イギリスのマーマレードの世界
~ダルメインマーマレードアワード&フェスティバル リターンズ Part2~

趣のある絵画の前に並べられたフェスティバル出品マーマレード
マーマレードフェスティバル

マーマレードフェスティバル

フェスティバルという言葉は、心が躍ります。もう5回もフェスティバルに参加しましたが、マーマレード三昧の一日は、何回行ってもいいものです。
当日は、ホームメイド(アマチュア)部門の授賞式以外にも、いくつかのイベントがあります。
フェスティバルに参加するためには、館の中に入るためのチケット購入が必要です。事前にフェスティバルのプログラムも公開されるので、ネットで購入するのが一番手軽です。
今年は「くまのパディントン」の作者、マイケル・ボンドさんの娘のカレン・ジャンケルさんのお話や、ダルメインのマーマレードを使用したジンの紹介、アーティザンの審査員による「マーマレード・クエスチョンタイム」などがありました。ゴールド受賞のマーマレードのテイスティングはもちろんのこと、販売用のマーマレードもたくさん並んでいます。

館の中に飾っているのは、ホームメイド部門に出品されたマーマレードです。カテゴリーごとに並んでいますが、これを1つずつ並べるだけでもさぞかし大変だったことでしょう。

マーマレードのレシピを書き残した、エリザベス・レインボーの肖像画の前に並ぶマーマレードの作品
壁の絵は、17世紀にマーマレードのレシピを書き残した、エリザベス・レインボーの肖像画
彼女のレシピが、マーマレードアワード&フェスティバルのインスピレーションの元になった
ダルメインの館の各部屋に並ぶマーマレード
館の各部屋に飾られているマーマレード
チャールズ国王の戴冠式にちなんだテーマの出品作品
チャールズ三世の戴冠式に因んだ今年のカテゴリー「Marmalade For The King」
オーストラリアのゴールド受賞者が作ったマーマレードは木箱入り
今年戴冠式を迎えるチャールズ三世に贈られた

マーマレード・クエスチョンタイム

ぜひ参加すべきなのは、「マーマレード・クエスチョンタイム」。アーティザン部門の審査員による恒例のイベントです。マーマレードをおいしく作るコツはもとより、使う水、柑橘の苦みが強い場合など、自分が疑問に思っている事をなんでも質問できます。素晴らしいのは、質疑応答の間にマーマレードの歴史と文化の話を挟むこと。審査員であり、食の歴史家アイバン・デイさんが「昔のマーマレードは、ギャリポットという陶磁器の器に入れて保存していた」と歴史を加えて話をまとめるあたりは、さすがだと思います。こういう話が聞けるのは、ダルメインのマーマレードフェスティバルならではの事です。

マーマレードのテイスティングは欠かせない

テースティング用にテーブルに並べられたマーマレードの瓶
マーマレードのテイスティング、ブルーの皿のマーマレードは購入できる

たくさんのゴールド受賞のマーマレードを、一度にテイスティングができる機会はそうそうありません。世界のマーマレードを味わうチャンスです。しかしマーマレードは甘いので、食べている内にだんだんと味がわからなくなります。審査の時は、塩味のクラッカーを食べて、舌の感覚を戻すと聞きますが、テイスティング会場ではそれはできません。時々休憩を入れながら、自分の好きな味のマーマレードを見つけたら、売切れにならないうちに買いましょう。

自分のマーマレードはどんな評価?

マーマレードの瓶を片手に出品者にアドバイスを行う審査員
マーマレードのアドバイスをする審査員

コンテストに応募した自分のマーマレードの評価、気になりませんか?
フェスティバルの間だけ、審査員に自分の出品したマーマレードの評価を仰ぐ事ができます。もちろんホームメイド部門に応募したマーマレード限定です。もし審査員がいらっしゃったらマーマレードとコメント入りのマークカードを持って、お伺いをしてください。豊富な知識のある審査員からアドバイスをいただける貴重な機会。マーマレードの腕もワンランクアップする事間違いなしです。

ダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバル日本大会

ミニチュア日の丸国旗と飾られる日本から出品のマーマレード
日本から出品されたマーマレード

2019年から愛媛県八幡浜市でダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバル日本大会が開催されています。今年は2000本近くのマーマレードが出品されたと聞きました。
私はマーマレードアワード&フェスティバルの初回大会の時に、八幡浜を訪れました。マーマレードのカクテルのイベントがあると誘われ、イギリス人の友人と行ったのが、八幡浜市内にあるお店。ダルメインのジェインさんやダンさんなど、イギリスと日本の関係者の集まりでした。ダンさんの指導でバーテンダーが作ったのは、日本酒とゆずの香りが入った、マーマレードカクテル。その味わいは忘れられません。マーマレードフェスティバルでは、マーマレードのカクテルのイベントもあったら、もっと楽しいかもしれませんね。
翌日のフェスティバルでは、会場にたくさんのマーマレードが飾られ、テイスティングもできました。
今年の日本大会の応募の時期は、2月から3月の半ばでした。結果は発表されていますが、その表彰式とフェスティバルは、11月11日(土)と12日(日)です。
日本のフェスティバルはどんな感じでしょうか、楽しみです。

ダルメインの八重桜

八重桜の植樹を行う愛媛県の八幡浜市長と関係のみなさん   
八重桜の植樹  提供:愛媛県八幡浜市   

今回はフェスティバルの開催にあわせて「日本大会ライセンス契約署名式」がありました。これは、第5回から第7回までの日本大会の開催をダルメインが八幡浜市に認めるというもの。フェスティバルの前日、ドリンクパーティーの席上で、ダルメインと八幡浜市の友好の証しとして、八重桜の植樹がありました。
まだ小さい木ですが桜の花が満開です。来年のフェスティバルでは、もっと大きく成長して、美しい桜の花を見ることができるでしょう。

変わること、変わらないこと、そしてダンさん

ダンさんとその隣りに八幡浜市長、左から二人目がライターの林敦子さん
ダンさんと、その隣は八幡浜市の大城市長
Courtesy of Dan Lepard

ダン・レパードさんが、アーティザン部門のヘッド審査員の役を引退すると聞きました。
2016年私が初めてダルメインの授賞式に参加した時も、黄色の蝶ネクタイのダンさんの事をよく覚えています。それはとても残念ではありますが、もともとダンさんは、パンやお菓子の分野では、イギリスでも有名なベイカーの1人、その上フードライターとして、英国のBBC、新聞のコラムの執筆、本も出版されています。今まで日本で何回も開かれたダンさんのパンやお菓子の教室は大人気です。私も6月に日本で開催されたベイキングの教室に参加しました。それはとてもわかりやすい内容で、その上ダンさんのユーモア溢れた、とても楽しい教室でした。
マーマレードにはトースト、パンがつきものですね。次回ダンさんが来日した時は、サワードウのパン教室に参加してみたいと思います。
これからは、マーマレード以外のイギリスの食の楽しみと文化を日本に広めてくれるに違いありません。

人をつなぐマーマレード

光が差し込むセント・アンドリュース教会の窓と、その前に並ぶマーマレードの瓶
フェスティバルの翌日の朝、ミサが行われたセント・アンドリュース教会
この窓には、ダルメインの館とその前に立つヘーゼル家当主のお母様の姿がデザインされている

ダルメインと日本の繋がり、マーマレードは海を越えて、人の結びつき、夢を作るものかもしれません。私のマーマレードにも、愛と希望と夢がたくさん入っています。みなさんが作るマーマレードもそうでしょう。
本当にマーマレードは世界の人々をつなぐ掛け橋です。

ダン・レパード氏のインスタグラム https://www.instagram.com/danlepard/
ダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバル日本大会 
https://marmalade-festival.jp/

~ダルメイン・マーマレードアワード&フェスティバル リターンズ Part1 ~は、こちらから

《お知らせ【ENGLISH SUMMER FAIR 2023】》

長野県の八ヶ岳中央高原、原村のカントリーマナーホテル”Wandsworth(ワンズワース)”で、
2023年8月25日(金)13時~8月27日(日)15時の3日間開催されます。
イングリッシュキッチンは、ブラックカラントジャム、ラズベリー&ブラムリーアップルジャム、ブラムリーアップルチャツネ、マーマレード(甘夏&レモン、甘夏を販売しますが数量が少ないため、無くなり次第終了)
を販売します。
(UK Walkerもエマ・ブリッジウォーターのテーブルウェアで出店しています!)

詳細は“Wandsworth(ワンズワース)”サイトでご確認ください。

林敦子

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EnglishKitchen®代表。イギリステイストのマーマレード、ジャム。チャツネを製造販売。 日本紅茶協会認定ティーインストラクター。 イギリスでマーマ...

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