデーの朝に焼き、第二主日、第三主日、と日曜日ごとに洋酒を染み込ませ、熟成による味の変化も楽しみながら、少しずついただくのです。

イギリスのクリスマスといえば、クリスマスプディングなのでは…?と思いきや、プディング=食事のあとのデザート。お茶の時間のお菓子とは位置づけが異なります。
ただ、最近はアフタヌーンティーに焼き菓子風に仕上げたミニクリスマスプディングが登場することもあり、時代の移り変わりとともにお茶の時間にも変化が訪れています。

とはいえ、時代を超えて、そして年代を超えて人気が高いクリスマス菓子といえば、ミンスパイ。本来は12月25日のクリスマスから1月6日のエピファニーに向けて1日1個食べると来年も幸せに暮らせる!という言い伝えがあり、1人12個用意する…
はずなのですが、何とクリスマスシーズンにイギリス人は消費するミンスパイの数は平均して一人あたり16個! 大人も子どもも大好きなミンスバイ。25日まで待つことなく、アドベントを迎えるとティータイムのお菓子として、よくお目見えします。

オレンジのスライスがあしらわれたクリスマスティーとプレート

エリザベス女王を偲ぶクリスマス

イギリス人にとって、クリスマスは日本のお正月のような位置づけ。普段は離れている家族もこの日ばかりは集まって、一緒に過ごす習慣があります。
英国ロイヤルファミリーはノーフォーク州にある「サンドリンガム・ハウス」でクリスマスを一緒に過ごすのが伝統となっていて、クリスマスイブの午後にはアフタヌーンティーが振る舞われ、プレゼント交換をするのが習わし。とはいえ、今年はエリザベス女王の姿がないクリスマス…。毎年恒例となっているクリスマススピーチは?セント・メアリー・マグダレンでのクリスマス礼拝は?と、伝統がどのように受け継がれていくのか注目が集まっています。

2022年、イギリスは激動の1年でした。エリザベス女王のプラチナジュビリー、そして崩御、女王を偲ぶクリスマス…、みなさまにとってはどのような一年でしたか?
どうぞ、一杯の紅茶とともに心やすらかに、寒くてあたたかなクリスマスをお過ごしください。

クリスマスイブのティータイム、ロイヤルファミリーが集まりプレゼント交換をする習慣があります
英国王室サイトより

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藤枝理子

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RICO FUJIEDA アフタヌーンティー研究家 東京都世田谷区にて紅茶教室「エルミタージュ」を主宰。 紅茶好きが嵩じてイギリスに紅茶留学。帰国後に東京初...

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