ロンドン から一番近い島、ワイト島(The Isle of Wight)

ワイト島の海岸
© Gordon bell

歴史ある港をいくつも持つイギリス。
航路の旅は人々を魅了してやまないもので、現在でもイギリスから出発するクルーズホリデーは人気を誇り、ホリデーシーズンに欠かせない話題です。
現在でもサザンプトンやドーヴァー、その他の港から国外に出発する船が毎日、毎時間のペースで出港しています。
そんな大掛かりな旅じゃなくて良いから、イギリス国内で気軽な船旅がしたい、ということでしたら、ワイト島に行くのはいかがでしょうか?

ポーツマス港やサザンプトン港からフェリーでワイト島へ

ヴィクトリア女王が50年以上も休暇のたびに島を訪れ終の住処として過ごした宮殿、伝説級の世界的ミュージシャンたちが演奏するミュージックフェスティバルが行われる島。
ワイト島は子供向けのアトラクションも数多く、自然も豊富で、食のレベルも高いので大人も子供も楽しめる場所です。
距離としてもロンドンから車や電車で一時間半ほどのドライブでポーツマス港、もしくは二時間でサザンプトン港から出発できる距離なので常にホリデー先の候補の名前に常に上がる場所であります。
ポーツマスからもサザンプトンも運行しているのはカーフェリーで車ごと船に乗り込み、45分の船旅でワイト島に到着することができます。
乗船後はデッキに出て船が港から離れて行く景色を楽しみ、船中のレストランでドリンクとスナックなどをいただいていたら、あっという間にワイト島についてしまいます。

オズボーンハウス(Osborne House)

オズボーンハウス(Osborne House)
© David Lamb

大英帝国が世界地図の4分の1を覆っていたと言う栄華の時代の君主、ヴィクトリア女王。
アルバート公との幸せな結婚生活で、4男5女、合計9人もの子をもうけたヴィクトリア女王のお気に入りであった王室の離宮、オズボーンハウスがワイト島にあります。
ヴィクトリア女王の誕生日の5月、夏のホリデーシーズンの7月8月、そして11月から12月のクリスマス前まではオズボーンハウスで過ごし、クリスマスを過ごすために公務を行うウィンザー城に帰っていくというのが慣わしだったそうです。

オズボーンハウスの内部
© Iainhamer

ハイドパークに隣接する高級住宅地、ベルグラヴィア を手がけた建築家、トーマス・キュービットの協力の元に内装から庭園まで6年の歳月を得て完成したオズボーンハウスは、アルバート公が若かりしき時に訪れ、魅了されたイタリアのルネッサンス様式がところどころに施されています。

オズボーンハウスの庭園
© David Lamb

宮殿内は豪華絢爛な内装に見えますが、先先代の贅沢好きだったジョージ4世の散財のおかげで、改装を始めた当時の王室の財政は圧迫されていました。
アルバート公の堅実なドイツ人らしい倹約のアイディアのおかげで、大理石の柱は大理石風に巧みにペイントされたものであったり、左右対称の二つの扉のうち片方が偽の開かずの扉となっていたりと、低予算で可能な限り豪華に見える数々の工夫が施されています。

大理石風に巧みにペイントされた柱
© lainhamer

ヴィクトリア女王とアルバート公の幸せに溢れた家庭生活を思わせるものは、オズボーンハウスで見ることができます。
その中の一つに宮殿の敷地内にあるプライベートビーチがあります。
この当時は、女性が海に入ることは滅多にない時代でありました。しかし海水浴が好きなアルバート公の影響でヴィクトリア女王も隔離されたプライベートビーチで海水浴を家族と一緒に楽しんだそうです。
しかも女王が肌を人目にさらすことはないようにと、浅瀬の海にも入ることのできる車輪の付きの着替えや休憩の部屋「ベイジングマシーン(水浴車)」が使用されていました。女王が使ったベイジングマシーンは今も保存されていますが、シャワーもついた設備などはその当時でも随一のものだったそうです。

ザ・ニードルズ (The Needles)

ザ・ニードルズ (The Needles)
© Acceleratorhams

ワイト島、西海岸にある「ニードルズ(The Needles)」現在はニードル(針)というには少々ずんぐりしていますが、150年ほど前は針の先端のように尖った巨大な岩々が海から突き上げるように並んでいたので、そう名付けられたそうです。長く白い岩崖の先には赤い巨大な灯台というコントラストの美しさは人々を魅了します。
ヴィクトリア時代は要塞だった崖の上は、現在はナショナルトラストが管理していて2、30分ほど歩いて行くとこの崖の端までたどり着くことができます。
この巨大な岩をもっと近くで見るのでしたら、ボートツアーに参加してみるのはいかがでしょうか?
崖下の桟橋から40分ごとに出発しているボートに乗ってこのダイナミックな景色を海の上から間近に見ると、普段は味わうことのできない開放感を味合うことができます。

崖の上とビーチを行き来するリフト

こちらのボートツアーの出発地の桟橋のある崖下のビーチに行くには、リフトを利用することができます。
崖の上とビーチを行き来する際にリフトを利用することができるのですが、リフトの椅子に乗り、崖を超えて行く移動はスリル満点!
海の向こうに見える白い崖と相まって、ダイナミックな自然の中で忙しい日常から解放されるのは間違いなしです。

ガーリックファーム(The Garlic Farm)

ちょっと心細くなりそうな、細い道を進んでいくと、ガーリックをメインにした、ファームショップと併設されたレストランが現れます。お店いっぱいにディスプレイされたガーリックがなぜかとても可愛く魅力的にみえます。

ガーリックファーム(The Garlic Farm)

お店にある商品もガーリックを使った製品がたくさんありました。
パッケージのデザインも可愛らしく、ニンニクを使ったチャットニー、ソース類など数々の商品は選ぶのに迷ってしまうほど。ワイト島のお土産を買う場所としてもオススメです。

ガーリックファームの内部

レストランではお天気の良い日は自然いっぱいの敷地に面したテラス席でのお食事ができます。こちらのお料理ももちろんニンニクは使われていますが、アクセントほどですので、モダンブリティッシュ的なメニューを楽しむことができます。
デザートはもちろん、ガーリックアイスクリーム。
ちょっと恐々と頂きましたが、ガーリックの風味はほんの少し感じられるほどなので安心して食べることができます。

ガーリックファームの敷地に生息するリス

ファームの敷地内は広大でファームステイができる宿泊施設もあり、そこで飼われている白い孔雀や生息している赤リスを見ることができます。
その昔はイギリス中に生息していた赤リスですが、100年ほど前に北アメリカから来た灰色のリスが上陸してから、その生命力の強さで繁殖するのと反比例して赤リスの数は減少してしまい、現在ではイギリスの北部、ウェールズの一部、スコットランドなどで見られるだけの希少な存在の動物となってしまいました。
ロンドンではみられない赤リスなのですが、離島であるワイト島ではちゃんと生息しておりました。

シャンクリン(Shanklin)

茅葺の家が立ち並ぶシャンクリンの街

島の中でもホテルやベッドアンドブレックファスト(B & B)が集まる「シャンクリン地区(Shanklin)」
この地区には牧歌的な茅葺き屋根の家々が建ち並ぶ、オールドタウンがあります。

シャンクリンの茅葺の家
© Johnhill118

雑貨屋さんに、アンティークショップ、レストラン、ピンクの壁が可愛らしいティーハウスと、まるでタイムスリップした光景です。

カントリースタイルのティーハウス
© Johnhill118

ティーハウスの内装も外観と同様の可愛らしいカントリースタイル。
伝統的なティーハウスの定番メニューである、クリームティー、アフターヌーンティーのセットはもちろん、スープとサンドイッチ、ジャケットポテトの軽食など豊富なメニューが揃っています。広いガーデンもあるのでお天気の良い日はガーデンの花々に囲まれ、美味しいリーフティーをいただくのもオススメです。

シャンクリンのビーチ
© Johnhill118

シャンクリンの街がある崖の上と崖下のビーチに隔たりがあるように見えますが、ビーチまで直行できるエレベーターがあり、ビーチには楽々と行けるようになっていますので、カントリーサイドの散策とビーチリゾートがセットになって観光できる街なのです。

まっきー

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ロンドン在住17年。 イギリス人の夫、14歳の娘と13歳の息子と笑いながらロンドン暮らし。 趣味はドライブ。 旅ロンドにて旅コンセルジュをしています。 貴方...

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