イースタートリーツのお話しとレシピ
今年のイースターは、
今年のイースターは4月4日(日)そろそろカウントダウンも始まり、イギリスのイースター商戦も佳境。
例年なら商店街もデパートもイースター一色で明るい春の雰囲気に包まれているはずですが、今年は新型コロナウィルスの影響で1月5日からスーパーと薬局などの必要最低限のお店しか空いていない3度目のロックダウン状態が続くイギリス。学校がようやく始まったり、少しずつ緩和の方向に動いてはいるものの、例年以上にスーパーのお菓子売り場がイースター気分を盛り上げるために果たす役割は大きそうです。
イギリスのイースターのお菓子
イギリスのイースターのお菓子と言えば、黄色いマジパンのボールののったドライフルーツたっぷりのシムネルケーキが有名ですが、クリスマスケーキやプディングのように多くの人が食べるかと言えばそうではなく、一部のケーキ屋さんやベーカリー、ティールームなどで見掛ける程度、家庭で手作りする人もそう多くはないでしょう。
カランツとスパイスの入ったイースタービスケットも、イングランド南西部の地方菓子なので、イギリス全体としてはそれほどメジャーなものではありません。
ではみんなイースターにはどんなお菓子を食べているの?
それはまとめて「イースタートリーツ」と呼ばれるイースターの甘いご褒美お菓子たち。ダントツの一番は大小さまざまなチョコレートエッグですが、他にもイースターにはつきものの鳥の巣や、ひよこにウサギ、子羊といったものをモチーフとしたチョコレートやビスケット菓子が勢ぞろい。子供から大人まで甘いもの好き、チョコレート好きで知られるイギリスの人たちにとって、思わず顔がほころんでしまう季節かも知れません。
たとえ世の中がこんな状況でも、スーパーはじめ食料品店では希望に満ちた春の到来を意味するイースタートリーツできっといっぱい、訪れる人たちの気分を明るくしてくれているはず。
イースター(復活祭)の街中にあふれるお菓子“チョコレートエッグ”
ところでなぜイースターにはチョコレートエッグが溢れるかというと~
イースターとは、金曜日(Good Friday)に磔刑に処されたイエス・キリストが、3日後の日曜日(イースターサンデー)に復活したことを祝う復活祭のこと。イースターエッグは卵の殻を破ってひよこが出てくるように、イエス・キリストが蘇ったことを表し、またキリスト教が広まる前の土着の宗教の時代から、卵は新しい命のシンボルであり、新しい命溢れる季節、春の再来を象徴するものとして、祀られてきたものだから。
ちなみに、同じくイースターのモチーフとなっている子羊は、ユダヤの過越の祭りで捧げられた生贄の子羊、ひいてはイエス・キリストを意味しているとも、この春の訪れの時期に生まれる子羊が新しい生命の誕生を表しているとも言われています。
イースターバニーとしても知られるウサギは多産なことから、生命の復活や子孫繁栄、豊穣のシンボルであり、また、イースターの語源とされる、ゲルマン神話の春の女神エオストレのお気に入りの動物だったからという説も。
人気はキャドバリーのミニエッグとクリームエッグ
近頃はお店屋さんのウィンドーに素敵なハンドデコレーションの巨大なチョコレートエッグを見ることもありますが、
子供たちが好きなのは、スーパーの棚に並ぶキャドバリーやソーントンズ、ネスレなどが毎年手を変え、品を変え繰り出してくるチョコレートエッグたち。大きなチョコレートエッグの殻を割ると中に小さなチョコレートが詰まっているものが一般的。
そして大人たちがこっそり自分用にかごに入れるのは定番のキャドバリーのミニエッグとクリームエッグ。ミニエッグは1967年から、クリームエッグは1971年から発売されており、つまり今年はクリームエッグ発売50周年の年。”It’s the Creme Egg Golden Goobilee,” と銘打って大々的にコマーシャルされています。
イギリス人のクリームエッグの食べ方は・・
このクリームエッグとはチョコレートの殻を割ると中からトロリとした卵白と卵黄のような2色のフォンダンが出てくるお菓子。相当な甘さですがこれが大人気。毎年1月からイースターの間にだけ発売されるのですが、その数か月で2億個!も売れるのだとか。
前述のコマーシャルでも描かれていますが、クリームエッグの食べ方は人それぞれ。キャドバリー調べによると~53%の人たちはまず上部をちょっとかじって中身をすっかりなめてから残りの殻を食べるそう。ぱくっと一口でいくのは20%、6%の人は指でフィリングをすくって食べるのだとか、そして残りの21%は謎。近頃はイースターの手作りケーキの飾りに使ったりするのも見かけますが、何か他にもっと楽しい食べ方があるのかも??
鳥の巣にみたてたイースターのお菓子 イースターネスト
ミニエッグのほうはよく「イースターネスト」づくりに使われます。イースターネストとは砕いたシリアルを溶かしたチョコレートでにからめて、鳥の巣状に固めるもの。この巣に置く卵にミニエッグがぴったりサイズなのです。
イースターネストはメレンゲで作ることも。こちらは「メレンゲネスト」とも呼ばれ、一年中市販品も売られていますが、メレンゲを小さな鳥の巣状に絞り出して乾燥焼したものです。イースターの時期以外は生クリームとフルーツなどを盛ってミニパブロヴァとして登場しています。
シムネルケーキやイースタービスケットはもちろん美味しいので、見つけたら是非食べてみて頂きたいのですが、現地のスーパーでこういったイギリスのお菓子を眺め、食べてみるのも、より肌で舌で今の普段着のイギリスの文化を体感できる楽しく手軽な方法。来年のイースターにはイギリス旅行に行けるようになっていることを願いましょう。
その前に、このイースターの到来が、イギリスの人々の長い忍耐の冬の出口となり、色々な意味での復活の春となりますように。
イースターネスト<レシピ>
今回のレシピはイースターネストのチョコレートバージョンとメレンゲバージョンです。
簡単ですが、おやつにアフタヌーンティーにデザートにと意外と応用が利くので便利ですよ。
<Easter nestsイースターネスト>12個分
チョコレート(ミルクorダーク)_200g
無塩バター ___________20g
ゴールデンシロップ ________大さじ2
シリアル※(コーンフレークなど) _100g
ミニエッグ(小さな卵型のチョコレート)_約24~36個
- チョコレートを小さくカットし、バターとゴールデンシロップと共にボールに入れ、湯煎にかけて溶かします。
- シリアルを【1】に加え、よく混ぜ合わせます。紙のカップケーキケースに入れ真ん中をへこませ鳥の巣状にします。
- ミニエッグを2~3個ずつのせたら、涼しい所に置き固めます(急いでいるときは冷蔵庫で)。
- イギリスではShredded wheat という枕のような形をした繊維状のシリアル を崩して使うのが一般的ですが、コーンフレークを使うこともあります。
<メレンゲネスト>12個分
卵白______ 2個分(約60g)
グラニュー糖__ 100g
A ┏コーンスターチ_____ 小さじ1
┃白ワインビネガー____ 小さじ半分
┗バニラエクストラクト__ 少々
デコレーション用
生クリーム・いちごなど好みのフルーツ・チョコレートエッグ・ココアパウダーなど
- 卵白をボールにいれ、ハンドミキサーで泡立て始め、白っぽくなり全体がもこもことしてきたら、グラニュー糖を少しずつ加えながらさらに泡立てます。固くつやのある状態になったら、Aを加えてさらに1分程泡立てます。
- 【1】のメレンゲを絞り出し袋に入れ、オーブンペーパーを敷いた天板に直径7cm位の円に絞り、ふちの部分が高くなるよう上に重ねてもう1段か2段絞り出します。
- 110℃に予熱したオーブンで1時間程ほど焼きます。できればそのまま常温になるまでオーブンの中で冷ましましょう。(中心部まで完璧に乾燥させたいときはさらに30~60分ほど焼きます)
- デコレーションは泡立てた生クリームを盛って好みのフルーツを飾ったり、卵型のチョコレートや削ったチョコレートやココアなどをふっても。