レモンドリズルケーキのお話しとレシピ

丸型に焼きあがったレモンドリズルケーキ

イギリス一人気のレモンケーキ

青空が広がり、爽やかな風が心地よい季節の到来。
思いっきり腕を伸ばして深呼吸、草木が伸びる時に栄養を欲するように、人間もこの時期ビタミンを欲するのか、急に爽やかな酸味の効いたお菓子が食べたくなります。
そんな時に最高にうってつけなのがレモンドリズルケーキ。

日本のレモンケーキと言えば、レモンの形をしたあの可愛らしいちょっとレトロなケーキが頭に浮かびますが、イギリスでレモンのお菓子と言えば、真っ先に誰もが頭に浮かべるのがこれ。
シンプルなケーキなので家庭でもよく作られますが、カフェやティールームでもかなりの確率で置いてあります。それはつまり、みんなが好きで売れるということ。”Independent” の記事によると、2021年調べの「一番好きなケーキは?」というアンケートでも、レモンドリズルケーキは堂々の一位(ちなみに次席は28%のチョコレートファッジケーキ、3位は27%でヴィクトリアスポンジだそう)。とにかくイギリスでは季節に関わらず一年中人気のケーキです。

レモンドリズルケーキとは?

そんなイギリスの国民的人気を誇るレモンドリズルケーキとはどんなケーキなのか。
見た目はいたって素朴。焼きっぱなしのパウンドケーキ風のものに、レモン風味のアイシングがかかっているだけ。期待しないで一口食べてみると~甘さを乗り越えて押し寄せてくる鮮烈なレモンの酸味と爽やかさ。これに紅茶が加われば、永遠食べ続けられるのではないかと思うベストコンビネーションです。

完成したレモンドリズルケーキ

フランスのウィークエンド(似たようなレモンアイシングのかかったケーキ)より目の詰まっていない、程よいもろさがある生地のため、より中までレモンのシロップが染み込みやすく、軽い食感。この食感はイギリスのスポンジならでは。
作り方は2タイプあります。いわゆるクリーミングメソッドと呼ばれる、バターに砂糖をすり混ぜ、次に卵をすり混ぜ、粉、と順に加えていく作り方と、オールインワンメソッドと呼ばれる、すべての材料をボールに入れて、一度に混ぜるという方法。どちらの方法をとるかはお好みで。日本人にすると、クリーミングメソッドで丁寧に作るほうが美味しく出来てしかるべきだと考えがちですが、私はこのケーキばかりは何故かオールインワンメソッドのほうが美味しくできる気がしてしまいます。

初めにイギリスでこの方法を教えてもらったときは、その大雑把さに本当にそれでいいの??と目を疑いましたが、出来上がりを一口食べてその美味しさにびっくり、簡単で美味しいならそれに越したことはないと改心。少なくとも、丁寧に作ろうと思って、卵を加える際に生地を分離させたりするよりはずっと美味しく出来るのは間違いありません。ただひとつ注意点があるとすれば、材料を全て必ず室温に戻しておくこと。特にバターは普段クッキーなどを作る時よりさらに一段柔らかく、押したときにすっと抵抗なく指の跡がつく程度にしておくことが大切です。

レモンドリズルのドリズルって何のこと?

スポンジが焼けたらお次はすぐにレモンシロップを染み込ませます。これがとにかく大量、そして大量に奥まで染み込ませるために、竹串でプスプススポンジに穴をあけるのがまた大胆かつ合理的なイギリスのお菓子作りらしいところ。シロップはグラニュー糖とレモン果汁を火にかけて溶かしてからかける人、粉砂糖とレモン果汁を混ぜるだけの人、そのシロップ(アイシング)により、仕上がりの表情が変わってきます。私は上にカシャッと薄い砂糖衣があるのが好き、じゃりっとしたグラニュー糖の食感がいいのよ、などなどその辺は作り手の好みによりけり。いずれにしても、小雨を降らせるようにしとしとシロップを染みこませる様が、「Drizzle(ドリズル)=細雨が降る」という名の由来です。

籠に入った材料のレモンと、焼き上がりのカットしたレモンドリズルケーキ

レモンドリズルの生みの親?

一方よく分かっていないのはその歴史。一体いつ頃から作られているのでしょうか?レモン自体は15世紀にはイギリスに入ってきていたようですが、家庭で今のようなスポンジケーキ状のものが手軽に作られるようになったのは、ベーキングパウダーが開発された1843年以降のこと。一説によると、現在分かっている一番古いレシピ(印刷されたもの)はEvelyn Rose さんというユダヤ人女性が1967年7月に The Jewish Chronicleに投稿したものと言われています。そのケーキの名は「Luscious lemon cake」 となっていますが、分量も作り方もレモンドリズルケーキそのもの。ローズさんのお嬢さんによると、お母さんの一番得意なご自慢のケーキだったそうです。
この記事に書かれているレモンケーキの紹介文はこう ~短時間で作れて、軽く、一年中いつ食べても美味しいケーキ。おうちでも、お外で食べるのにも向いています。ふんわりした食感にきりっと酸味の効いたレモンのシロップは、ケーキがまだ温かいうちに染み込ませます~ これぞまさにレモンドリズルケーキ。

オールインワンメソッドで作るレモンドリズルケーキのレシピ

そろそろ皆さんもお味見してみたくなってきた頃と思います。
イギリス人が愛してやまないレモンドリズルケーキ、どうぞお試しあれ。ここでご紹介するのはおススメの簡単バージョン、オールインワンメソッドで作る方法です。その手軽な作り方と爽やかな味わい、ほどけるような食感に、お気に入りのケーキがまた一つ増えること請け合いです。

調理中のレモンドリズルケーキ

Lemon drizzle cake

~レモンドリズルケーキ~

2パウンドローフ型(約21cm×11cmのパウンド型)または直径20㎝の丸型 1台分

<材料>

無塩バター ____125g
グラニュー糖 __150g
卵 __________2個

【A】

┏ 薄力粉 ___________175g
┗ ベーキングパウダー _小さじ2

牛乳 _______________大さじ4
レモンの皮のすりおろし _1個分

(レモンシロップ)

レモン果汁 ___1個分(約40ml)
粉砂糖 ______125g

<下準備>

*材料は全て必ず室温に戻しておくこと
*型の内側にオーブンペーパーを敷く
*オーブン予熱170℃

<作り方>

  1. ボールにAの粉類を合わせてふるい入れたら、レモンシロップの材料以外、全ての材料をボールに加えます。ハンドミキサーで全体が均一で滑らかな生地になるまで攪拌します。
  2. ゴムベラで粉が残っていないか確認したら、型に流し入れ、170℃のオーブンで約45分焼きます。
  3. 焼いている間にレモンシロップを作ります。粉砂糖をボールにふるい入れ、レモン果汁を加えて砂糖が溶けるまでよく混ぜます。
  4. スポンジが焼きあがったら、すぐに細めの竹串で全体に沢山穴をあけ、熱いうちにレモンシロップを刷毛でたっぷり染み込ませます。
    冷めて表面がパリッと固まったら、さぁいただきましょう。


安田真理子

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仙台市出身 宇都宮にてイギリス菓子教室「Galettes and Biscuits(ガレットアンドビスケット)」を主宰。イギリスの暮らしに息づくお菓子の味・...

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