上空で味わうイングリッシュ・ワイン《Discovering English Wine》

現在、イギリスには1,100以上のブドウ園と260のワイナリーが存在し、イングリッシュ・ワインの品質はこれまでになく向上し続け、世界に向けて飛躍を遂げています。
今回のコラムでは、その素晴らしい数々のワインを「空の上」で楽しめる、ブリティッシュ・エアウェイズのサービスについてご紹介します。

イギリス最大の航空会社、フラッグ・キャリア” ブリティッシュ・エアウェイズ”

ブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways)

イギリス最大の航空会社であるフラッグ・キャリア、ブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways/BA)の起源は1919年8月25日に遡ります。
100年以上の歴史を持ち、日本線就航は1948年からとこちらも古く、今年で78年目となりました。参考までに日本初就航時はブリティッシュ・エアウェイズの前身の一つである英国海外航空BOAC(British Overseas Airways Corporation)によるものです。

日本と英国間の路線を運航していたBOACの日本人客室乗務員たちは、着物を着用していました

現在、日本への直行便は、ロンドン(ヒースロー空港)~羽田空港間で、BA5/6便とBA7/8便の一日2往復が就航しています(2026年6月現在)。

イギリスにお住まいの方、また日本から訪れる方で、ブリティッシュ・エアウェイズのフライトを利用された方も多いのではないでしょうか。

このように日本人にも馴染み深いブリティッシュ・エアウェイズですが、一般の方にイングリッシュ・ワインの存在がまだあまり知られていなかった時代から、先んじて機内でイングリッシュ・ワインを提供し続けていることをご存知でしょうか?

機内で提供されるイングリッシュ・ワイン(イメージ)

ファーストクラスの客室で提供された最初のイギリス産ワイン

2011年、バルフォア・ワイナリー(Balfour Winery)のスパークリングワイン「バルフォア・ブリュット・ロゼ 2007(Balfour Brut Rosé 2007)」がイギリス産ワインとして初めてファーストクラス客室で提供されました。

その他、提供年月に関しては残念ながら正確な情報を確認できなかったのですが、以前ご紹介したボルニー・ワイン・エステート(Bolney Wine Estateのスティルワイン「ピノ・グリ 2014(Pinot Gris 2014)」や、スパークリングワイン「ブラン・ド・ブラン(Blanc de Blancs)」も、同じくファーストクラスで提供されていました。
わたしも機内でボルニー・ワイン・エステートのブラン・ド・ブランをいただいたのですが、それが私にとって初めて口にしたイングリッシュ・ワインでした。これをきっかけにワインを探求するようになった、思い出深いワインの一つです。

機内でいただき大ファンなったボルニー・ワイン・エステートのブラン・ド・ブラン
こちらは2020年ヴィンテージ

短距離路線でも提供

2018年から2020年にかけては、ヨーロッパの短距離路線でチャペル・ダウン(Chapel Down)ワイナリーの「チャペル・ダウン・バッカス(Chapel Down Bacchus)」がクォーターボトルサイズで機内販売されていました。わたし自身も何回か機内で購入しました。
※以前のチャペルズ・ダウン(Chapel Down)のコラムはこちらからどうぞ

また、チャペル・ダウンの国際営業部長さんによると、さらに遡って1990年代に長距離路線で「Chapel Down Epoch Brut(チャペル・ダウン・エポック・ブリュット)」というスパークリングワインが提供されていたそうです。かなり昔のことなので、残念ながら詳しい記録は残っていないそうです。

“マスター・オブ・ワイン(Masters of Wine)”によって選ばれたイングリッシュ・ワイン達

2022年、ブリティッシュ・エアウェイズは顧客へのプレミアムな体験をさらに向上させるため、マスター・オブ・ワイン(Masters of Wine、MW)のティム・ジャクソン(Tim Jackson)氏を専任に任命しました。

マスター・オブ・ワインとは、ワイン業界で非常に高い名声を持つ、世界で400人弱(2025年時点では425人)しかいない、世界最難関のワインスペシャリストの資格および称号です。

2023年より、MWティム・ジャクソン氏によって、機内はもちろん、ラウンジで提供されるドリンクのラインナップが選定されるようになりました。風味はもちろん、高度35,000フィートの上空での飲料の味わいや構造の変化も常に考慮し、高品質なワインやスパークリングワイン(クラフトビールやノンアルコール飲料を含む)が新たに厳選されています。

MW ティム・ジャクソン氏

クラブ・ワールド(ビジネスクラス)の機内提供の始まり

同じく2023年には、クラブ・ワールド(ビジネスクラス)の機内で、受賞歴のあるイギリス産スパークリングワインが初めて提供され始めました。

MW ティム・ジャクソン氏によって以下の4種が選ばれ3ヶ月ごとにローテーションで提供されました。

  • ディグビー・ファイン・イングリッシュ・ブリュットNV(Digby Fine English Brut NV)
  • バルフォア・ロゼ・ド・ノワール(Balfour Rosé de Noirs)
  • シンプソンズ・チョークランズ・キュヴェ・ブリュットNV( Simpsons Chalklands Cuvee Brut NV)
    ※以前ご紹介のシンプソンズ・ワイン・エステートのコラムもどうぞ
  • ウィストン・エステート・ブリュットNV(Wiston Estate Brut NV)
    ※以前ご紹介のウィストン・ワイナリーのコラムもどうぞ 
クラブ・ワールド(ビジネスクラス)でのイングリッシュ・ワイン提供開始
わたしが利用した際は、ビジネスクラスで「ウィストン・エステート・ブリュット NV」が提供されていました

ファーストクラスでは、ハンプシャー州のワイナリー、ハッティングリー・バレー(Hattingley Valley)との協力のもと、創業100周年の記念に生まれた「ブラン・ド・ノワール(Blanc de Noirs)」が提供されていました。このワインは、高度3万フィートなどの高い場所でもその素晴らしい味わいを楽しむことができ、わたしも機内でいただいてすぐに虜になりました。それ以来、何度か購入させていただいています。

ファーストクラスではしばらくの間提供されていた「ハッティングリー・バレー ブラン・ド・ノワール」
ボトルにはブリティッシュ・エアウェイズのロゴも

近年~現在のイングリッシュ・ワインリスト

ブリティッシュ・エアウェイズでは現在も引き続きファーストクラス及びクラブ・ワールドの乗客向けにイングリッシュ・ワインが提供されています。このプログラムは、体系的な長期選定と四半期ごとのローテーションに基づいて運営されているそうです。

【2025年 4月から 2026年6月の ビジネスクラス/Club Worldのイングリッシュ・ワインリスト】

2025年

  • 4月~6月:ディグビー・ファイン・イングリッシュの「ブリュットNV(Digby Fine English’s Brut NV)」
  • 7月~9月:「ガスボーン 2019 ヴィンテージ・ロゼ(Gusbourne 2019 Vintage Rosé)」
  • 10月~12月:ハッティングリー・バレーの「ブラン・ド・ノワール 2019( Hattingley Valley’s Blanc de Noirs 2019)」

2026年

  • 1月~3月:「ローバック・リザーブ・ブリュット 2020 (Roebuck Reserve Brut 2020)」
  • 4月~6月:「ディグビー・リアンダー・ピンク・ブリュットNV(Digby Leander Pink Brut NV)」

*上記の四半期サイクルは、今年と来年も繰り返されます(必要に応じてヴィンテージの変更が行われます)。

2026年5月のフライトではビジネスクラスで「Digby Leander Pink Brut NV」が提供

イギリス産”プレステージ・キュヴェ(prestige cuvée)”の提供開始

また、2025年3月30日より、受賞歴のあるプレステージ・キュヴェの英国産スパークリングワインをファーストクラスの機内で提供開始しています。

プレステージ・キュヴェ(prestige cuvée)とは、特にシャンパンの世界で使われている言葉で、生産者が「威信」をかけて造り上げる、その生産者のラインナップの中でも最高ランクに位置づけられる商品(ここではイングリッシュ・スパークリングワイン)を指します。

【2025年 4月から 2026年6月の ファーストクラス用の プレステージ・キュヴェ イングリッシュ・ワインリスト】

2025年

  • 4月~6月:1086 by Nyetimber (ナイティンバー) ロゼ 2014(1086 by Nyetimber Rosé 2014)
  • 7月~9月:ガスボーンフィフティ・ワン・ディグリーズ・ノース 2016(Gusbourne Fifty One Degrees North 2016)
  • 10月~12月:1086 by Nyetimber (ナイティンバー)2014(1086 by Nyetimber 2014)

2026年

  • 1月~3月:スグルー・サウス・ダウンズ・キュヴェ  Dr Brendan O’Regan MV(2018年 ベース・ヴィンテージ)(Sugrue South Downs Cuvée Dr Brendan O’Regan MV (2018 BASE VINTAGE))
  • 4月~6月:1086 by Nyetimber (ナイティンバー) ロゼ 2016(1086 by Nyetimber Rosé 2016)
プレステージ・キュヴェ(prestige cuvée)(イメージ)

ブリティッシュ・エアウェイズは現在、この特別なプレステージ・キュヴェ イングリッシュ・ワインを提供する唯一の航空会社です。
以前ご紹介したガズボーン・エステートのワインもラインナップされています。

こちらのリストのワインは、各ワイナリーからご購入いただけます。
また、ナインティンバーに至っては、ヒースロー空港ターミナル5でもご購入いただけますよ!
ただし、この数年毎回空港で目にしていますが、あくまで在庫次第なので必ず購入したいという方はヒースロー空港の予約購入サイトをご利用になるとよいかもしれません。

*ヒースロー予約&受取りサービス:https://boutique.heathrow.com/en/1086-blanc-vintage-sparkling-wine/world-duty-free_6165811.html

5月は1086 by Nyetimber (ナイティンバー) ロゼ 2016(1086 by Nyetimber Rosé 2016)が提供されました

空港ラウンジでの提供

また、ファーストクラス用ラウンジでもイングリッシュ・ワインが数種類提供されています。
ロンドン・ヒースロー空港の第5ターミナルには、ブリティッシュ・エアウェイズ便利用のファーストクラスカスタマー用の「コンコルド・ルーム(The Concorde Room)」と、ブリティッシュ・エアウェイズまたはoneworld提携航空会社の便を利用し、oneworldフリークエント・フライヤー・プログラムの上級会員(ゴールドまたはエメラルド会員)の方がご利用いただける「ギャラリーズ・ファースト・ラウンジ(The Galleries First Lounge)」があります。

コンコルド・ルームでは現在(2026年6月時点)、「1086 by Nyetimber ロゼ 2010」が提供されています(ファーストクラスの機内では2016年ヴィンテージでしたが、ラウンジでは2010年ものでした)。
このワインの提供は、おそらく今年7月末まで続く予定です。

コンコルド・ラウンジでの1086 by Nyetimber ロゼ 2010
コンコルド・ラウンジのバー

ロンドン・ヒースロー空港第5ターミナルのギャラリーズ・ファースト・ラウンジでは

  • ディグビー・ファイン・イングリッシュ・ブリュット NV(Digby Fine English Brut NV)
  • ウィストン・エステート・ブリュット NV(Wiston Estate Brut NV)
  • シンプソンズ・チョークランズ・キュヴェ・ブリュット NV(Simpsons Chalklands Cuvée Brut NV)

が提供されており、これらは今後数ヶ月間提供され続ける予定とのことです。

ギャラリーズ・ファースト・ラウンジでのイングリッシュ・ワイン達

現在、ブリティッシュ・エアウェイズのイングリッシュ・ワイン・プログラムは2028年3月まで確定していて、ファーストクラスおよびクラブ・ワールドの乗客向けにイングリッシュ・ワインが引き続き提供されています。

機会がありましたら、ロンドン-羽田路線はもちろん、イギリスから世界に向けて飛び立つ飛行機の中でさまざまなイングリッシュ・ワインをお楽しみください。

6月28日まで開催のイングリッシュ・ワイン・ウィーク

6月20日から28日は「イングリッシュ・ワイン・ウィーク」として、イギリス各地のワイナリーやブドウ園でさまざまな催しが行われています。
https://winegb.co.uk/events/category/english-wine-week/

ヒースロー空港でも、「イングリッシュ・ワイン・ウィーク」の一環として、イギリス産のワインがバーなどで紹介される予定です。
詳しくは、こちらでご覧ください。
https://winegb.co.uk/blog/english-wine-week-is-taking-off-quite-literally-at-london-heathrow/

この期間に空港に行かれる方がいらっしゃいましたら、チェックしてみてくださいね!

大島理恵子

4,672 views

英国サリー州在住 英国メディカルハーバリスト/アロマセラピスト/リフレクソロジスト 1994年英国に移住。 ロンドン市内のセラピールーム及び癌センターで施術...

プロフィール

ピックアップ記事

関連記事一覧