ロンドン五つ星ホテルの活用術 ~リッツで 2 千円ティータイム?〜
ロンドンでのホテルアフタヌーンティーは時間も制約されるし、価格が高過ぎる。だけど雑誌で見た豪華な五つ星ホテルのゴージャス空間を体験したいし、堂々と写真撮影もできたらいいな。そんな時に、おすすめしたいのがミンミン流「五つ星ホテルの活用術」。過去のエピソードを交えて、ご紹介させていただきますね。
*ザ・サヴォイで朝食を*
まず、待ち合わせはホテル「ザ・サヴォイ」と、気取ってみるのはいかがでしょうか?コヴェントガーデンにも近く、なにしろロビーのインテリアが素敵でパウダールーム(化粧室)もラグジュアリー。エントランスでの制限もなく、ソファーでの待ち合わせも夢見心地で、早く到着しても時間を忘れてしまうほどです。アフタヌーンティーが終わった時間、だいたい夕方6時から8時くらい。「TEA のみ」のオーダーで憧れの「テムズ・ファイヤー」で、紅茶を飲みながら、ピアノの生演奏が聴ける。これが、だいたい 2千円くらいなので1万円越えのアフタヌーンティーより随分お安く感じますよね?
実は、ザ・サヴォイでアフタヌーンティーの予約が取れなかった時には雰囲気だけでも味わいたくて朝食だけ、いただきに出かけたこともありました。
十数年前のことですが、他のホテルに宿泊しているのに「サヴォイの朝食がとても評判が良いと伺いました。朝食だけですが、お願いできまか?」と、たどたどしい英語でオファーしてみました。答えは「Sure」と快諾のメッセージに「おひとりさまの旅人」は、どれだけ心癒されたことでしょう。
アフタヌーンティーのスタート時間は午後2時からと時間が中途半端な場合もあるし、予約も取りづらい。甘いものばかりは好みではない友人を何度も誘うのも申し訳ないですよね?そんな時には、英国で一番美味しいという名言さえある「イングリシュブレックファースト」でラグジュアリー感を体験するのも楽しみに変化がつくのでは?
ホテルに宿泊するのはお値段が高過ぎる。優雅な雰囲気を味わうには、まずは「朝食」からも旅のタイムスケジュールがうまく調整できる利点もあるはずです。
どう見ても宿泊者らしからぬ日本人ゲストひとりでも、ホテルマンはかえって気をつかってくださり「エンジョイ?」と話しかけてくださる。紅茶も充分なサービスで、ご満悦のイングリッシュブレックファーストになりました。
その際のホスピタリティあふれる対応がご縁で、数年後の渡英時、「宿泊者」として日本食や、チャイニーズの朝食もいただきましたが、こちらも満点のサービス、お味も最高でした。
*キャサリン妃ウエディングで人気になったザ・ゴーリング*
さて、懐かしのキャサリン妃ロイヤルウェディング前日に彼女が宿泊された「ザ・ゴーリング」はアフタヌーンティーでも有名で、先日も三越英国展にも出店されて話題を呼んでいました。ガイドブックや雑誌も、こちらのアフタヌーンティーを取り上げることが多く、ご存知の方も多いと思います。
私はビクトリア駅周辺のホテルに宿泊する時には、まるで「常宿」のように夕方 8 時くらいに「ザ・ゴーリング」のバーに行き、堂々と紅茶だけオーダー。アフタヌーンティーでお腹いっぱいで近くのパブに立ち寄ることもありますが、アルコールは弱いし騒がしいのも苦手。その点、ホテルバーは優雅な雰囲気が漂っていて女性ひとりで行っても安心安全ですし、ソファー席で寛げるのは最高です。
ホテルバーやラウンジでもホットティーがシルバーポットでサービスされる英国。そして何かしらパウンドケーキやビスケット等が添えられるので、ポットの紅茶がなくなるまで幸せの時間が続きます。
*ザ・リッツでお茶を*
昨夏はハロッズでの買い物が終わり、グリーンパーク方面に歩いていた時、化粧室に行きたくなり「そうだ!リッツの美しいパウダールームを使わせていただこう」と思いつきました。
ただザ・リッツは、エントランスの回転扉にドアマンがいて「どこに行くの?」と問われ、簡単にあのゴージャス空間に入れない。そんな20代前半の失敗談が頭に刻まれていて、その時のことを思い出すとつい苦笑してしまうのですが、数年後、アフタヌーンティーを予約してドアマンに丁寧にドアを開けていただき笑顔でお出迎えされた時には、ようやくリベンジできたかな?と、年齢の分、経験を積んで「厚かましく」もなっていくのでしょう。
今回はドアマンに「バーでティータイムしたいのですが」と告げると、笑顔でバーの場所を教えていただき、憧れのザ・リッツへスムーズに入ることができました。ご存知のようにリッツのアフタヌーンティーは大人気で早めに予約を入れないと希望の時間に入れない。女性のドレスコードに「ヒールのある靴」とか、男性は「ジャケット・ネクタイ着用」など旅行者には面倒なルールが今も ホームページに記されています。ところが、今回はバーに入店するだけなので予約なし、ヒールのない靴でカジュアルな装いで気軽にリッツへ。
「お茶だけリッツ」はシルバーポットで「The Ritz Royal English」を軽く5杯!焼きたてショートブレッドは感動的な無料サービスでした。至福のティータイムが約2千円。日本の高級ホテルと比べてもロンドンのサービスは優れているなと毎回感じます。
そして、つい写真を撮りなくなるほどフェミニンな空間、パウダールーム(化粧室)にも堂々と行けるのです。バーからパウダールームまでのロビー空間は、ちょうど映画『ノッティングヒルの恋人』で、ジュリア・ロバーツ(女優アナ役)が宿泊しているザ・リッツにヒュー・グランド(ウィリアム役)が会いに来るシーンで、一瞬、登場する憧れの場所。おそらくロンドンの華やかさの象徴として選ばれたのでしょう。
アフタヌーンティーをする時間がとれなくてもバーのティータイムだけで、ゴージャス空間でホテルマンが記念撮影まで撮ってくださる。リッツは「朝食も美味しいよ」という情報通の方から教えていただくことが多いので、次回の渡英時には朝食だけをトライしてみようと思います。
*天皇皇后両陛下が宿泊されたザ・クラリッジズ*
ザ・クラリッジのアフタヌーンティーも前出のホテル同様、人気が高くて予約が難しい。以前は、アフタヌーンティーラウンジのすぐ横にバーがあり、午後3時のバーは、お客様は私だけなんてこともありました。紅茶は全部一律料金なので「ダージリン・ファーストフラッシュ」をオーダー。15年前だと紅茶1杯600円という低料金で、帰国日の「お決まり」のような自分だけのセレモニーを楽しんでいたものです。
フランスのアヴィランドのカップの色がブラウンに変わっても、毎回、マカロンやらレーズンケーキやら紅茶を頼んだだけなのに、お腹いっぱい。メイファアでの贅沢な時間は宝物でレッスンやイベントでも皆さんに PR していました。
ところが昨夏、このバーが営業休止になったニュースを WEB で知りショック。リニューアルなら良いのですが?実際に現地に行くと、その存在は残っていましたが午後の営業は確かにクローズしていました。思い出のバーをガラス越しに撮影しましたが、今後はどうなるのか?夜の営業はオープンしているならぜひ、再訪したいものです。
ただ、テラス席のバーは営業していて、猛暑の昨夏、ロンドン初日の最初のティータイムにダージリン・ファーストフラッシュのアイスティーをオーダーしました。写真では映えませんが、茶葉の味がしっかり、ノンシュガーのアイスティーをイギリスで飲めるようになったのだという感激もあり、クラリッジズのティータイムが特別なものになりました。
もちろん、こちらのホテルは日本の天皇がご宿泊されたホテルとしても有名で、「どんなホテルなのか見てみたい」好奇心があるなら、メイフェアのアクセスのよい一等地にあるので、ただ前を素通りするのはもったいない。バーでお茶のみ使用はホテル内のパウダールーム(チップあり)も堂々と使用させていただける。各国の著名人にも、何度か遭遇した経験がありミーハーな方には、おすすめスポット間違いなしです。
ロンドンでの空き時間に五つ星ホテルのラウンジやバーでのティータイム。敷居が高いと警戒してしまうより、旅先だからこそ、非日常の世界観を垣間見てみるのも思い出深い体験になるのではないでしょうか?
そして、ティータイムや朝食体験だけの憧れのホテルで、いつかアフタヌーンティーやディナー、宿泊という夢を叶える「物語のある旅」の自分史を更新していくのもステキですね。