英国風クリスマスカード:書き方と、こまどりロビンのクリスマス伝説

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ブリティッシュスクールの高校にいたころ(1980-83年)、毎年12月に入ると学校の友人同士でクリスマスカードやプレゼントの交換が始まりました。

彼らのクリスマスカードは、私たちの年賀状と同じ。今でこそ年賀状のやり取りも減りましたが、80年代はお世話になっている方々や友人たちに年賀状を出すのがまだ普通の時代です。以前のコラム『プラチナジュビリー~女王さまへの呼びかけ方とma’amの発音の思い出~』でも書きました、ドイツのブリティッシュスクールに編入したのが80年9月。3か月後の12月、まだ英語もたどたどしい中、同じクラスの女子たちからクリスマスカードやプレゼントをもらい、慌ててお返しを買いに行ったのを覚えています。

カードの書き方

カードの飾りかた例:イギリスの家ではこのように太いリボンにたくさん飾るのをよく見かけました。
昔伺った英国大使館公邸でもこのスタイルがありました。

カードをもらって驚きました。
とってもシンプル、要はサインしかしていないんです。こんな風に。

To Maki,(手書き)

Wishing you a very happy Christmas. (カードに元々印字されている言葉)

Love, Helen(手書き)

以上。

年賀状は印刷の文字だけではいけない、何かひとこと手書きで添えないと、と言われて育った私としては拍子抜けです。こんなのでいいのね(笑)。

さらに驚いたというか、これが英語の使い方なのかと知ったのが、冒頭の「Makiへ」の「へ」がtoであったことです。
日本では子供同士でカードなどやり取りするときにDear誰々、と書いていましたが、Dearは「親愛なる」とも訳される手紙での呼びかけ。こういう書き方のカードではDearではなくToなんですね。

もちろんカードを手紙代わりにして、中にたくさんメッセージを書く場合はDear Maki, で始めることもあります。でもあくまでそれは「手紙」の体裁の場合です。

結びの言葉、Love。これ当時の私にはLoveを使う意味も、そしてそれに続くカンマ「,」も、感覚的にピンと来ませんでしたが、これもバリエーションがあり、Lots of love, と大げさめに書く子もいれば、若者言葉で Luv, と書いてくる子も。いずれも10代の子供同士なのでLove一辺倒でしたが、大人は相手との関係性によって使い分けなければならないところです。

英はHappy Christmas、米はMerry Christmasだった

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印字のメッセージはもちろんいろんなバリエーションがありますが、いずれにしても昔のイギリスでは Christmas の前にくるのは Merry ではなく、Happy でした。聞き慣れていたMerry Christmasはアメリカンで、イギリスでは Happy Christmasなのだと知ったのもこの時です。

ところが90年代後半に入りインターネットが普及し始めて以来、英米の言語的な境界もあいまいになり(というかイギリスがアメリカ化し)、Merryを使う人が増えてきたなと私が思ったのが確か2000年代終わりごろ。そして毎年観察していましたが、2018年の年末にイギリスに行った時にお店で売っているクリスマスカードの8割以上がMerry Christmas表記に変わっていたのを見て、ああもう完全にMerry優勢になったのだなあと思いました。

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もっとも私のmerry/happy観測はあくまでネットの記事、そしてイギリスの友人とのやり取りからですし、2018年以前はクリスマス時期にイギリスに行けていないので、実際現地での変化はもう少し早かったのではないかと思います。

英国のクリスマスカードといえば「ロビン」

さて、クリスマスカードの柄ですが、いわゆるクリスマスモチーフ、つまりクリスマスツリーやサンタクロースやベルやロウソクや雪景色などの他に、イギリスではロビンと呼ばれるコマドリの絵が多く使われます。
なぜクリスマスにロビンなのかは諸説あるようですが、イエスキリストに関連するこんな言い伝えがあります。

寒い夜、イエスが生まれた馬小屋で焚いていた火が消えそうになり、母マリアは周りにいる動物たちに「火がまた燃えるよう、ふいごを吹いてくれませんか」と頼みましたが、馬も牛もロバも皆、寝ていたので聞こえませんでした。

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そこへやってきたのが、マリアの声を聞きつけた茶色い鳥、ロビン。ロビンが自分の羽を一生懸命パタパタと動かして風を送り続けると、消えそうになっていた薪に再び火が点きました。ロビンは風を送り続けながらさらに火を大きくしようと枯れ枝をくちばしで投げ入れたところ、火が急に大きくなりロビンの胸を焦がしてしまったため赤くなってしまいました。でもロビンは風を送り続け、おかげで馬小屋は暖かくなり、生まれたばかりのイエスはすやすやと眠り続けました。マリアはそれを見て「これからはこの赤い胸が、あなたの高貴な行いの象徴となりますように」とお礼を言いました……というお話です。
(出典 https://www.birdspot.co.uk/culture/the-legend-of-robin-redbreast )

今度ロビンの絵を見たら、「ロビン、がんばったのね」となでなでしたくなりそうです。
皆さまも心温まるクリスマスをお過ごしください。

《ライター高島まきの告知情報》

高島まきの「イギリス英語発音コーチ」は、こちら【British English House 高島まきのサイト】からご覧ください。


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高島まき

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イギリス英語発音スクール British English House 代表。日本では数少ない正統派イギリス英語発音の専門家として定評があり、自身のスクール主...

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