写真で巡るイギリスの旅
~ウイルトシャー&コーンウォール~
世界でもっとも有名な先史時代の巨大遺跡『ストーンヘンジ』
ストーンヘンジの巨石がどのようにして作られたのか謎であるが、「イギリス魔界紀行」荒俣宏氏によると紀元前3000年頃に作り始められ、その後1000年ほど建設が続いたらしい。
最近は年に数回、夏至や冬至に合わせてストーンヘンジで祭典が催されている。
私が撮影に訪れたこの日は、2万人もの人々が巨石の間から昇る夏至の日の出を見るためにストーンヘンジにやって来ていた。混雑で駐車場に入るために8時間待って ようやく駐車場に到着すると、夜の10時だというのに夏至の日は明るく音楽やダンスが始まりだした。ストーンヘンジの巨石の中ではすごいエネルギーが出ているためか、集まっている人々が精力的に踊っている。
4時頃から東の空が明るくなり始めると、日の出を見ようとストーンヘンジの回りは大勢の人で身動きが取れなくなる。5時前に太陽が昇り始めると一斉にどよめきが起こり、太陽に向かって拍手が起こった。
ストーンヘンジのむこうから太陽が昇り始めると、そこからの5分間が写真家にとっての勝負の時間だ。とにかく角度を変えながらも、無我夢中でシャッターを切っていった。太陽が完全に登ると、優しかった光が昼間の光線へと変わっていった。
巨石に囲まれた村『エーブベリー』
エーブベリーは4千年前にはすでに街を囲むようにストーンサークルがあったからおどろきである。何時、誰がなんの目的で建造したのか分かってはいない。村の直径は約3キロ、巨石はキリスト教によって破壊されたが辛うじて20個ほど残っている。一番高いのは5m、重さは40トンもある。
「デビルズ・チェア」と呼ばれる大きな岩は人間が窪みに座るのに丁度良いため、観光客が記念写真に収めている。ちなみにこの岩の回りを100回まわると悪魔を呼び出すことが出来ると地元では言われている。ダイヤモンドの形をした巨石は夜の間に1回転して元の位置に戻ると言われている。
エーブベリーの近郊に、紀元前2400年~紀元前2300年ころに造られた高さ40mほどの人口の塚、シルベリー・ヒルがある。
近代以降、幾度か調査・発掘がなされているが、特筆すべきものは出てこなかったようで、諸説があるなかで、天文台の役目をしていたのではないかと思われている。いずれにしても、霊が宿る小山であろう。
大地に刻まれたアフィントン村の「ホワイトホース」
ストーンヘンジから北へ約60キロ、 アフィントン村に「ホワイトホース」、アフィントンの白馬が刻まれている。
山の斜面にまるで白いチョークで描いたような、長さ114m、高さ39mの巨大な白馬の絵だ。疾走する馬の躍動感がみごとに表現されている。
3回目のヘリコプターで、ようやく納得できる写真を撮ることが出来た。
英国最大のパワースポット、グラストンべリー
グラストンベリーは英国で多くの謎と伝説に満ちた場所で、イギリス屈指のパワースポットとしても有名だ。
英国におけるキリスト教の発祥の地、聖杯が眠る場所、ケルト民族にとっては死者の霊の集まる所とも言われ、アーサー王の伝説でも知られている。現代では毎年夏になると有名な野外ロックフェスティバルも開かれている。
グラストンベリー・トーは標高145mの場所にあり埋葬地ではないかという伝説がある。内部が空洞になっており地下世界へ通じているともいわれている。頂上に建つ屋根のない協会、聖ミカエルの塔(礼拝堂跡)は、英国最大のレイライン(古代遺跡やパワースポットが直線で繋がったライン)のセントマイケルズライン上にあり、イギリスでも有数のパワースポットである。
グラストンベリー・トーの丘の上では、幻想的なパワースポットの写真を撮ることを考えた。天候も幸いし、夕陽を背景にした聖ミカエル塔の写真を撮影することができた。
アーサー王伝説
イエス・キリストの叔父のアリマテア・ヨゼフガ聖杯を携えてこの地にやってきた。ここに泥と漆喰で英国最初の教会を立てた。(『イギリス聖地紀行』沢田京子・著 )
やがて大規模な修道院になりグラストンベリー大修道院になった。
この修道院で最も有名なアーサー王のお墓。アーサー王はこの地で6世紀に亡くなったと言う。実在の人物だったのかはっきりとした記録がないが、6世紀ごろイングランドで活躍したケルトの王ではなかったかと考えられている。
聖杯の伝説
イエス・キリストが最後の晩餐で使用した聖杯をアリマテヤのヨゼフが密かにこの地に運び込み、泉の中に投げ入れたという。泉の色はキリストが最後に杯に落とした血のように赤い色をしており今でもこんこんと湧き出ている。中を覗いてみると暗く深い底のほうで神秘的な水面が見える。 湧き出す冷たい水からひんやりとした空気が漂ってきた。
アーサー王生誕の地 ティンタジェル
コーンウォールとイギリスの王といわれたアーサー王の生誕の地と言われているのがティンタジェル城である。
すさまじい景色の中に会える島で、風にさらされ険しい断崖に続く道を見るだけでも臆する。地上から孤立した自然の要塞 、急峻な岩盤に張り付くように設置された階段を上り下りしなければならない。
岩盤に張り付くように設置された木の階段を上り下りしながら、約90mに及ぶ階段を上らなければ城の入り口にはたどり着かない。
ティンタジェル城から車で15分ほどの町、ボスキャッスルからすぐのところにイギリス最大の魔女博物館「The Museum of Witchcraft and Magic」がある。建物全体が斜めに傾向いた魔法博物館である。
ハリーポッターでお馴染みの放棄を売っていたので、私も購入して外に出て試してみたけど、
どうしてもジャンプすることが出来なかった。
石造遺跡の半島 ペンウィズ半島
コーンウォール半島の西の突端がペンウィズ半島である。この地域は大地と様々な種類の石が産出されている。コーンウォール半島は岩盤に覆われ土が少なく、肥沃な土地が狭く農耕や民家に適さなかったことがかえって幸いし古代のままに石が放置されて残っている。
コーンウォール語で穴のあいた石「メン・ナン・トール」がある 。昔から治癒の力があるとくる病や首や腰の痛み、リューマチを患っている人はこの穴を太陽に背にして3回くぐりぬけ、丸石の周囲を時計回りに3回回ると治ると信じられ子宝にも恵まれるという。
この周辺は荒野で目印もなく探し回ってようやく見つける事ができた。
コーンウォールで最も大きな石舞台で3本ある高さ2mの石柱に5×3mの石が被さっている。アーサー王と円卓の騎士たちの宴会用テーブルだという。この大きさでは彼らがよほどの巨人でない限り使いようがないと思える。
石の中ほどに頭が入りそうな窪みがあり、鎧を来たまま横になれそうだ。
周りはヒースとゴースの荒野が広がり寒々しい所である
地の果て「ランズエンド」
地の果てを意味するランズエンドはイギリスの最西端に位置する。この岬に訪れた時は風が強く飛ばされそうなった。
青々とした海が広がり大西洋に面して「ランズエンド」の標識がある。岬の先端にある標識には、シリー諸島まで28マイル、スコットランドのジョン・オ・グローツまで874マイル、ニューヨークまで3147マイルと書いてある。アーサー王が戦いで致命傷を負った後、小舟に乗せられて行ったアヴァロンとはシリー諸島の一つはないかと言われている。
ランズエンド岬の近くに、驚くことに一人の女性ロエナ・ケイドが崖を切り開いて作った野外劇場「ミナック・シアター」がある。1923年から50年ほどかけてこの崖を1人で切り出し、手押し車で石を運び、ドリルで石を掘って劇場建設の仕事を文字通りコツコツと1980年に死去するまで根気よく続けたのである。そして村人たちも劇場作りに協力し始め、1983年に一般公開するまでになったが、そのオープニングの数ヶ月前にロエナはこの世を去ってしまった。
海を背景に黄昏に染まる景色は最高の演出である。