おすすめの英国のお酒 ~ジン~

英国、イギリスのお酒って聞いて、一番に何を思い浮かべますか?

 “それはやっぱりスコッチウィスキーだな”って方、“黒ビールのギネス、IPAなどビールが一番よ!”ってお声も聞こえてきそうですね。 そういう私も、イギリスのお酒だと、シングルモルトウィスキー、ジン、エールビールやサイダーが気にかかるんですが、今回はその中でも最近巷でブームの”ジン”についてUK Walkerでご紹介させていただこうと思います。

様々なボトルに詰められたジン

ジンってどんなお酒?強いの?

ジンの製造方法

大麦やライ、ジャガイモなどを原料として作られる蒸留酒(英語ではスピリッツ-Spirits-ともいいます)のひとつ、ジン。日本酒やワイン、ビールなど、原料を発酵させて飲むお酒を醸造酒と言い、その醸造酒をさらに蒸留(加熱して気化するアルコールをさらに液化する作業)して作るお酒を蒸留酒と言います。

ジンの蒸留に使われるポット
コッツウォルズ蒸留所の蒸留施設
ここではクラフトジンやウィスキーが作られている
© All rights reserved by Shamus O’Reilly

蒸留酒では、ワインを蒸留するとブランデーやイタリアのグラッパに。
ビールを蒸留するとウィスキー。
ジンは前述の大麦やライなどの穀類(グレーン)を発酵させたものを蒸留してグレーンスピリッツを作り、ここへジュニパーベリーなどで香り付けし再度蒸留したものです。同じように大麦などを使って作られるウィスキーとはこの香り付けの工程、また樽で貯蔵する工程がない点が違いでしょうか。香りでいえば、ジンはハーブやスパイスのボタニカルで香りをつけたもの、モルトウィスキーは樽の香りを移したお酒ですね。

ジンとほかのお酒の度数くらべ

と、ここまで聞いただけでも、かなり強そうに感じるお酒ですよね。一般的なジンは度数40度前後のものが多く、ビールの5度程度や、ワイン、日本酒の15度前後、焼酎の25度などの醸造酒と比べても高く、強いお酒の部類ですね。
もちろんカクテルなどで使われることが多く、ワインや日本酒のようにストレートでぐびぐびといく方は少ないとは思いますが・・。

バーカウンターのボトル
バーカウンターに並ぶ数々のお酒たち

世界の4大スピリッツと言われるジン、ウォッカ、ラム、テキーラ、いずれも度数40度ほどで強めのお酒です。
ちなみに、ほかのお酒と比べてジンのカロリーは高めですが、糖質が少ないため太りにくいようです。
ただし、糖質が含まれたトニックウォーターで割ったジントニックは注意が必要なようです。

(引用元)
by.S 「太らないお酒はどれ?ワイン、ハイボール…管理栄養士に聞いたダイエット中にOK/NGな飲み物

飲みたい英国産ジン、おすすめのジンたち

ジン経験、まださほど多くないのですが、これからひとつひとつ楽しんで征服していきたいと思います。
幸いなことに、スコッチウィスキーと比べると比較的お値段も良心的なのでお財布に優しいかも。
お酒のくくりで考えればもちろん英国産でなくても良いのですが、せっかくこちらのUK Walkerでご紹介させていただくので、今回は英国産のジンに絞ってランキングを確認してみました。

2021年の世界で売れているジンランキングTop8

以下は、「Liquor Page―リカーページ―」さんの『2021年TOP8の記事』を参照させていただきました。
(情報元は”Drinks International”だそうです)

世界で売れているジンランキングTop8のうちなんと5つが英国産なんですね。やっぱりイギリスで人気のお酒のひとつがジンってこともわかりますね。
最近は日本産のクラフトジンも人気になっているようですよ。気になる方はぜひお気に入りのジンを探してみてください。
※ランキングの各ジンの詳細は、リカーページさんの情報をご覧になってください。

ヘンドリックスのボトル
第8位 ヘンドリックス
© All rights reserved by Tilo Friedmann
8位 ヘンドリックス(Hendrick’s) スコットランド

度数:44度
スコットランドの南西部の蒸留所でつくられるジンで、ジュニパーベリーをはじめ11種のボタニカルが使われています。仕上げにキュウリとバラの花のエッセンスが加えられ、口コミでもクセが少なく飲みやすいと評判です。
ジンとしては少しお値段高めなのが残念、700mlで3,000円強の販売価格。

ビーフィーターと英国のジン
中央の赤い衛兵のマークのボトルが、ビーフィーター
(ご近所のスーパーで)
5位 ビーフィーター(Beefeater) イングランド

度数:40度、47度
ロンドン市内で蒸留されているロンドンドライジンのビーフィーター。赤い衛兵のマークは有名ですね。
お値段もお手ごろで、さわやかな香りのビーフィーターファンは日本でも多くみられます。最近発売されたピンクのボトルで、天然のストロベリーフレーバーを加えたジン「ピンクストロベリー」(度数37.5)も話題になっています。

タンカレーのジン4種類
タンカレーのジン
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4位 タンカレー(Tanqueray) イングランド

度数:48度(ロンドン ドライジン)
緑のボトルが印象的なタンカレー。もっともメジャーなロンドンドライジンのボトルは、シェーカーの形(写真:右から2番目)。
少しお値段がはりますが、タンカレーナンバーテン(写真:一番右側)も洗練されたキレの味わいで人気です。

ボンベイ・サファイアのボトル
青いボトルが映える ボンベイ・サファイア
© All rights reserved by Bombay Sapphire Dusk Bar
3位 ボンベイ(Bombay) イングランド

度数:47度(ボンベイ・サファイア)
独自のヴェイパー・インフュージョン製法によって作られているジン。日本でも人気のボンベイ・サファイアは、2020年の販売量、金額で世界一だそうです。(輸入元のバカルディジャパン社ウェブサイトより)
青いボトルはとってもお洒落で、ボトルとカクテルでインスタ映えしそうな写真が多く撮られています。

クリアなボトルのゴードン
クリアなボトルのゴードン
裏側のラベル裏にも絵が描かれている
2位 ゴードン(Gordon’s)イングランド

度数:43度(37.5度、40度もあります)
スコットランド人のアレクサンダー・ゴードンが1769年にロンドンで蒸留所を創業。世界で初めてジントニックを生んだブランドと言われています。クリアなボトルに、ジュニパーベリーをモチーフにしたシンプルなデザインのラベル、わたしのお気に入りのジンの一つです。
手に入れやすい価格と、本来のジンらしい味わいを楽しめることから世界中で楽しまれています。
(2015年時点の「IMPACT DATABANK 2015」では世界で一番売れているジンとされていました)

イギリス産以外のジンは、以下の3つがランクイン。
国全体でのジン消費量世界一のフィリピン産が、ここ数年圧倒的な1位を獲得しているようです。

7位        ラリオス(Larios) スペイン
6位        シーグラム ジン(Seagram’s Gin) アメリカ
1位        ヒネブラ サンミゲル(Ginebra San Miguel) フィリピン

そのほか、イギリスには多くのクラフトジンが作られています。 UK Walkerの以前のコラムでご紹介させていただきましたSNS映えするボトルで有名な「サイレントプール蒸留所」や、観光地でもあるコッツウォルズに2014年稼働し、ラベンダーが特徴の高級ジンを提供する「コッツウォルズ蒸留所」も押さえておきたいところです。

ボンベイ・サファイアをおすすめ

ボンベイジンのボトル
年代ごとのボンベイジンのボトル

今のジンブームの火付け役となったジン、ボンベイ・サファイア。
昔は、ジンのボトルは基本的に透明か濃色、そしてシンプルなデザインが一般的でしたが、そんな中でボンベイ・サファイアは、美しく輝くブルーのボトルで、スタイリッシュでファッショナブルなスタイルを確立しました。
イギリスを統治していたヴィクトリア女王がラベルにあしらわれているところもお見逃しなく。

また、蒸留所もオシャレで、イギリス旅行の際には訪れてみたいスポットです。

ボンベイ・サファイア蒸留所の建物
建物もおしゃな作りのボンベイ・サファイア蒸留所

この蒸留所は、ロンドンオリンピックの聖火台をデザインしたデザイナーによる設計で、イングランド銀行の紙幣用の高品質紙を製造していた歴史的な建造物をリノベーションしたものだそうです。

蒸留ポット
ボンベイ・サファイア蒸留所内の蒸留ポット

イギリスで広まるジン

歴史のお話しになってしまいますが、ジンのもともとの発祥の地はオランダです。諸説ありますが、薬用酒としてポピュラーになったものを「普通に飲んでも美味しいではないか」、ということで広まりました。
これが、17世紀当時のオランダ貴族、ウィリアム3世がイングランド国王として迎えられたときに一緒に持ち込まれたと言われています。その後、18世紀に多くの労働者がロンドンなど大都市に流入するようになり、比較的アルコール度が高いけど安く、早く酔えるジンが労働者の間に広まったようですね。
イギリス内で多くの蒸留所が立ち上がり、庶民のお酒としてジンが大量に作られるようになりました。現在では前述のようにお洒落なボトル、お洒落なカクテル、クラフトジンも広まり、高級ジンも一般化してきているのでジンのイメージは変わってきていますが、少し前までは貴族や富裕な方々が飲むお酒ではないとされていたようです。

こんな飲み方でジンを楽しもう!

ストレートやロックで飲むのも、本来のそれぞれのジンの香りや味わいを楽しむのに良いんですが、割り材を使ったカクテルにするのが楽しいですよね。

  • ジントニック
    ジントニックは一番ポピュラーな飲み方ですね、シンプルに【ジン(30-40cc)+トニックウォーター(100-120cc)+ライム(またはレモン)】をいれてステア。
ジントニック
ライムを添えたジントニック
Ernest_RoyによるPixabayからの画像

前述のボンベイ・サファイアを輸入するバカルディジャパンさんが発信されているジントニックの動画はとっても参考になります。

定番のジントニック以外にも、なんと煎茶ジントニックや梅、ミカン、コーヒー、桜やショウガのジントニックの紹介動画もあって驚きでした。
ぜひご覧になってみてください、こちらからどうぞ

  • マティーニ
    カクテルの王様と言われるマティーニ。
    こちらもシンプルに、ジンと辛口のベルモットを加えてドライ・マティーニの出来上がり!
    【ジン3:ベルモット1 +オリーブ】
ドライマティーニ
カクテルの王様 ドライマティーニ

最近はうち飲みする機会も多くなってか、UK Walkerで書き出す必要もなくネットやYoutubeで少し調べれば、た~くさんのレシピ情報をみつけることができますね。

本格的なカクテルなんか作るのも良いですが、手軽にキリンレモンやジンジャエールで割ってクルクルとかき回すだけでジンを楽しめますよ。ポイントは、ジンを冷凍庫でキンキンに冷やしておくことですね。

自分にあったフルーツや野菜などと合わせたジントニックをみつけるのも楽しいですが、レモンやオレンジの皮を漬け込むだけのジンも簡単で良いですね。

ジンの飲み方のポップ
飲み方を提案されたスーパーのジン売り場

ジンに合うお料理は・・

ジンにあうおつまみって考えて調べてみると、ほんとに多くの種類のお料理が紹介されています。
個人的には、オリーブやサーモンなんか良い感じを覚えるのですが、特にこの料理がテッパンといった食事はないのかもしれません。

ストロベリージントニック
イチゴをあしらったストロベリージントニック

実際にイギリスにお住いの料理研究家、エリオットゆかりさんにお聞きすると「イギリスでは、ジンは基本的に食前に歓談しながら飲んだり、パブでおしゃべりしながらおつまみ無しでグイグイ飲んでいる方が多いのでは」というお話しで、ジンに合う料理はこれだ!ってこだわる必要がないのかもしれません。
ただ、そんな中でもジンに使われている材料を、うまく料理に合わせていけば良いペアリングができるといったお話しも。
UK Walkerからのご提案は、食事にマッチさせたジンの飲み方、このようなペアリングはいかがでしょうか。

 カレー風味のイギリス料理『ケジャリー』とジン
インド料理に由来をもつイギリス料理『ケジャリー』
 シンプルなサンドウィッチで、ジンの味をダイレクトに味わいましょう
ジンに合わせるシンプルな具のサンドウィッチ
シンプルな具のサンドウィッチで、ジンの味をダイレクトに
 脂身の少ない赤身のお肉で、さっぱりジントニックを
赤身の肉でつくるサンドウィッチ
脂身があまりない赤みのお肉とジンをマッチング
 ジンを加えたタルタルソースで味わう定番のフィッシュ&チップス
フィッシュアンドチップス
イギリス料理の定番、フィッシュアンドチップス

“ジンに合うおつまみ”や、”ジンにあう料理”って検索すると、インターネット上にたくさんの情報が公開されていますね。
おしゃれなジンの飲み方では、写真映えするお料理が良いって情報を出しているところもありました。いろいろな情報で、いろいろなお料理を試してみて、自分のペアリングをぜひ作ってみてください。
良いペアリングが見つかれば、ぜひUK Walkerへも情報提供ください!

【写真・情報協力】(敬称略)
イギリス在住料理研究家 エリオットゆかり
旅ロンド 宿谷奈緒

UK Walker

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