バラと西洋シャクナゲを見るなら、バージニア・ウォーター
イギリスと言えばイングリッシュ・ローズとも言われるほど、5月の終わりから6月のカラッとした初夏は、あちこちでバラが満開となり大変美しい。バラ園を散策するのが恒例となっている。
しかしイギリス通の方々は、この国でバラと同じくらい愛される西洋シャクナゲをご存知だろう。
この西洋シャクナゲとバラの素晴らしさに大変人気があるのが、今回ご紹介するバージニア・ウォーター(Virginia Water)とサヴィル・ガーデン(The Savill Garden)だ。
ウィンザー城からロングウォークで直結『ウィンザー・グレート・パーク』
バージニア・ウォーターとサヴィル・ガーデンは、ウィンザー城から約8km南へ行った王室所有地、ウィンザー・グレート・パーク(Windsor Great Park)の中にある。ウィンザー城大公園だ。ウィンザー城とウィンザー・グレート・パーク北側は、ロングウォークと呼ばれるまっすぐな道で直結している。
ハイドパークの14倍 広大な敷地の『ウィンザー・グレート・パーク』
この公園はサクソン時代以前から存在したが、ウィンザー・グレート・パークの範囲が定義されたのは13世紀になってからである。広大な4,800エーカーの土地には、湖やバラ園の他に、鹿公園や峡谷園、ポロ競技場、森など、多様な風景が広がる。
ちなみに、ハイドパークは350エーカー。ハイドパークが約14個入る大きさということになる。そこで、1日で観光するにはあまりに広いので、その中でも特にお勧めしたいのがバージニア・ウォーターとサヴィル・ガーデンだ。
『バージニア・ウォーター』と『サヴィル・ガーデン』
バージニア・ウォーターは、もともと小さな川だったのを人工的に拡大変形して湖にしたそうである。それがいつかは定かではないが、王立陸軍が行ったと言われている。バージニアという名が、バージンのエリザベス1世に由来しているとも言われるので、これ以降ということも推察できる。
千年前にウィリアム1世がこの地を狩猟の場としていたことや、チャールズ2世がロングウォークに並木を植えたこと、ヴィクトリア女王がバージニア・ウォーターの岸辺でアフタヌーン・ティー楽しんでいたこと、エジンバラ公が70年近くグレート・パークを管理していたことなど、英国王室に関わる逸話は限りない。
またサヴィル・ガーデンにはバラ園があり、王室にまつわるバラの品種を見ることができる。キャサリン・ローズ、ロイヤル・ウィリアム、クィーン・エリザベス・ローズなどはその中でも近年の代表的なバラである。
『ウィンザー・グレート・パーク』は南東部ゲートからのアクセスで
地図を見ていただいてもお分かりだが、あまりに広いので、入り口、駐車場も数か所ある。お勧めの入り口はもちろん南東部のバージニア・ウォーターかサヴィル・ガーデン。
私が訪れた時は、サヴィル・ガーデンの駐車場に車を停めてビジターセンターから入園した。
ロンドン中心部からだとパディントン駅からFirst Great Western線でWindsor & Eton Central駅(30分)へ行くか、ウォータールー駅からSouth West線でVirginia Water駅(40分)へ電車が走っている。どちらかの駅からもタクシーでサヴィル・ガーデン入口へ行くのが良いだろう。
タクシーはWindsor & Eton Centralからだと16分、Virginia Water駅からだと10分と、Virginia Water駅からの方が少しだけ近いが、ロングウォークを背景にウィンザー城の絶景を眺めることができるWindsor & Eton Central経由の旅をお勧めしたい。
欲張りな人は、午前中ウィンザー城、午後サヴィル・ガーデンとバージニア・ウォーターという観光も可能だ。
オベリスク池を背景にバージニア・ウォーターへ
サヴィル・ガーデン入り口から入園したら、オベリスク池を背景に、トレイルの歩道を好きなように歩いて良い。ここで見逃したくないのが、サマーガーデンと呼ばれる一角のバラ園。ここは初夏に訪れれば、各種バラが満開で本当に素晴らしい。
バラのほか、色とりどりに植えられた花々が並ぶ。それらを楽しんで進むと、カンバーランド・オベリスク記念碑に行き当たる。ここで一息つきたい人は、カフェで紅茶やケーキなどで一休みできる。さらに進むと、ポロ競技場を抜けて、トーテムポールに行き当たる。
ここがバージニア・ウォーターの始まりである。ちなみに季節によっては、イギリスの国技であるポロの実際の競技シーンに巡り会うこともある。
バレー・ガーデンに咲き誇る西洋シャクナゲ
トーテムポールあたりのバレー・ガーデンを歩き進むと、ピンクや赤、白、黄、様々な色の巨大な西洋シャクナゲが、惜しむことなく咲き乱れている。高さは2m弱くらいの灌木で圧倒される。
その間に、紫陽花やロイヤル・バーガンディー(桜)、バレー・レッド(プリムラ)等々の花々の合間に蝶が戯れ、何とも甘い香りに包まれる。芝生の上に寝転がってもいい。このバレー・ガーデンを散策するだけでで充分楽しむことができる。
バージニア・ウォーターを散策
バージニア・ウォーターには橋が二つある。
時々サイクリストと遭遇するので、サイクル・ルートの橋があるあたりは気をつけたい。さて、二つ目の橋ファイブアーチ・ブリッジまできたら、湖の反対側に来たことになる。ここから引き返して別のルートを通ってもいいし、橋を渡って湖をぐるっと一周してもいい。
私たちは、ひとつ目の橋で引き返した。別のルートを通って、サヴィル・ガーデン入り口のカフェでアフタヌーン・ティーを楽しみ、イギリス風にスコーンをいただいた。
カフェでのイギリス人のこだわり
スコーンにのせるのは、なかなか日本では手に入らないクロッテッド・クリームと苺ジャム。クリームとジャムのどちらを先にのせるか、伝統を敬うイギリス人にはこだわりがある。
正解はジャム。
出てくるクリームとジャムを全てのせるので、塗るというよりも、のせるという表現が合っている。
紅茶は、私はやはり香りの強いアール・グレイが、スコーンに合うと思う。お土産売り場でガーデサヴィル・ガーデン物、またバージニア・ウォーターやサヴィル・ガーデンのグッズを買って、観光終了。
なんとも気持ちも心も爽やかで気持ちがいい。
王室にまつわる夫の思い出
ところで、王室にまつわる、とっておきの逸話を一つ紹介したい。これは夫がまだ若いころ、バージニア・ウォーター周辺を散策していた時の実話である。
その日、夫はバージニア・ウォーター北側のバレー・ガーデンに咲く西洋シャクナゲ、トーテムポール、ローマ時代の遺跡など、湖や小道周辺の素晴らしい景色に囲まれ、散歩道を楽しんでいた。数人でブライドルウェイを歩いていると、突然、馬車がスピードを上げてカーブを曲がりながら近づいてきた。夫は、故フィリップ殿下が手綱を握り、もう一人の人と一緒に馬車を操作しているのを見て、びっくりした。
歩いている人たちはすぐに歩道の脇に移動し、馬車に道を開けた。フィリップ殿下はそれを見て、帽子の縁を触って小さくお辞儀をし、感謝のジェスチャーをされたそうな。ほんの数分の出来事であった。
パークで馬車の練習をされたフィリップ殿下
さて、今年4月に99歳でお亡くなりになったエジンバラ公フィリップ殿下は、4頭立てと2頭立ての両方の馬車を競技として嗜んでおられたが、1980年代後半には競技としての馬車はおやめになられた。その後、90年代後半までは趣味として馬車の操縦をなされたそうだ。
この馬車操縦の練習にしばしばバージニア・ウォーターを利用されていたとか。1971年にポロ競技をお辞めになった後、50歳のときにこの新しい趣味に目覚められたエジンバラ公。馬車の運転がお好きなことで知られている。
馬車の運転は、通常、2輪または4輪の馬車を馬に引かせて行う。
数年前、お年を召したエジンバラ公が、お抱えの運転手がいるにも関わらず、自ら運転していた車で歩行者に接触してしまい、怪我をした女性に謝罪の手紙をお送りになったと新聞沙汰になったことがある。振り返ってみると、とにかく車でも馬車でも運転がお好きだったのだろう。
園内の利用条件確認を
訪問に当たって注意いただきたいことは、さすが王室所有地だけあって、園内の利用条件が徹底している点である。
例えば、犬が入れる所、入れない場所が徹底して決まっていたり、スケート禁止、ドーローンも禁止。乗馬ルートを歩いてはいけない、湖に入ってはいけないなど。
散策中、万が一馬車が近づいたら、きっとエジンバラ公を思い出して欲しい。
サヴィル・ガーデン夏季(3月1日から10月31日)
利用時間:午前9時から午後6時(入園最終時間5時)
入園価格:大人13.50ポンド、小人(5-15歳)6.50ポンド、4歳以下無料
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西洋シャクナゲと呼ばれる、一般に栽培されているシャクナゲ、ローディー。日本に自生するシャクナゲに比べ、生長も早く、ずいぶんと作りやすくなっているそうです。
非常に色鮮やかで豪華なものが多く、華やかさは数ある花木(花の咲く庭木)の中でもバラに次ぐものと言えるでしょう。
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