クラナハンのお話しとレシピ
スコットランド人が愛する1月のお祭り「バーンズナイト」
クリスマスシーズンや新年のにぎやかな雰囲気も去り、トーンダウンしがちな1月。まだまだ長く暗い冬が続く中、イギリス、特にスコットランドではウィスキーを酌み交わしながらの明るい声や、バグパイプの音が響く夜があります。「バーンズナイト」と呼ばれるその宴が開かれるのは1月の25日。
この日はスコットランドの誇る国民的詩人ロバート・バーンズの誕生日。1759年、彼が生まれたのはスコットランドのサウスエアシャーにあるAllowayという小さな村。貧しい家庭に生まれながらも、授けられた教育と持って生まれた溢れる才能を生かし、愛するスコットランドをスコットランド語で感情豊かに謳い、今なおその詩はスコットランド人に深く愛されています。
中でも有名なのが日本でもおなじみの「蛍の光」のメロディー(古いスコットランド民謡)に彼が作詞したもの。原題は「Auld Lang Syne」といい、現地では新年を迎える時に歌われます。その歌詞は日本のものとは全く異なり、「友よ、古き昔のために一杯酌み交わそう」そんな内容。腕や肩を組み、にぎやかに歌われます。
若くして認められ、名声を得た彼でしたが、実生活ではお酒と女性をこよなく愛し、若干37歳の時にその一見奔放にも見える太く短い生涯を閉じます。その5年後、彼の命日にバーンズの近しい友人たち9人が集まり、その功績と愛すべき人柄を偲び宴を催します。そして次回は彼の誕生日に集まることを約束し、それが今のバーンズナイトの始まりとなったのだとか。
バーンズナイトのメイン料理「ハギス」
彼の愛したスコットランド名物を食し、スコッチウィスキーを酌み交わし、彼の詩を楽しむのがバーンズナイトのお約束。今ではスコットランドのみならず、イギリス全土はおろか、スコッチとバーンズを愛する世界中の人々の間にその習慣は広まりつつあります。
その宴の中心ともなるサパー(食事)のメインがハギス。羊の胃袋に羊の内臓と麦、玉ねぎなどを詰めて茹でる、いわばイギリスプディングの原型のような料理。パンパンに膨らんだその薄皮を裂くとボロボロッと溢れ出るその姿があまり美しいものではないので、ゲテモノ扱いされることもありますが、お味のほうは見た目より数段上です。
そこに必ず添えられているのがタティー&ニープと呼ばれる、じゃがいもとスウィード(加熱すると黄色くなる大きなカブの一種)のマッシュ。そして食事を締めくくるデザートにはやはりスコットランド名物のクラナハン。
スコットランドの名物デザート「クラナハン」
ここでようやく今日のお題のクラナハンの登場です。
これはスコットランド名物を一つのグラスに詰め込んだようなとってもシンプルで、ある意味とても贅沢なデザート。準備するのはスコットランドの主食でもあったオーツ、名物のラズベリー、ヘザーハニー(ヒースの花の蜂蜜)、スコッチウィスキーまたはスコッチウィスキーにヘザーハニーやスパイスなどを加えて作るリキュール「ドランブイ」、これらをホイップした生クリームと混ぜ合わせるだけ。
割合はお好みなので、これらを全部テーブルに並べて各自好みに合わせて自分のデザートグラスで合わせることもあるそう。
簡単に作れるおすすめのスコットランドデザート
簡単に作れるので是非お試しを!と言いたいところですが、今の季節、日本で美味しいラズベリーを手に入れるのは少々難しい。。。
そんな時には別のスコットランドデザート「スコティッシュフラマリー」や「カレドニアンクリーム」もおススメです。
「スコティッシュフラマリー」は言ってみればクラナハンのラズベリー抜きバージョン。泡立てた生クリームに炒ったオーツと蜂蜜、ウィスキーを加えたもの。シンプルですが、ウィスキーを効かせて大人味に仕上げるとオツなもの。
カレドニアンクリームは泡立てた生クリームに、苦みの効いたセヴィルオレンジのマーマレードとウィスキー、お砂糖とレモン果汁を混ぜたもの。レシピによってはクリームチーズを加えたり、オレンジやショートブレッドが添えられることも。
どれも混ぜるだけで出来る簡単デザート。大人になると食後にたっぷりのデザートはいらないけれど、でも何かひと口、食事の〆に添えたい、そんなときにもぴったりです。
バーンズナイトに関わらず、クラナハンはラズベリーの出回る夏に、スコティッシュフラマリーやカレドニアンクリームは一年中いつでも楽しんでいただきたい大人のデザートです。
クラナハン<レシピ>
Cranachan
~クラナハン~
<材料>
オーツ(オートミール)あればロールドオーツ _60 g
生クリーム(乳脂肪40%以上) ____________280ml
スコッチウィスキー(またはドランブイ*) ___大さじ2
ヘザーハニー(または好みの蜂蜜)__________大さじ3
ラズベリー(生)_____200g
- オーツをオーブンの天板に広げ170℃で色づくまで加熱して冷ましておきます。(フライパンでゆっくり炒ってもOK)
- 生クリームをふんわりする程度(角が立つ手前)まで泡立て、スコッチウィスキーとはちみつ、①の乾煎りしたオーツ(少し飾り用に取り分けておく)とラズベリー(こちらも飾り用を少し取り分けておく)を軽く混ぜ合わせます。
- グラスに分けて、取り分けておいたオーツとラズベリーをちらして出来上がり☆
*ドランブイを使う時は甘みが増すので、蜂蜜を控えめに。
★「スコティッシュフラマリー」にする場合は~
ウィスキーの分量を増やし、ラズベリーは加えません。
★「カレドニアンクリーム」にする場合は~
分量の生クリームを軽く泡立てたところに、ウィスキーと、柔らかくしたクリームチーズ100g、はちみつの代わりにマーマレード、レモン果汁とグラニュー糖を好みに合わせて適量加えて合わせます。器に盛ったらオレンジとショートブレッドを添えて。
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