オックスフォードの”アリスデー(Alice’s Day)”

“アリスデー”って何?

~2023年のAlice’s Dayも最高に楽しい~

前回の記事でオックスフォードが「アリスに染まる日」?と多少オーバーな告知をしていましたが、『不思議の国のアリス』の原点となるストーリーが「7月4日」に語られた史実にちなみ、オックスフォードでは「7月の第1土曜日」が「Alice in Wonderland Event」。通称「Alice’s Day」と呼ばれ、街のあちこちで、アリス関連のディスプレイやミニイベントが開催されるので実体験レポでご紹介しますね。

~2018年ようやく叶った夢の1日~

実は、このイベントのことを在英の友人、数人に尋ねたのですが、皆さん、ご存知ない。英国関係のガイドブックで目にしたことがないレアもの?いや、アリスの物語に興味のない方々には比較的、地味なイベントなのかも?知名度が低いのは仕方ないのかもしれませんが、少し残念な気分でことあるごとにPRしています。

アリスファンの私でさえ、2008年にオックスフォードの街歩き中で「Alice’s Day」というポスターを見つけるまで、そんな記念日があることさえ知りませんでした。帰国後、検索してもホームページがない、直前まで内容が決まらない。現地に行かないと詳細がわからないという地元密着のお祭りで、のんびりムード。
現在は進化していますよ!

~この1枚のポスターから私の「取材」はスタート?~

2018年「Alice’s Day」感激の初参加!

2018年、初めての参加は在英の友人と共に、水色の浴衣にアリス柄の帯を締めて参加するほどの張り切りよう。直前までスケジュールもよくわからず、行き当たりばったりの参加でしたが、ワンダーランドの世界観が色濃く、このまま、終わらないでいてほしいと願う笑いが絶えないイベントで、すっかり魅了されていまいました。
その様子はCha Tea紅茶教室との共著『お家で楽しむアフタヌーンティー』にも写真と共に紹介させていただいています。

~初参加の高揚感は忘れられない思い出~

ひとり参加も楽しめるお祭り

2023年は7月1日(土)が「Alice’s Day」。
今回もじっくり楽しみたいと金曜の夜から「ソロ旅」の「前のり」で気分は上々。朝からホワイト・ラビットが指さす「ザ・ストーリー・ミュージアム(The Story Museum)」へ向かうだけで胸が高鳴ります。

~石畳の古き街並みにホワイト・ラビットの標識がノスタルジック~

ブルーでペインティングされたストーリー・ミュージアムでは、毎年趣向を凝らした演出があり、特に子供たちが喜ぶアトラクションもいくつか用意されています。

~2018年とはガラリと雰囲気を変えたブルーの外観~

インフォメーションデスクでトレイルマップを受け取り、アリスイベントのタイムスケジュールをチェック。扮装していているスタッフとの会話を楽しみながらチケットを購入する(WEB予約可能)だけで、お祭り気分に突入できる特別な1日の始まりです。

~撮影にも気軽に応えてくださり親近感アップ~

アリス関係の本のディスプレイは、さすがご当地、センスが良くて参考になり、日本では見たこともないBOOKが並び、画になりますね。

~ご当地アリス本のディスプレイはお見事~

カップケーキもカラフルにデコレーションされ日本の優しい色合いとは違う英国らしさを感じ、素朴な英国菓子も、この日はステキなディスプレイになっていました。

~英国菓子のディスプレイもAlice’s Dayのスタッフで映える~
~物語イメージのカラフルなカップケーキ~

オレンジとパープルの帽子がユニークなカップケーキは、それほど甘すぎず、濃い目の紅茶と美味しくいただきました。2018年は異常に暑かったアリスデーで冷たいドリンクしか飲めなかったのですが、昨夏のオックスフォードは肌寒く、熱い紅茶が身に沁みて、「ひとりお茶会」も、気分上々。

~朝食代わりのラブリー・ティータイム~

さて、人気のミニツアーに参加してみましょう。オックスフォード大学クライスト・チャーチの図書館へガイドさんと共に出発です。作家ルイス・キャロルの教授室も近く、出版本の前のルイス・キャロルが描いた原画も鑑賞でき、ミニレクチャーの受講あり。以前は撮影OKで無料のイベントでしたが、昨夏は撮影禁止、有料イベントに変わっていました。毎年開催されるという保証もないのですが例年、何か目玉の企画があるようで、常連参加者さんの楽しみにもなりますね。

~ガイドに案内されクライスト・チャーチへ~

これぞ!お祭り気分の会場

場所を移動して、オックスフォード大学自然史博物館前、子供が集まるイベント会場は仮装した人たちも多く、無料でフェイスペインティングのサービスも楽しそう。それぞれの顔にトランプ柄をペイントされて、はしゃいでいる子供たちは、地元の人たちが圧倒的に多く、アットホームな雰囲気がたまりません。ひとり参加も安全で、違和感なく「地元のお祭り」に馴染んで、つい笑顔になってしまいます。

~歴史的建造物前の庶民的な屋台に群がる人たち~

「Eat Me!」と書かれていたスタンドは「誰でもケーキやデーツ、無料」の「アリスのティーパーティー」だそう。小さな帽子のカチューシャをしたお姉さんからデーツをいただきました。グリーンの三日月に星?日本では、こんなイメージでアリスの世界観を表現しないだろうけど、これまた「異空間のアリス」が興味深く、皆さん、それぞれにお祭りを楽しんでいる様子が伝わります。

~カップケーキデコやデーツ、どこの国の”アリス”?~

手作り感満載のイベントは微笑ましく、約160年前の物語の舞台である、この街の住人には登場人物さえ身近で、たった1日のためのイベントを盛り上げるパワーにも溢れていました。

~一般人の仮装、アリス・ハートの女王・ドードー鳥トリオに会う~

フィナーレは”アリス軍団”に出会う

さて、またメイン会場のストーリー・ミュージアムに戻ると、突然、仮装したアリスとハートの女王、トランプ兵軍団が現れ、一気に会場が騒がしくなります。こちらはイベント主催サイドの、ある意味、公な「アリス軍団」。タイムスケジュールでの記載はアバウトな時間なので、急なお出ましに歓声も上がり、子供たちは、大はしゃぎ!彼らのパフォーマンスのあとは、子供たちがそれぞれに”アリス”に話しかけていったりサインをもらったりという「ふれあい」が続きます。無邪気に喜ぶ子供たちを見ると「やはり今年も参加して良かった」と、心から思えるのでした。

~この素朴な「ふれあい」がイベントの原点~

なかなか途切れない子供たちの行列。そろそろ予約しているアフタヌーンティーの時間が近づいてきて焦り出します。しかし、せっかく、この日のためにオックスフォードにやってきた私は、硬い意志のもと、子供たちの列が途切れた瞬間、”アリスちゃん”に近づき「はるばる日本からやってきました!アリスファンです」と直接、話しかけに行きました。彼女も感嘆の声をあげてくださり、握手もできて感動マックス!

ただ、その直後に後方にいたハートの女王が「子供が先だよ!」と「首をはねよ!」くらいの大きな声で、私を怒鳴りつけたのです。公衆の前で恥ずかし過ぎる。

~小柄なアリスちゃんに比べて威風堂々のハートの女王~

物語同様、かんしゃく持ち?のハートの女王。最初は怒られたことにビックリしましたが、すぐに『日本から来た老齢の女性、ハートの女王に怒られる』と、イベントで語る「ネタ」にできると気持ちを変えました。怒られても、可愛い”アリスちゃん”に直接、「日本からこの日のために来た」ことを伝えて、満面の笑みをいただき、その瞬間は旅の記憶のなかのハイライトシーンになったのですから。

~アリスちゃんは優しく参加者さんに微笑み返し~

イベント参加の子供たちも、この日、自分たちが読んでいる『Alice in Wonderland』の登場人物と直接話せたり、遊んでもらったり、良き思い出として心に刻まれていくのでしょう。そんな子供たちの笑顔を見ているだけで、作家ルイス・キャロルもきっと、喜んでいるに違いないなと思い、アリスゆかりの街だからこそのイベントなのだと改めて感激したのです。

~子供たちの笑顔が輝くアリスの記念日~

大人も楽しめるイベント!お茶会企画も出現

さて2024年も7月6日(土)に開催されたアリスの記念日。今までのスケジュールも組み込まれながら、「ボタニック・ガーデン」で、「帽子屋とうさぎのティータイム」が1日に数回企画されたようで興味深い。まさに物語どおり帽子屋さん(Hatter)と野うさぎ(Hare)と一緒に過ごせる「お茶会」なのです。これは体験してみたいですね。

~公式ホームページよりお借りした画像~

最近は、ホームページも充実していて当日のスケジュールもPDFでプリントアウトしておけばチェックして1日の時間配分を考えられます。毎年、新しい企画ができて進化している気がします。ちなみに2025年は7月5日(土)開催予定。私も再訪を願っているところです。

*「Alice’s Day」の公式ホームページ」*
https://www.storymuseum.org.uk/about-us/alices-day-1

坂井みさき

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坂井 みさき/雑誌編集記者、趣味の海外旅行の経験を活かして、2010年に「紅茶でおもてなし教室Tea Mie」をオープン。その後、愛称の「ミンミン先生」とし...

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