ロンドンから足を伸ばして、巡礼地を散歩『カンタベリー』
ロンドンよりイギリスらしさを感じる郊外の街々
ロンドンから離れた場所に行った時、ロンドンよりもイギリスらしさが存在することに気付かされることがあります。
ロンドンや、ロンドン郊外から車や電車で一時間ほどで行ける有名観光地はいくつもありますが、その街が作られ栄えた時代・歴史も違っています。それぞれの特徴をみて行き先を決める際に”好きな時代”というテーマで、出かけてみるのも楽しいのではないでしょうか。
先月はヴィクトリア時代、来週は70年代グラムロック、そして、本日はチューダー朝に。
そんな思いつきで出かけることになった、街の一つ、『カンタベリー』のロンドンからの日帰り旅行の楽しみをご紹介します。
ロンドンから特急で約一時間、チューダー朝の面影残るカンタベリー
カンタベリーはキングクロスから特急で一時間ほどで到着できる、気軽な距離です。
この街を有名にしているのは、英国国教会の総本山で世界遺産でもあるカンタベリー大聖堂です。
城砦の中の街はこじんまりとした規模ですが、チューダー朝の建物が保存され並んでいる街並みを歩いていると、普段はクラッシックだと思っていたロンドンの街さえも新しいものに思えてきます。
主要駅は二つありますが、どちらの駅からも10分ほど歩いて大聖堂を目指せばすぐ街の中心部にたどり着けます。
カンタベリーは大型ショッピングセンターやデパート、ハイストリートのお店も充実していて、おしゃれなレストランやカフェも数多くあります。
この街では、有名観光地にありがちな”観光客目当てのレストランなどばかりではないか”と心配する必要もまったくありません。洒落たカフェや美味しいものを愛する地元民に支持されているお店が数多くあります。
おすすめのファーマーズマーケット『The Goods Shed(グッズシェド)』
イングランド南東部に位置するケント州は、気候に恵まれ、豊富で美味しい農作物が収穫できます。
地場特産の新鮮な野菜や果物を販売するファーマーズマーケットは数多くありますが、こちらカンタベリーにある『The Goods Shed(グッズシェド)』は、都会的な雰囲気を醸し出しているファーマーズマーケットです。
駅の近く、線路ぞいに隣接したヴィクトリア時代の倉庫の外観から想像できないのですが、中に入ると、木の梁の天井の下でケントの地場特産品の農作物、肉類、海鮮物、ワイン、ハムやチーズやワインなど魅力的に陳列されています。
『The Goods Shed』にはレストランも併設されていて、そのレストランで使われる食材は、もちろんそのお店の2メートル先、そうマーケットで提供されいてる商品と同じ新鮮な旬の食材が使われているのです。
駅のそばのロケーションですが、電車の本数は多くないので、音などは意識することなく食事を楽しめます。
それどころか、大きな窓から線路や電車が見えると、どこか遠くに旅をしている実感が湧いてくるから不思議ですね。
レストランのメニューのジャンルはモダンブリティッシュですが、目と鼻の先で手に入るケント州の厳選された食材が使われていて、添えられた野菜自体に味わいがあったり、炭火で焼かれたポークにキムチがほんの少しアクセントに使われていたりと、所々にシェフのチャレンジが見受けられます。
朝はゆっくりスタートでカンタベリーに到着してから、ランチをこちらで食べたり、ディナーをこちらで食べてからロンドンに帰路につくということもできそうです。
The Goods Shed(グッズシェド)
https://thegoodsshed.co.uk
カンタベリーの中心を流れるストウ川と、川を行き交うパント
街中にいくつもある小さな橋から川面を眺めていると、パントと言われるボートが何艘も行き交うのが目に入ります。
ストウ川でよく目にする風景で、船頭がストウ川とそれにつながる運河を、ガイドをしながらスイスイと手漕ぎボートを進ませています。
川も水は思いのほか透き通っているので、魚が泳いでいるのもよく見えます。
歴史的建造物の間や花が咲き誇る庭園の横を船で通り抜けると、道を歩いているだけではわからないカンタベリーの街の魅力に触れることができるのです。
カンタベリー パンティングカンパニー(パントに乗船するツアー)
https://www.canterburypunting.co.uk
景色を眺めていたら、シーソーのような木の椅子が設置されているのに気づきました。
遠い遠い昔、魔女と疑われた女性がいると、魔女裁判の方法の一つとして、この椅子に拘束し水に沈めて魔女か魔女じゃないかと判断していたそうです。
溺れ死んだら魔女じゃなく普通の人間と判断され、溺れ死ななかったら魔女として処刑される。。。
結局、この椅子に座らされた時点で悲惨な目に会うことになるのですが、そういった中世の持つ独特のストーリーが、のどかな美しさに陰影を持たせます。
英国国教会の総本山『カンタベリー大聖堂』
長い年月の間に激動の歴史や幾度とあった火事や再建を繰り返した後、1988年に世界遺産として登録されました。
カンタベリー大聖堂の前の広場はそう大きくないのですが、通常は各国の観光客のたくさんの言語で賑わっています。
現在の英国国教会の最高権威者はカンタベリー大司教ではなく、エリザベス女王です。16世紀にローマカトリック教から分離して以来、英国君主は英国国教会の最高権威者であり、信仰の擁護者にあります。
カンタベリー大司教は、英国国教会のトップとして、ロイヤルファミリーの冠婚葬祭、洗礼式などの式典を執り行います。
そして、英国で戴冠式が行われる際には精油で清め、君主に国王に任命するという重要な任務があります。
カンタベリー大聖堂の外側には、イギリス国教会最高権威の人の彫像が並んでいて
どれも年月を得たものになっているのですが、その中でも新しい像に気づきました。
目を凝らしてみると、それは現在の女王、エリザベス女王と先日、逝去されたフィリップ殿下の像でした。
これからの長い年月、寄り添って行くのでしょう。