クランペットのお話しとレシピ

バターがしっかり乗ったお皿の上のクランペット
クランペット

クランペットって?

近頃日本でも少しずつ知名度が増してきた「クランペット」。スコーンやイングリッシュマフィンがスーパーで普通に手に入るようになった今、次にくる(来て欲しい)イギリス粉モノはクランペットかしら、なんて期待しています。

「クランペット」はイーストで膨らませるパンの一種。ただし、オーブンで焼く通常のパンとは大分作り方は異なります。生地は粉に対して水分量が多いので、とろりとしたパンケーキ生地のよう。これをグリドル(平たい鉄板)やフラインパンの上にのせたリングの中に流し、厚さ2㎝程度に焼き固めます。直径9㎝位の平べったいおやきのような形状。そして一番の特徴は片面に空いている無数の穴。
食感はふわふわというよりはモチモチ、ひきのある生地です。モチモチ好きの日本人は一度食べればはまること間違いなし。

クランペットの穴の正体と役割

イギリスの人たちは、お茶のお供に、あるいは朝食に、クランペットを軽くトーストしてバターをたっぷり塗って食します。沢山穴の開いた面にバターをのせれば、一つ一つの穴を通じて底までしっかりバターがいきわたります。甘いものがお好きなら、ここにゴールデンシロップがあれば最高。ナイフで押したときにじゅわっと染み出す様はクランペットを食べる時の醍醐味。

穴の開いた生地にたっぷりのバターを載せたクランペット
ティールームではたっぷりバターがお約束

この穴の正体はイーストの発酵によって作り出される気泡。これがグリドルの上で熱せられ、表面で弾けた状態で生地が固まったもの。なので、最初に生地を入れた時に底になる面には穴はなく、片面にだけたくさんの穴が開いています。余計に泡を作り出すために、重曹をプラスすることもよくあります。
イギリスではもっぱらスーパーで買ってくる派がほとんどですが、いちから手作りしても楽しいもの。捏ねる手間も二次発酵も必要ないクランペットは他のパンよりはお手軽、何度かチャレンジすれば、きっとコツも掴めて満足のいくものが出来るはず。

今どきのクランペット

伝統的なあるいはちょっと古臭いイメージもあったクランペットですが、近頃のイギリスでは大分様変わり。大手メーカーの市販品ではハート型やイースターシーズンにはバニー型が登場したり、こだわりベイカリーでもチョコレート味など変わり種フレイーバーをそろえるところも。食べ方もバターやゴールデンシロップといったシンプル一辺倒ではなく実に様々。いつぞやロンドンで朝食に頂いたマーマイト+ポーチドエッグ+アボカド+トマトサルサは最高でしたし、スモークサーモン&クリームチーズは当たり前、ステーキ乗せから、ポーチドハドック(燻製の鱈)&ポーチドエッグのせ、なんて完璧お食事バージョンまでバリエーション豊か。マシュマロやアイスクリーム、フルーツソースなどの、デザートバージョンまで含めたらキリがありません。考えてみれば、食パンやバゲットくらいシンプルな味のクランペットですから、トーストやサンドイッチと同じくらいアレンジは自由自在ですよね。

テーブルのお皿に盛られたたくさんのクランペット
焼き立て熱々クランペット

クランペットの歴史と語源

そんなお洒落に変化しつつあるクランペットですが、その歴史は古く、Elizabeth Raffaldの18世紀の料理書「The Experienced English Housekeeper(1769)」 にもレシピが掲載されているほど。
語源は諸説あり、古英語のcrumpやcrumb(ねじれた、曲がったの意)から来ているというもの、薄いケーキを意味する、ブルトン語のkrampouezhやコーニッシュの krampoeth、はたまたウエルッシュでパンケーキを意味するcrempog かも、、などなど。昔のものはリングを使わず、直接熱く熱した鉄板で薄く焼いていたので、いずれも、周囲が反り返った薄いパンケーキ状のものに関連しているようですね。

クランペットのお仲間パイクレット

現在もミッドランド地方では、クランペット生地をリングを使わずそのまま天板で焼くタイプが見られます。「パイクレット」と呼ばれるそれは、パンケーキのような薄さで直径は通常のクランペットよりもう一回り大きめ、やはり、朝食やお茶の時間に、軽く温めてバターを塗っていただきます。
ヨークシャーにある有名ティールーム「べティーズ」のティールームのメニューにも、ベイカリーにも置いてあるので、機会があればお試しを。本当にびっくりするくらいシンプルなお味ですが、でもこれが大人になってくると、何か紅茶のお供が欲しいけれど、スコーンやケーキじゃ重いし、ビスケットじゃ寂しい、そんなときにはまさにぴったりなのです。

パイクレット
パイクレット

お茶の時間にクランペットやパイクレットを食べていると、子供の頃、物語を読んでいて不思議に思っていた、イギリスのお茶のシーンやおやつに登場する「バタつきパン」を思い出します。紅茶にバター付きパンじゃまるで朝ごはんみたいだから、甘いケーキのほうがいいのに!と思っていた昔の自分と「シンプルなバタつきパンも悪くない」と思う今の自分、果たして成長したのか胃袋が衰えただけなのか、、
午後のお茶のお供にはやっぱり甘いケーキがいいと思うか、たまにはこんなバタつきパンもいいと思われるか、皆さんも是非一度お試しを♪
もちろん朝食には最高です!

クランペットのレシピ

Crumpet

直径8.5cmクランペットリング(イングリッシュマフィン型)×12個分

材料

【A】
 ┏ 牛乳 __300cc
 ┃ 水 ____80cc
 ┗ グラニュー糖 __小さじ1
ドライイースト ___大さじ1
【B】
 ┏ 強力粉 _225g
 ┃ 重曹 __小さじ1/2
 ┗ 塩 ___小さじ2/3

作り方

*下準備* クランペットリングの内側にオイルを塗っておく

クランペットの作り方を撮った3枚の写真
クランペットの作り方
  1. 【A】を小鍋に入れて人肌程度に温め、ドライイーストを加えて混ぜます。
  2. 【B】をボールにふるい入れて、中央をくぼませます。そこに①の半量ほどを流し入れてホイッパーで中央から少しずつ粉を取り入れるようにしながら混ぜていきましょう。残り半分も加えて全体が滑らかになるまでよく混ぜたら生地は完成。ラップでふたをして、30~35℃位のところに45~60分ほどおき、約2倍に膨らむまで発酵させます。
  3. グリドルもしくは厚手のフライパンにオイルをうすく塗り、まずはクランペットリングを並べて温めておきます。そこにスプーンなどでリングの半分弱の高さまで生地を流し入れたら、弱火で約7分ほど焼き、表面に出ていた泡がはじけ、サイドが固まり始めたらリングをはずしてクランペットをひっくり返し、さらに色づくまで数分焼きます。

焼き立てにたっぷりのバターとゴールデンシロップを添えて、さぁいただきましょう~
冷めてしまったら軽くトーストしてから食べると美味しいですよ。
いつものパン同様冷凍も可能です。

【Tip】 穴が上手に開かない時~

  • 発酵後の生地の濃度が濃すぎると泡が出ても弾けてくれません。ほんの少しお水で緩めてあげましょう。
  • 最初のグリドルまたはフライパンの温度が低すぎるかも?しっかり熱しておきましょう。

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仙台市出身 宇都宮にてイギリス菓子教室「Galettes and Biscuits(ガレットアンドビスケット)」を主宰。イギリスの暮らしに息づくお菓子の味・...

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