ケント州のワイナリーを訪れよう”カンタベリー観光とワイナリー”編《Discovering English Wine》

ケント州はお城やガーデンなど観光見所が沢山ある州の一つです。
そして、旅を楽しみながらワインとワイナリーを楽しみたいといった方々におすすめの場所も豊富で、カンタベリーもその中の一つであります。

カンタベリーの見どころ

カンタベリーと言えばユネスコの世界遺産にも登録されているカンタベリー大聖堂(Canterbury Cathedral)の他、市内を流れるストゥアー川(River Stour)を小舟で川下りを楽しんだり、中世の面影が残る建物や街並みを楽しんだりと、見どころも多い街です。

カンタベリー大聖堂(イングランド国教会の総本山)
小舟に乗ってのツアーも楽しめます

川沿いのオールド・ウィーバーズ・ハウス(Old Weavers House)の裏手には、川に突き出た中世のダッキング・スツール台(ducking stool「懲罰椅子」)を見ることができます。ふしだらな女性、悪徳商人そして「魔女」と疑われた者達が水責めにさせられたそうです。

懲罰椅子

え?っと観光客の目を引く曲がった家との意味のThe Crooked House (現在はチャリティー古本屋として使われています)。ドアもちゃんとこの斜め感に合わせて作られていました。
徒歩で回れてしまうコンパクトな街ですが、この他にも博物館等含め様々な見どころがあります。

The Crooked House 中に入ってみましたが、斜めっている感がすごく面白かったです

ロンドンからカンタベリーまで

ロンドンからは遠いなぁといった印象があると思いますが(自分もずっとそう思っていました)、セントパンクラス(London St Pancras International)駅から、電車であればなんと1時間以内で行けてしまうのです。
ですので、ロンドンにお住まい、そしてイギリスに観光でいらした方にもぜひともお勧めしたい観光地のひとつです。

【カンタベリーへの行き方】
セントパンクラス駅からカンタベリー・ウエスト(Canterbury West)駅まで54分 大聖堂までは徒歩10数分
ロンドン・ヴィクトリア(London Victoria)駅からでも行けますが、その場合はカンタベリー・イースト(Canterbury East)が最寄り駅となり、1時間半ほど必要となります。
それでもロンドンからは、十分日帰りで行ける距離です。

数々の受賞歴を誇るワインを作る『シンプソンズ ・ワイン・エステイト(Simpsons’ Wine Estate)』

シンプソンズ ・ワイン・エステイト

カンタベリーの近郊にも多くのワイナリー&ヴィンヤードがありますが、今回はその中の一つシンプソンズ ・ワイン・エステイト(Simpsons’ Wine Estate)をご紹介します。

シンプソンズ ・ワイン・エステイト
The Barns, Church Lane, Barham,
Canterbury, Kent,
CT4 6PB

Tel: 01227 832200

2002年以来、南仏”ラングドック”にあるドメーヌ・ド・サント・ローズ(Domaine de Sainte Rose)で素晴らしいワインの生産で成功を収めていたチャールズ&ルース・シンプソン夫妻(Charles and Ruth Simpson)によって、シンプソンズ・ワイン・エステートは2012年に、ここケント州はカンタベリーで設立されました。

チャールズ&ルース・シンプソン夫妻
ドメーヌ・ド・サント・ローズ(Domaine de Sainte Rose)のワイン達

ワインづくりのためのブドウは、ケント州ノース・ダウンズの日当たりが良く、傾斜のある極上のチョーク質土壌の葡萄畑(30ヘクタール)で土壌を活かして栽培されています。
このシンプソンズの2つのブドウ畑から徒歩圏内で、しかも2つの畑から等距離の場所に世界有数のワイン専門家の一人ズ・クラークによって、2016年9月に最新鋭のワイナリーがオープンしました。
ブドウ畑がワイナリーに近いと言うのは、一流のワインを作る上で非常に重要なポイント。2016年に最初の収穫を迎え、その後2019年にワイナリーが拡張されてからは、今ではなんと年間25万本以上のワインを生み出すワイナリーに成長しました。

最新鋭のワイナリー(醸造所)

数々の受賞歴を誇るシンプソンズ・ワイン・エステートのワイン

「チョークランズ・クラシック・キュヴェ(Chalklands Classic Cuvee) 2016」が2019年のシャンパーニュ&スパークリングワイン・ワールド・チャンピオンシップで金メダル、そして”ベスト・イン・クラス”のタイトルを獲得。

また、2020年国際コンテストのデカンター・ワールド・ワイン・アワード(Decanter World Wine Awards)において、フラッグシップ・スティル・ワインの「ザ・ローマン・ロード・シャルドネ(The Roman Road Chardonnay)2018」ヴィンテージがプラチナ・メダルを受賞、そして最高の栄誉である “ベスト・イン・ショー “にも選ばれました。

数々の受賞歴を持つワイン達

Railway Hill Rosé 2023 ロゼワインも2024年WINE GB ベストスティルロゼワイン賞(Best Still Rosé” at the 2024 Wine GB Awards)を受賞、と数々の受賞歴を持つワインを生み出されています。

ノ・ムニエのスティルワイン

Derringstone Pinot Meunier 2023 ピノ・ムニエ100%のスティワイン

シンプソンズではシャルドネ、ピノ・ノワールをはじめとしたスティルワイン数種、そしてChalklands Classic Cuvée NVをはじめとしたスパークリング数種を生産していますが、その中でもちょっと興味を引くのが、Derringstone Pinot Meunier 2023は ピノ・ムニエという自社畑で栽培された黒ブドウ100%で作られたスティルワイン「ブラン・ド・ノワール (黒の白の意)」=白ワインとして醸造されているワインです。

淡いピンク色を帯びた淡いゴールドの色調を持ち、洋ナシやリンゴの果実と白い花のフローラルな香りそして洋ナシと冬の赤いベリーの贅沢な風味、そしてバランスの良い酸味を楽しめるワインです。

ピノ・ムニエは冷涼の気候のイギリスでの栽培に適している種の一つですが、通常はイギリスのスパークリングワイン(そしてもちろんシャンパンにも)に使用されることが多く、「スティルワイン」それも「100%ピノ・ムニエ」からと言うワインは決して多くは(しかもイギリスでは特に)見られませんので、ワイン好きな方へのお土産としても喜ばれる一本となるでしょう。

スパークリングワイン達 ついついリピート購入してしまう美味しさ

日本で手に入るの?

スパークリングワインのWhite Cliffs Blanc de Blancs 2018 と Chalklands Classic Cuvée NV(こちらは在庫は少なくなっています)が 「やまや」https://www.yamaya.jp/ さんの方で扱いがあるとの事です。オンライン販売ではなく実店舗での販売とのことですので、どの店舗で売られているかなどの情報は直接「やまや」まで問い合わせてみてくださいね。

ワインツーリズム

シンプソンズ・ワイン・エステートはケント州の9つの先駆的ワイナリーで構成される「ワイン・ガーデン・オブ・イングランド(Wine Garden of England) 」 の創設メンバーでもあります。

こちらのワイナリーでは毎週水曜と一部の金曜の午後にテイスティング体験を、そして土曜と一部の金曜日にヴィンヤード/ワイナリーツアーと試飲等を体験出来ます。
他にも夏季のみの催しや、近くのレストランでの催しも不定期ですが行っているので、気になる方はぜひエクスペリエンスのページもチェックしてみてくださいね。
https://simpsonswine.com/pages/experiences 

テイスティングも楽しめます
スタイリッシュなティスティングルーム

昨年クリスマス前に行われたテイスティングイベントに参加しましたが、ワインメーカー(ワイン醸造家)さんも交えての各ワインの説明もあり、参加のみなさんからも多くの質問が飛び交っていました。

カンタベリーの街からはタクシー(車で)で12分程度の距離なのも嬉しいですね。
機会がありましたら皆さんも是非訪れてみてください。

その他のカンタベリーのおすすめスポット

カンタベリーの近くには他にも数多くのヴィンヤードやワイナリーがありますが、シャンパーニュ・テタンジェのドメーヌ・エヴルモン(Domaine Evremond)もケント州のチルハム(Chilham)に今年の春に正式オープン しました。

シャンパーニュ・テタンジェの『ドメーヌ・エヴルモン(Domaine Evremond)』

ピエール・エマニュエル・テタンジェとドメーヌ・エヴルモンの共同設立者であるパトリック・マクグラスMWが2015年に立ち上げた、この10年がかりのプロジェクト。2025年3月にデビューしたthe Classic Cuvée NV Edition 1,は80%が2020年収穫、20%が2019年収穫のピノ・ノワール55%、シャルドネ35%、ピノ・ムニエ10%のブレンドにて ステンレスタンクで発酵・熟成させ、3年間の澱とともに熟成させられています。さすが名だたるシャンパンメゾンの作り出すワインといった味わいです。
こちらも水曜~日曜にテイスティングやドメーヌツアーを開催されていますよ。

ドメーヌ・エヴルモンDomaine Evremond

シンプソンズからも車で20分くらいですので、曜日やタイミングが合えば2つのワイナリーを訪れることも十分可能です。またこちらも「ワイン・ガーデン・オブ・イングランド」のメンバーの一つとなります。

ドメーヌ・エヴルモン
Chalk Hill, Chilham,
Canterbury, CT4 8DT

Tel: 01227 696 05

この他にもカンタベリーから車で30分圏内には
Heppington Vineyard
Chartham Vineyard
Gorsley Vineyard
Barnsole Vineyard

などヴィンヤード(ブドウ畑)もいくつか点在しています。

CORKK イングリッシュワインスペシャリティショップ

カンタベリー中心部にあるイングリッシュワイン専門店

もう1箇所ぜひともご紹介したいのが、イングリッシュワインを専門に取り扱う「CORKK」ワイン店です。ワインショップ兼軽食も取れるバーは大聖堂からも数分のまさにカンタベリー中心部にあります。スタイリッシュな内装のワインショップで、イングリッシュワインがずらりと並んでいます。(一部他の国のワインも取り扱いあり)ワイン・ディスペンサー(ワイン試飲の自動販売機)もあって、気になるワインを少量から自分の好む量で楽しめるのも嬉しいですね!

ケント州のワインはもちろん、サセックス、ハンプシャーなど各地のワインが勢揃い
カウンターで専用カードにチャージをして自動で試飲ができるワイン・ディスペンサー

こちらのワインのセレクションには 世界で425名しかいないマスター・オブ・ワイン(MW)の資格を持つクライブ・バーロウ氏(Clive Barlow)が関わっています。
また前述したシンプソンズやドメーヌ・エヴルモン、もちろん今までご紹介してきた数々のワイナリーのワイン達も取り扱っています。

CORKK
29/30 Burgate
Canterbury, CT1 2HA
(ケント州タンブリッジにも店舗があります)

営業時間

  • 月曜:12:00-17:00
  • 火曜~水曜: 12:00-18:00
  • 木曜:12:00-19:00
  • 金曜~土曜: 11:00-22:00
  • 日曜:12:00-16:00

イギリスのワインを沢山味わってみたい!自分の好みを相談しながら購入してみたいという方にもうってつけのお店となっております。また、とっても居心地も良くワイン好きで集まるお店です。定期的にワインのイベントも行っていますのでぜひ機会があったらこちらも立ち寄ってみてくださいね。

この日は本日のイングリッシュスパークリングワインフライトを頂きました

大島理恵子

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英国サリー州在住 英国メディカルハーバリスト/アロマセラピスト/リフレクソロジスト 1994年英国に移住。 ロンドン市内のセラピールーム及び癌センターで施術...

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