ようこそ! 心ときめく新しいアフタヌーンティーの世界へ

アフタヌーンティーは英国流の茶道

アフタヌーンティー。
その言葉に、どのようなイメージを抱くでしょうか?

お洒落なドレスを身に纏い、純白のテーブルクロスが敷かれた席に着くと、
正装した給仕が磨きあげた銀のティーポットから紅茶を注ぎ入れ、
宝石箱のように彩られたティーフーズが並ぶ三段スタンドが、うやうやしく運ばれてくる…。
まるで映画のワンシーンのような非日常のときめきの世界が広がっています。

アフタヌーンティーは、イギリス貴族から発祥したサロン文化。
ヴィクトリア時代の伝統を色濃く残す<優雅な午後のティータイムの習慣>です。
いまやヨーロッパだけではなく世界中に広がりをみせていますが、中でも日本人の私たちは、英国人が驚くほどアフタヌーンティー好きとして有名。
アフタヌーンティーを味わうことができるホテルやティープレイスも、
イギリス連邦諸国を抑え、本国に次いで多いといわれるのが日本。
人気とともにその数は年々増え続けています。

なぜ、私たち日本人は、そんなにもアフタヌーンティーに惹かれるのでしょうか?
私自身、20年以上前に紅茶やアフタヌーンティーについて本質を学びたいと
紅茶留学をするためにイギリスへ行きました。
そこで行き着いた答が、「アフタヌーンティーは英国流の茶道である」ということでした。

 
アフタヌーンティーは五感で愉しむ生活芸術

「日本の茶道」と「英国のアフタヌーンティー」の共通点

茶道は単にお茶を嗜むことだけではありません。
室礼や茶道具、華道や香道、書道や装道から、歴史や禅に至るまで、幅広い分野を学び、己の品性を磨き、高めるという崇高な道、つまり総合芸術です。

イギリスのアフタヌーンティーもまた、五感で愉しむ生活芸術です。
単なるグルメではありません。美味しい紅茶とお菓子を味わいながら、
味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚と五感を研ぎ澄ませ、室内装飾や陶磁器や銀器、
カトラリーやリネン、インテリアコーディネート、絵画や音楽に至るまで
見て、感じて、味わう、「Art de Vivre」暮らしの中にあるアートなのです。

そして、この「日本の茶道」と「英国のアフタヌーンティー」には、
共通した部分が沢山あります。
それもそのはず、イギリスのアフタヌーンティーの歴史を辿ってみると、
もともとは、日本の茶道や東洋の茶への憧れから王侯貴族の間でお茶会というものが
開かれるようになったのですから。
お道具やお点前、そして作法に至るまで、日本の茶道をお手本にしている点も
実は多く見受けられるのです。

もちろん、<和と洋>このふたつには相反する部分もあります。
「わび」「さび」に象徴されるような、不均整かつ不完全、<マイナスの美>を求める
東洋的な感性に対して、完成され均整のとれた<プラスの美>を求める西洋的な美意識。
一見、対極にあるようにも見えますが、驚くほど共通点があることも事実です。

英国貴族が憧れた和洋折衷のお茶会

英国式アフタヌーンティーの魅力

日本の茶の湯、そして英国のアフタヌーンティー。
どちらにも共通していることは、一杯のお茶を単に飲み物として捉えるのではなく、
その背景にある精神性にまで目を向け、心を傾け、そして文化にまで高めたという点。
だからこそ、お互いに通じ合い、惹かれ合うのではないでしょうか。

茶道を学ぶ意義は語り尽くせないほどありますが、茶事の醍醐味のひとつは
壮大なる謎解きにあると考えています。
亭主が、室礼や器、茶や茶菓子に仕掛け、託した謎をひとつひとつ解いていくうちに、
茶会の趣向がだんだんと浮かび上がってくる…、その謎を読み解くには、
客側にも知識が必要です。

アフタヌーンティーも同じこと。
マダムが、インテリアやカップ&ソーサー、紅茶やティーフーズに散りばめた
ストーリーを理解し、味わい尽くすためには、やはりゲストの方にも知識が必要
というわけです。

そんな、「上質で贅沢な体験」こそがアフタヌーンティーの魅力。
みなさまも、ぜひご一緒に、英国式アフタヌーンティーの世界を堪能していきましょう。

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藤枝理子

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RICO FUJIEDA アフタヌーンティー研究家 東京都世田谷区にて紅茶教室「エルミタージュ」を主宰。 紅茶好きが嵩じてイギリスに紅茶留学。帰国後に東京初...

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