自家菜園で採れた食材で料理を作る有名レストラン『The Ethicurean Restaurant 』

『The Ethicurean Restaurant』(エシキュリアン)

ロンドンは世界中の美味しいものが集まっている場所だが、カントリーサイドにも美味しいお店はある。
私の住んでいるバースから車で1時間弱の場所に話題のレストランがあるというので行ってきた。

The Ethicurean Restaurantの看板
The Ethicurean Restaurantの看板

イギリス全国新聞やミシュランガイドでも紹介されているフュージョン英国料理レストランである。
メニューは食品廃棄物を減らすように構成され、自然の中で育てられた肉と持続可能なシーフードプロジェクトを掲げたサステナブルガストロノミーである。
敷地内に一歩足を踏み入れると家庭菜園や美しいイングリッシュガーデンが目の前に広がる。

花々が咲き誇った綺麗な庭園
手入れされた庭園

カントリーサイドにふさわしい自然に調和するような外観である。
店内はイギリスらしいナチュラルで可愛いインテリア。女性なら誰もが興奮してしまう。
白いペイントの中にかけられたドライフラワーが優しく迎え入れてくれる。

エキシュリアンの店内
シンプルでナチュラルな店内
壁にかけられたドライフラワーが印象的

メンディップの丘を見渡せる最高の席に案内してもらい、しばしこの景色に酔いしれる。
店内には小さな孫を含め親子三世代家族、若いカップル、熟年カップルなど、老若男女に愛される気取りがない居心地の良い空間である。
気候の良い時はガーデンで食事をすることもできる。

個性ある美味しい料理

店内の窓から望む外の風景
店内から眺めるメンディップの丘

ご自慢の家庭菜園で作られた野菜がどう使われるのか興味津々である。
パン2種と一緒に添えられてきたのはケールを混ぜ込んだバターと人参のピクルス。
このケール入りのバターのグリーンがとても美しい。一口食べてみるとケール独特の苦みはなく、ケールの美味しい香りと風味を感じとても食べやすい。なめらかなバターと美味しいコラボである。
バターにハーブを混ぜ込んだハーブバターは作ったことがあるが、ケールという発想はなかったので最初の一品からかなり興味を惹かれた。イギリスで育てられた食材であればイギリスのワインがきっと合うはずという単純な理由でイギリス産のロゼワインを注文。

パンとケール入りのバター
噛みしめるほどに美味しさを味わえるパンとケール入りバター

次に運ばれてきたのは、見た目では想像しにくいズッキーニのスープ。
塩気を効かせたヨーグルトを水切りして作る中東料理に欠かせない「ラブネ」が、クリーミーでまろやかな味わいを醸し出している。バジルの風味を時々感じ、最後まで飽きのこない美味しさである。

ズッキーニのスープ
ズッキーニのスープ

私が気に入ったお料理はセロリアックのピューレの中に半熟卵が隠れている。周りには多種の旨みたっぷりのキノコが添えられていた。大切に育てられた旬の食材を心を込めて調理する。そんなシンプルな心がけが新しいお味を生み出すのだろう。食材の組み合わせも絶妙でなかなか出せないプロの味である。中からとろりと顔を出す半熟の黄身の誘惑は世界共通である。

セロリアックと半熟玉子、たっぷりキノコの一品
私が一番好きだったセロリアックと半熟玉子、たっぷりキノコの一品

ラム肉にビーツのソースとアクセントに炒った松の実をトッピングしてある1品。実は私はラムを好んで食べないので、メニューの中にラムがあると知ったときに後悔したのであった。お店の人が最初にアレルギーはありますか?と聞いてくれたのだがそのときはまさかコースメニューにラムが含まれているとも思わなかった。アレルギーではなく単に好き嫌いの問題。こういう機会がないと食べないので、ラムを好きになりたいと願いを込めて食べた。
感想は脂身がなく臭みもないラムだったので美味しく頂くことができた。
松の実も炒りたてなので香ばしい香りがアクセントになり、とても満足のいくものであった。

ラムのビーツソース
松の実がアクセントのラムのビーツソース

そしてなんともう一品ラム料理が運ばれてきた。こちらはラムのバラ肉をじっくり時間をかけて煮込んだもの。ラム肉はイギリスでは人気なのでいろいろな部位が売っているが、バラ肉は初めてだった。豚の角煮をちょっと思い出させてくれるような食感と味わい。小さな渦巻き状に巻かれているバラ肉の上には、エディブル フラワーが飾られてて宝石のように可愛い仕上がりだ。
かなりこってりしているが、1個がとても小さいので上品にいただけた。
量より質。これは食べることに置いて大事なことだと改めて思った。

ラムバラ肉
くるくると巻いたラムバラ肉
エディブルフラワーを乗せて繊細な盛り付け

フェンネル、ヨーグルト、りんごのデザートはひんやり。フェンネルはいつも肉や魚と一緒にオーブンでベイクすることが多いのだが、こんな形で出てくると新鮮。柔軟に食材と向き合うことで広がる味の世界を堪能した。

フェンネルを使ったデザート
あっさり口どけがよいフェンネルを使ったひんやりデザート

口直しのスイーツ。パースニップという野菜のファッジはかなり甘いのだが、あっさりした甘さでティーによく合う。もう一つはピクルスにしたビーツを干して砂糖をまぶしたようなものだった。
これはなんとも言えず梅干しのような味わいでとても美味しかった。私はハーブティーと共に食後の余韻に浸り、今まで食べたことのないような不思議な美味しい組み合わせを頭の中で思い返すのだった。

最後に提供されたスイーツ
ティーによく合う〆の口直しスイーツ

まとめ

家庭菜園で栽培された野菜を使い、地元で調達された地元の食材と調和させた料理。この土地の豊かな恵みを存分に生かした斬新で新しい味を体験できる場所としておすすめしたい。

【参考】

サイト名称:MICHELIN Guide Restaurant
https://guide.michelin.com/gb/en/north-somerset/wrington/restaurant/the-ethicurean

エリオットゆかり

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イギリス在住料理研究家 イギリス人の夫、23歳の日本在住の長男(現在ロンドン在住)、21歳の長女の4人家族。 2000年にイギリスに移住 食をメインにイギリ...

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