リンゴを楽しむイギリスの秋の一日 Part2
『リンゴを楽しむイギリスの秋の一日情報』前回のPart1に引き続き、今回はリンゴジュース作りのお話しです。
イギリスのリンゴ
リンゴの原産地は、中央アジアの寒冷地と考えられており、そしてグレートブリテン島へリンゴを広めたのはローマ人だといわれています。イギリスでは冷涼な気候がリンゴの栽培に適しており、様々な種類のリンゴが実ります。
リンゴジュース作りの会場で展示されていたリンゴも、ほんのり赤みがかった黄緑色、リンゴの表面もガサガサで、庭で実ったリンゴをそのまま持ってきたような感じです。日本のお店で販売されるツヤツヤで真っ赤なリンゴとはちょっと違います。
驚くのがリンゴの種類。イギリスのリンゴといえば、ブラムリーアップル、コックスオレンジピピン、エグモント・ラセットなどが日本でも知られていますが、ここに並んでいるのは私の知らない名前のリンゴばかりでした。
デザートアップルとクッキングアップル
ここで展示されているリンゴは、2つのグループに分かれていて、イギリス人のリンゴに対する考え方がわかります。
生食するのに適した「デザートアップル(Dessert Apple)」は、イーティングアップルともいいます。これは、日本の店頭に並ぶリンゴのように甘酸っぱく、そのまま食べるとおいしいリンゴです。
酸味が強く、料理やお菓子に適した「クッキングアップル(Cooking Apple)」。酸味がとても強く、そのまま食べるには、ちょっと酸っぱすぎますが、お料理に使ったり、砂糖を加えてアップルパイやジャムにすると、その酸味が魅力的な味わいに変わります。
リンゴを加熱すると煮溶けるか煮溶けないかは、リンゴの種類によって異なります。
中には、クッキングアップルのテーブルにあった「ベルドボスクープ」のように、酸味が強いながらも、そのまま食べておいしく、料理にも使える汎用性のある種類もありますから、リンゴの世界は知れば知るほど奥が深いもの。
イギリスでは、気候風土がリンゴの栽培に適しているため、とても身近な果物です。リンゴは生食するだけでなく、お料理やお菓子にも使うため、リンゴの用途に応じてデザートアップルとクッキングアップルに分けたのではないかと思います。
そう考えると、私達の身近にある柑橘類。東京や温かい地方では、庭先に柑橘類の木を植えているのをよく見かけます。そして、ゆず、カボス、スダチ、橙など酸味が強く料理やマーマレードにつかう香酸柑橘類と、みかんや、伊予柑、清見オレンジなど、甘くてそのまま食べておいしい柑橘類を区別しています。
リンゴと柑橘類は異なりますが、それぞれ身近にある果物だからこそ、用途に応じて2つに分けているのでしょう。
アップルジューシング
「Apple Jucing」と聞いて、何をするのかと思っていたら、小さな機械でリンゴをミンチにして、それを絞ってジュースにすること。
参加者はリンゴとジュースを入れる容器を持参して、順番待ち。リンゴは皮つきのまま機械の上部に入れ、下からあっという間にミンチになって出てきます。確かにリンゴそのままでは果汁が絞れませんからね。
リンゴの皮をむくと褐色に変わりますが、リンゴをミンチにすると、グリーンからみるみる内に褐色に変わります。リンゴが新鮮だから、褐色になる酵素も活発に働くのではないか、そんな事を考えるうちに、ミンチになったリンゴの山ができます。
もう1つの機械を使い、リンゴジュースを絞ります。ミンチ状になったリンゴを機械の中に入れ、中心にあるゴムの袋に水を入れて膨らませて、その力で果汁を絞るしくみです。圧力をかけると、ジュースがジュワーと出てきます。
絞ったばかりのジュースは茶色なんですね。
ジュースを絞っていると、その甘い香りに惹かれ、ジュースの中に蜂が飛び込んだりしますが、そんな事は誰も気にしません。
アップルサイダー
リンゴを砕き、絞り、それを発酵させて作ったものがリンゴ酒、つまりアップルサイダーになります。その時に使うリンゴは、タンニンが多い、渋みも強いリンゴも必要で、いろいろな種類のリンゴをミックスして作ると聞きました。ここで販売していたものは、水や砂糖も加えずに作った本物のアップルサイダー。早速飲んでみると、結構ドライでしっかりとした味わいのおいしさでした。
リンゴは遊びにも大活躍
建物の後ろの校庭には、子供向けのゲームも用意されています。
時にはこんな単純な遊びもおもしろいものです。
左のゲームは、手前にある木製の器具を使い、ゴムひもでリンゴを飛ばして鍋に当てるゲーム。1ポンド払って挑戦するのですが、私は2回とも的から外れましたが、友人は鍋にスコンと大当たり。当てるためには、なんだかコツがあるようで、イギリス人の友人はさすが慣れています。
長靴投げにも初めて挑戦。長靴を遠くに飛ばすという簡単なゲームですが、これも意外と難しいもので、しかしやっている本人は大まじめです。しかし、誰が一番飛ばしたのか結果もよくわからないまま、みんなで大笑いをして終了。
リンゴは、そのまま食べてよし、ジャムやチャツネ、お菓子に、料理に、アップルサイダーやアップルビネガーに、そして子供の遊び道具になるイギリス人にとってとても重要な果物です。
イギリスのスーパーにも、リンゴはたくさん並んでいますが、もし地方のマーケットで地元で採れたリンゴがあれば、ぜひ食べてみてください。日本のリンゴとはまた異なる味わいで、リンゴの新たな魅力に取りつかれるかもしれません。
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