お茶好きなイギリス

どうして英国ファンに?

英国に関わる仕事を始めて30余年。
その間何度もどうしてイギリスなの?と質問を受けました。
どうして?と改めて考えてみると、明確な理由はなく初めてヒースロー空港に降り立った20代の時からイギリスは私にとって居心地が良い場所でした。この気持ちは相性の良さゆえだと思います。
一目ぼれをしてからどうして好きなのだろうかと後から様々な理由を考える様に、私もイギリス好きの理由をあれこれ考えそのひとつひとつが今の仕事につながっています。

目覚めの一杯の紅茶から始まるイギリスの朝

テーブル上のマグカップのモーニングティーとマーマレードが塗られたトースト

朝は紅茶から始まります。
私がお世話になっていた友人宅では、一家の主人であるお父さんが誰よりも早く起きてお茶を淹れ、妻のベッドへ運んでいました。この習慣は他の友人の所でも同じで、男性のいない家では女主人が目覚まし代わりにドアをノックしモーニングティーを持ってきてくれます。
目覚めの一杯の紅茶とともに一日が始まります。
忙しい朝の小さな思いやりが素敵な一日を約束しているようで、私の英国好きの1番目の理由となりました。

お茶好きなイギリス人

カップ&ソーサーとティーポット、瓶に入れられた牛乳

イギリスでお茶を頼むと必ずポットで登場します。大きなカップに並々注ぎ、たっぷりとミルクを入れるのが定番です。
写真には写っていませんが、お茶の濃さを調整し2杯以上のお茶のために熱いお湯の入ったHot Water Potが付けられるシーンも良く見かけます。

列車内で楽しむ朝食

Night Sleeper (寝台夜行列車)での旅の思い出。
目的地到着直前に部屋に届いた朝ごはんです。この時もお茶はポットにたっぷり入って出されました。旅をしている楽しさが倍増される一コマです。

仕事のあいまに楽しむ紅茶

イギリス人は本当によくお茶を飲みます。目覚めの一杯。朝食で一杯。仕事開始後の11時に一杯。昼食でまた一杯。午後のお茶から夕食へと続きます。

お茶の専門店で見る棚に並べられた紅茶のセレクション

お茶の専門店で見る紅茶のセレクション。
美しく並んだ様子に毎回溜息をついて見とれます。ロンドン市内だけでも数えきれないほどのティーショップがあることから日常生活のなかにお茶が浸透していることが伺えます。

お薦めのロンドンのカフェ『Royal Opera House』

ロンドンには数えきれないほどカフェがありますが、中心部でゆっくりできるお薦めのティールームをご紹介します。

ロイヤルオペラハウス。
コベントガーデンに隣接する立地にあるのに意外に知られていないのか、パフォーマンスの無い昼間は比較的空いていてゆっくりできます。

1階のホールに隣接した位置にカフェカウンタ―があります。
昼間はこんな風に近所でお仕事をしている人たちが簡単なランチやお茶を楽しみながら、ミーティングや談話をしています。
WIFIも無料で使用できるので私もお買い物後の仕事場としてよく利用させてもらっています。

定番のSoup of the day(今日のスープ)やキッシュなど簡単で美味しいランチをいただけます。

一番お薦めしたいのは最上階のコーヒーショップとレストラン。
まだあまり知られていませんが眺めの良いテラス席からコベントガーデンが一望できます。予約なしでもお茶やお食事が楽しめます。お店の人たちもゆったりフレンドリーで本当に素敵なショップなのでお薦めです。

テラス席から眺めるコベントガーデンの景色。
多様な人種が暮らすロンドン。いつ訪ねてもエネルギッシュで退屈しない街です。

Royal Opera House Cafehttps://www.rbo.org.uk/visit/eat-and-drink

お茶に欠かせないスイーツ

お茶に欠かせないスィーツ。
伝統的なお菓子の筆頭に上がるのはやはりスコーンでしょうか。
スコーンとお茶のセットをクリームティーと呼びます。お茶にクリームを入れて飲むからではなく、スコーンに濃厚なクロテッドクリームを載せていただくからこの名前が付いています。アフタヌーンティーより手軽なことで午後のお茶で一番人気のセットです。ホームメイドのスコーンは、大きさも形も様々です。誰でも簡単に作れますが材料と計量の仕方で千差万別の味がでるので奥の深いお菓子としてカフェのカウンターに君臨しています。
日本では最近スコーンブームのせいかお目にかかる機会が増えました。
カフェ巡りをしながらお茶と一緒に食べ比べて見られてはいかがでしょう。

最後に

お茶はイギリス人の暮らしに根付き食文化に欠かせないアイテムとして成長を遂げてきました。
お茶を嗜むために必要な陶磁器や銀器が生産され英国の産業も大きな影響を受けました。最近イギリスの茶園に行く機会に恵まれ、南西部のティーガーデンを訪ねたことがあります。広大な茶畑のなかに日本の椿から進化させた茶葉を発見しました。
中国や日本からお茶の木を持ち帰った先人たち。1本の苗木から大きな文化交流に広がったことを思いながら今日も午後の一杯を楽しみます。

イギリス南西部コーンウォールにある茶園、トレゴスナン(Tregothnan)
プラントハンターたちがアジアから持ち帰ったお茶の木が育っています。

荻野洋子

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英国留学中に体験した現地の暮らしに感銘を受け、1990年に自宅のある鎌倉山にイギリスのライフスタイルを発信するショップ、ハウスオブポタリーをオープン。ショッ...

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