イギリス屈指のワイン醸造家、ワインメーカーのダーモット・スグルー氏が生み出すワイン《Discovering English Wine》
美味しいワインが生まれる条件としては、ブドウが育つ土地の気候、日照、土壌、地形、そしてワインメーカー(winemaker)の「最高のブドウを生産・収穫する能力」や「醸造技術」が挙げられます。
サセックス州のサウス・ダウンズに位置し、数々の賞を受賞した英国産スパークリングワインおよびスティルワインを生み出し続けるブティックワイナリー、”スグルー・サウス・ダウンズ(Sugrue South Downs)”。
今回は、イギリスでも屈指のワインメーカーの一人であり、イギリスで彼ほど多くの賞を受賞したワインメーカーはほかにいないほど、イギリスでワインを作る人なら誰もがその名を知っているであろう、ダーモット・スグルー氏と、彼が手がけるこのワイナリー”グルー・サウス・ダウンズ”についてご紹介します。

イギリス屈指のワイン醸造家その軌跡
イングランド産スパークリングワインの最高峰の生産者の一人として知られるダーモット・スグルー(Dermot Sugrue)氏は、アイルランドのリムリック(Limerick)州の田舎で育ち、10代のころから既に自家醸造に興味を持ち始めていました。彼が初めて自家醸造でワインを作ったのはなんと16歳の時だったそうです。
1992年にイギリスのイースト・アングリア大学で環境科学の学位を取得した後、2000年にフランスのボルドーに移住。そこで、ブドウ畑やシャトーで収穫期の作業に従事し、経験を積んでいます。
その後、イギリスのサセックス州にあるプラムプトン・カレッジ(ブドウ栽培・醸造学の学部がある)に入学した後、イングランドを代表するスパークリングワイン生産者の一つであるナインティンバー・ヴィンヤード(Nyetimber Manor Vineyard)のアシスタント・ワインメーカーの求人を見つけ同社に入社。2004年にはヘッドワインメーカーに昇進しています。

2005年、ダーモットはウィストン・エステート(Wiston Estate)のハリーとピップ・ゴーリング夫妻と出会います。
*過去のウィストン・エステートの記事はこちら(https://ukwalker.jp/gourmet/12375/)
彼らは、サウス・ダウンズのチョーク質の土壌と気候がシャンパーニュ地方と類似していることから、良質のブドウとワインを生み出すことを長年願っていました。そして、2006年に南向きの優れたチョーク質の土壌にブドウの木が植えられ、ダーモットは多くの賞を受賞するワインを作り出すことになります。
同時に、彼はこの土地で自身の看板ブランドであるスパークリングワイン「ザ・トラブル・ウィズ・ドリームズ」を醸造しました。
神の啓示?ザ・トラブル・ウィズ・ドリームズ(The Trouble with Dreams)
2006年、自分たちが所有する土地がブドウの栽培に適していると考えたウェスト・サセックス州ストリングトンにある「イングランドの聖母修道院(Our Lady of England Priory )」のカトリック司祭修道会は、神父のポール・マクマホンがこの地に小さなブドウ園を作らないかと、この年にナイティンバーでの勤務を終えたダーモットに打診しました。
ダーモットは「ブドウの一部を自身のワイン作りに使わせてもらえる」という条件で同意し、共同でグリーンサンドの土壌にストリングトン・プライオリー・ヴィンヤード(Priory Storrington Vineyard)が誕生しました。
ブドウの栽培は大成功を収めましたが、あまりにも美味しいブドウができたためか、2008年の最初の収穫時には鳥たちに荒らされてしまい、その年のワイン製造の夢は打ち砕かれました。
「夢というのはそういうものさ」というマクマホン神父の言葉から、2009年に作られたスパークリングワインに「ザ・トラブル・ウィズ・ドリームズ(The Trouble with Dreams)」という名が付けられました。2009年の初ヴィンテージは2013年に発売され、ワイン評論家たちから即座に高い評価を得ました。また、2010年ヴィンテージは英国産のスパークリングワインとしては異例の96点を『デキャンター*』誌から獲得しました。
*デキャンター(Decanter)は、1975年にイギリスで創刊された世界的に最も権威あるワイン専門誌で約90カ国以上で読まれており、国際ワインコンテストの主催(デキャンター・ワールド・ワイン・アワードワイン)他、業界のトレンドや生産者情報、テイスティング評価、ワイン産地の旅行ガイドなどを発信しています。

ヴィンヤードの拡大そして新しいワインの醸造
この頃、彼は自身のブランドのワインを生産する一方で、ウィストン・エステートでもワインメーカーとして、数々の受賞歴を持つワインを作り続けていました。
2009年から2011年の3年間は、ストリングトン・プライオリー・ヴィンヤードで収穫されたブドウを使って「ザ・トラブル・ウィズ・ドリームズ」を生産していました(このワインの最初の12ヴィンテージは、ウィストン・エステートのワイナリーで醸造されました)。
しかし、2012年は1912年以来最も寒く、雨が多く、日照時間が短い夏となり、他のヴィンヤードからのブドウを使うことを余儀なくされました。
そんな中、イースト・サセックスで近隣のワイナリーにブドウを供給していたマウント・ハリー・ヴィンヤード(Mount Harry Vineyard)のオーナーと知り合い、このワイナリーの経営を引き継ぐことになったのです。
海抜約70mの白亜層の上に広がる粘土質ローム土壌に植えられた、この素晴らしい畑で2013年に大成功を収めた収穫から、ダーモットは新たなスパークリングワイン「キュヴェ・ドクター・ブレンダン・オリーガン(Cuvee Dr Brendan O’Regan)*」を生み出しました。このワインは、現在でもスグルー・サウス・ダウンズで最上級キュヴェ(=ワインメーカーが威信をかけて造る「最高級クラス」のワイン)です。
*上空で味わうイングリッシュ・ワイン(https://ukwalker.jp/gourmet/12594/)でご紹介しましたが、このワインはブリティッシュ・エアウェイズのファーストクラスで提供されるスパークリングワインの一つです。

国際的なワイン作家で、ロバート・パーカーと並ぶ世界的ワイン評論家のヒュー・ジョンソン OBE(Hugh Johnson OBE)からは、「素晴らしい。正直言って、イングランドで最高のワインだ」と言わしめたワインでもあります。
現在のヴィンヤード
その後も彼の情熱は止まる事なく、次々と新しいヴィンヤードの借り受けを行っていきます。
そして2006年から2022年まで勤務していたウィストン・エステートを離れて以来、ダーモットは妻でありビジネスパートナーでもあるアナ(熟練のワインメーカー)と共にさらなるワイン作りに挑戦し続けています。
現在は、2023年5月に購入したイースト・サセックス州のBurgess Hill 近郊にあるビー・ツリー・ヴィンヤード(Bee Tree Vineyard)をはじめ、5つのヴィンヤードでブドウを栽培しています。

どんなワインがあるの?
ダーモットは、英国産スパークリングワインの最高峰の生産者の一人として知られていますが、最近ではスティルワインの生産も開始し、数々の賞を受賞しています。
彼のワインは人気が高く、発売と同時に即完売してしまうことが多いため、ニュースレターを受け取るためにメールアドレスを登録しておくことをおすすめします。

以下に、ワインのラインナップを簡単にご紹介します。
(現在は多くの銘柄が売り切れですが、次回の発売を楽しみに待ちましょう)
★スパークリングワイン
| ワイン名 | どんなワイン? |
|---|---|
| ザ・トラブル・ウィズ・ドリームズ 2022(THE TROUBLE WITH DREAMS 2022) *2020ヴィンテージのマグナムボトルは9月に発売予定。 | 2022年ヴィンテージは、開放感があり、明るく、質感豊かで、ほのかな塩味と活気に満ちており、まさにダーモットが何年も前に夢見ていた通りのワインの出来となっています。 |
| ロゼ・エクスマキナ2018(ROSÉ EX MACHINA 2018) | 豊潤さと贅沢さゆえに、飲み、味わい、穏やかで広がりのあるスパークリング・ロゼでありながら、鋭い切れ味を兼ね備えています。 |
| キュヴェ・ドクター・ブレンダン・オリーガン2018(CUVEE DR BRENDAN O’REGAN 2018)リクエストによって購入可能 | 傑出したヴィンテージから造られ、長期熟成を経た希少なスパークリングワイン。2018年ヴィンテージは、イングランドが産出した中で最高傑作であると広く評価されています。 マグナムボトル(1.5L)の「キュヴェ・ドクター・ブレンダン・オリーガン 2016」は『Vinous』の「2025年トップ100ワイン」に選出されました。 |
| キュヴェ・ボズ・ブラン・ド・ブラン 2020 (CUVÉE BOZ MOUNT HARRY BLANC DE BLANCS 2020) 売り切れ *2019年のヴィンテージは2026年後半に発売予定 | 最高のヴィンテージのみに限定して醸造され、長期のセラー熟成を見据えて造られた、英国産シャルドネの真髄を体現するスパークリングワインです。 |
| ゾードMV 2020 (ZODO MV 2020) 売り切れ | 砂糖を加える必要がない完璧な果実の熟成と長期熟成によって生まれた「ZODO」2020年ヴィンテージをベースにしたスパークリング・ワイン 爽やかで複雑、そして豊かなテクスチャーを持ちながらも、鋭い切れ味を兼ね備えており、牡蠣との相性が抜群である。 |
★スティルワイン
| ワイン名 | どんなワイン? |
|---|---|
| ボンカーズ V2 (BONKERS V2) マグナムボトルも2026年後半に発売予定 | 『タイムズ』紙にてイングランド随一の白ワインと評された。2022年、2023年、2024年のブドウをブレンドし、エレガント、そして塩味を感じさせるシャルドネの味わいと、オークの深みと、クリーミーさを持つワイン。 |
| クラウチ・バレー ピノ・ノワール2022 (CROUCH VALLEY PINOT NOIR 2022) 売り切れ 2024年ヴィンテージは2026年10月発売予定 | イングランド随一のスティルワイン産地であるエセックス州のメイソンズ・ポイント・ヴィンヤードで栽培されたブドウ(ピノ・ノワール種)から作られた赤ワイン2025年10月24日にメールマガジン購読者向けに500本を発売したが即座に完売。次回は2026年に販売予定。 |
| ディア・ヌードルズ2023 (DEAR NOODLES ROS? 2023)売り切れ *2025年ヴィンテージは2027年前半に発売予定 | 2023年の灼熱のヴィンテージ。エレガントな赤いベリーの香りと、美しくしなやかな口当たりを特徴とし、エネルギーに満ち溢れ、ジューシーな酸味が際立つ、極めてドライな余韻が魅力のロゼワイン。 |
また一番新しいワインとなる『NEVER MIND THE GAMAY 2025』が 2026年7月17日(金)に発売されたばかりです。

この他に「ROCK STRORY」というレストラン限定のワインも販売しています・
(このワインはメーリングリスト登録者向けに年2回(春と秋)発売され、短期間のみケース単位でも販売されます)
メーリングリストに登録して、次回の発売情報をいち早く入手しましょう。
日本でも販売開始
また、2026年8月末からの販売開始を予定されているとのことです。
日本で購入できるワインは
・The Trouble with Dreams
・Rosé Ex Machina
・BOZ
・Dr Brendan O’Regan 2018
・Bonkers
の5種の予定だそう。
流石のラインアップですね。
ぜひ日本でもSugrue South Downs のワインをお楽しみください。
ツアーに参加しよう
ワイン・スグルー・サウス・ダウンズ・ワイナリーでは5つのワインのテイスティングを含むワイナリーと&ヴィンヤードのツアーも行われています。


彼の素晴らしいワインを試飲できるツアーは非常に人気で申し込みと同時に席があっという間に埋まってしまいますので、
こちらも早めの申し込みをお勧めします。

2026年11月以降のツアーの申し込みは9月1日にはじまります。
詳細&申し込みページ:https://www.sugruesouthdowns.com/products/tours-tastings
この他にもダーモットあるいはアナさんによる「ワインメーカー・マスタークラス」、ゲストシェフによるワインとペアリングの食事のイベントなども行われておりますが、こちらもやはり今年は全て予約が埋まり、キャンセル待ち状態です。
ご興味のある方はHPのEventの欄をチェックしてみてください。












