バラエティー豊かなイギリスのソーセージを使って「バンガーズ&マッシュ」
イギリスのソーセージ
イギリスに渡英して、日本と大きく違うと感じたのがソーセージである。日本のソーセージはパリッと皮がはじけて中からじゅわっと肉汁が溢れ出る。一方イギリスのソーセージは、ソーセージの皮の中に肉にハーブやパン粉で作ったソーセージミートがぎゅっと詰まっていて食感は柔らかい。最初に食べた時は、なんとヘタレなソーセージなのだろうとがっかりした。その当時はフルイングリッシュ・ブレックファーストには欠かせないため、時々食べることはあったが自分から進んで購入して食べることは少なかった。
<「イングリッシュ・ブレックファースト」のコラムはこちらで>
ここ最近は、かなりこのソーセージも変わってきた。
歯ごたえは相変わらず日本とは違うが、フレーバーが増えたのである。
スーパーマーケット各社が競って出すオリジナルな味わい。これが実にバラエティー豊かである。
今回のコラムでは珍しいソーセージを選んで紹介する。
珍しいフレーバーのソーセージ紹介
しっかりと炒めた紫玉ねぎの甘みがほのかに香るソーセージ。風味豊かな玉ねぎと豚肉の美味しさが詰まったソーセージ。焼く時に他のソーセージより焦げやすいので注意が必要。
トゥールーズソーセージは、フランス南西部の都市・トゥールーズ発祥の生ソーセージ。そのソーセージのテイストを取り入れたもの。豚肉、スモークベーコン、赤ワイン、ニンニクなどが入っており、なんとも言えない贅沢な味わい。
こちらは珍しいビーフソーセージ。スコットランドのアバディーン地方の牛肉を使った細めの生ソーセージ。粗挽き黒胡椒が味のアクセントになっている。細いので焼き時間が短く調理しやすい。
スペインのチョリソソーセージからインスパイアされたソーセージ。細かく刻んだ豚肉とスパイスから作られる。通常チョリソはサラミのような食感だがこれをソーセージ仕上げにしたものというとイメージがつくのではないだろうか。
バンガーズ&マッシュとは
まだまだ挙げたらきりがないイギリスのソーセージ。
今回はCaramelised Red Onion(キャラメライズ オニオン)を使ってイギリスの庶民的な食事の代表と言われている定番料理「バンガーズ&マッシュ」を紹介する。
バンガーズとは爆竹の意味。ソーセージが調理中によく破裂したことからこの名が付けられたという。マッシュはマッシュポテト。イギリス料理の由来はとても面白く、五感を使って料理名が付けられていることも少なくない。私が調理している時にソーセージの皮が破れたことはあるが、爆竹のような音はじつはまだ聞いたことがない。
仕上げにかけるグレイビー(肉汁ソース)は、なぜかオニオングレイビーが定番なことが多い。玉ねぎの甘みを生かしたソースもぜひ手作りして本場イギリスの味を楽しんでいただきたい。
バンガーズ&マッシュレシピ
材料 2人分
(ソーセージ)
- 生ソーセージ: 太め4~6本 ←お好みの量
- オリーブオイル: 大さじ1
(マッシュポテト)
- じゃがいも(男爵などのでんぷん質の多いもの): 400g
- 無塩バター: 25g
- 牛乳: 50~60ml ※好みの硬さになるように調節可
- 塩、粗挽き胡椒: 小さじ1/2
(オニオングレイビー)
- 紫玉ねぎ: 小1個(約100g)
- 無塩バター: 25g
- 砂糖: 小さじ1/2
- 薄力粉: 大さじ1強
- 赤ワイン: 40ml
- スープストック(ぬるま湯100mlと固形ブイヨン(種類なんでも良い)を1/2を溶かしたもの)
作り方
- ソーセージを作る。
フライパンにオリーブオイルを熱し、弱火でじっくり時間をかけてソーセージを焼く。
*ここでは焦がさないように太めの生ソーセージにしっかり火を通すことが大事。マッシュとオニオングレイビーが同時に仕上がるように時間をかける。
代用のソーセージが細い場合はマッシュポテトやグレイビーの仕上がりのタイミングを見計らって焼く。
- オニオングレイビーを作る。
- 紫玉ねぎは半分に切り皮を取り除き、繊維に逆らって薄切りにする。
- 小さめのフライパンにバターを中火で熱し、弱火にして玉ねぎを根気よく炒めかなりしんなりしたら砂糖を加え飴色にする。
- 飴色になったら薄力粉を加えてさらに炒める。
- 赤ワインを加えアルコールが蒸発したらスープストックを加え、混ぜながらなめらかなグレイビーに仕上げる。
- マッシュポテトを作る。
たっぷりの湯を沸かし、皮をむいて4等分にしたじゃがいもを入れて13分前後(じゃがいもの種類や大きさによって調理時間は調節)茹でてザルにあけて水気を切り、再び鍋に戻してバターを加えてマッシャーまたはフォークの背で潰す。牛乳を加えて木べらでなじませ、塩、胡椒を加えて練りまぜなめらかにする。
- マッシュポテト、ソーセージを盛り付け、オニオングレイビーを上からかけて完成。
ポイント
*茹でたグリンピースやニンジンなど彩りのよい温野菜を添えてもよい。
*マッシュポテトは茹で時間が足りないと潰しにくいので柔らかくなるまで茹でる。
ビールによく合うパブメニューにも欠かせないこの1品。
イギリスのビールを準備しておうちパブを楽しんでいただきたい。
パイの祭典「British Pie Awards 2022」に審査員として参加!
3月に英国のルトン・モーブレーで開かれたパイの祭典「British Pie Awards 2022」 に審査員として、エリオットゆかりさんが参加されました。
こちらの情報は、“阪急うめだ本店”が運営する「英国ライフ」の読み物でご紹介しています。2009年から開催されているパイアワードを決めるこの祭典、今年は976種類のパイが出品されたそうです。
ちなみに審査員と言えど、全部のパイを食べるのは難しく、23のカテゴリーに分かれたチームで審査を行い、エリオットゆかりさんは「Hot-Eating Savoury Pie」(温かいおかずパイ)の担当でした。
審査したパイには、味噌を使ったパイもあったそうで楽しい審査の模様を伺えますよ。
ぜひ“阪急うめだ本店”運営の「英国ライフ」記事もご覧になってください。
『英国で一番のパイを決める「British Pie Awards 2022」』
》アワードに潜入!!
》審査を開始!
》審査が終わると、次は採点へ!
》いよいよ結果発表!
by UK Walker編集部