イギリスで柴犬を飼う

ゲージの中で横たわる柴犬の子犬
イギリスでもジワジワと人気が出てきている柴犬

犬好きの国民性

イギリス人は動物好きの国民性である事が有名ですが、特に犬好きとしても知られています。
大人2,000人を対象とした調査でも約半数以上が犬を一番好きな動物としてあげており、2024年現段階で1,060万頭の犬がイギリス国内でペットとして飼われているという調査結果もあるようです。

4匹の犬を連れてロンドンの街中を歩く女性
ロンドン中心部でも犬連れの人をよく見かけます

★イギリス人に聞いた好きな動物のランキング★ *Source by Channel 5 in 2020☆

1位 犬
2位 猫
3位 コマドリ
4位 馬
5位 ハリネズミ
6位 りす
7位 フクロウ
8位 鹿
9位 ウサギ
10位 蝶々

日本で同じ調査を行なったら3位以下は違う結果が出そうで興味深いですよね。

垣根の上にとまるロビン
堂々の人気第3位に入ったロビン・こまどり

ペットショップに犬が販売されていない!?

実はイギリスではペットショップなどの仲介業者で生後6か月未満の犬・猫の販売することを、2020年に施行された法律・ルーシー法によって禁止されています。
日本では、通常、犬を飼うとなったらペットショップで購入される方が多いと思いますので、ペットショップで販売されていないのならいったいどこで犬を買うの?と思われますよね。

イギリスの大手ペットショップ”pets at home”の正面
イギリスの大手ペットショップ、ここでは主にペットフードや用品が売られています
ペットショップ内で販売されているハムスターたち
犬・猫以外のウサギ・ハムスターなどの小動物は、ペットショップで販売するのが認められています

イギリスで犬を飼いたくなったら…

イギリスで「犬を飼いたい」となった時に、犬の購入先として検討されるのが下記の3つの方法が主となってくると思います。

① レスキューセンターなどから保護犬を受け入れる。
② ブリーダーから購入する。
③ 知り合いなどから受け入れる。

動物愛護先進国と言われているイギリスだけあって、①のレスキューセンターなどから保護犬を受け入れる飼い主さんの数は非常に多いような気がします。
お散歩中に知り合ったワンちゃんの飼い主さんの多くが「うちの子は保護犬なのよ」という風におっしゃる方がとても多いので肌感覚からもそれを感じます。
ただし、レスキューセンターから保護犬を受け入れるには厳しい審査がある事が多いのも事実。
レスキューセンターで保護されているワンちゃんたちの中には、過酷な環境に置かれて心に傷を負った子もいる為、しっかりとワンちゃんたちを責任を持って幸せにしてくれる飼い主さんでないと引き渡す事が出来ないという、レスキューセンター側の強い要望があるのは非常にうなづけます。

しかし、時としてそのハードルの高さから、レスキューセンターから犬を譲り受ける条件を満たしていない為に犬を飼えないという人たちも存在してきます。
(*ちなみに、どんな条件があるかというと、犬種にもよりますが庭付きの家でないとダメ、普段日中人が家にいないとダメ、小さい子供がいる家はダメなどそのワンちゃんの特性にも合わせて条件が決まっています。)

そんな人たちや、また、どうしても欲しい犬種があり、レスキューセンターでは見つける事が出来なかったなどの理由でブリーダーから犬を購入する人たちも数多くいます。

実は我が家では、今年1月に柴犬の子犬をブリーダーから購入しました。
もちろんレスキューセンターからの受け入れも当初は考えていましたが、どうしても柴犬が欲しかった為、断念。なぜなら、柴犬はイギリスでは珍しい犬種に入る為、レスキューセンターで出会える確率はかなり低かった為です。

そんなわけで我が家は、ロンドンの一般家庭で柴犬を飼われていた方から子犬を購入させていただきました。

そもそもどうやってブリーダーを探せばいいの?

さて、ブリーダーからワンちゃんを購入する場合の流れはどうなっているのでしょうか?

今回、我が家の例をお話させて頂くと、様々なブリーダーさんが登録されている”Pets4home”( https://www.pets4homes.co.uk/ ※日本からのアクセスはできません)というサイトを利用させて頂きました。
こちらのサイトでは、欲しい犬種がアルファベットごとに管理されていて、そちらをセレクトするとその犬種を取り扱っているブリーダーさんのリストが子犬の写真や詳細と共にリストアップされてきます。

”Pets4home”サイトで紹介されていた5匹の柴犬の子犬
広告掲載時の我が家の愛犬

前述のように、ペットショップ同様仲介業者によって犬・猫の販売を禁止している事から、このサイトでも販売している子犬の直接のブリーダーである事が必須となってきます。よって、詳細上でも重要となってくるのが、母犬を購入前に買主が見る事が出来るかどうかというところ(=売主が直接の母犬の飼い主という証拠)。

広告ページには、必ず子犬の写真だけでなく母犬、また父犬の写真なども同時に掲載されていて、ブリーダーを装った仲介業者を避けれるだけでなく、その子が大きくなった時の指標となりとても助かりました。

現在、我が家で飼う事になった柴犬クッキーも、母犬のモチちゃんが美人さんだった事から、数ある柴犬の中から選んだ理由の一つとなりました。

我が家に子犬がやってくるまで・・・

我が家がワンちゃんを飼う事を決めたのは、ちょうど昨年のクリスマス前でした。
まずは、前述の”Pets4Home”のサイトを使ってJapanese Shiba Inuを検索。

ロンドンでは認知度も高めの柴犬ですが、イギリス全土ではまだまだ知らない人の方が多いと思われる犬種。
ブリーダーさんの数も少ないのでは?と思われましたが、クリスマス前(=ペットをクリスマスプレゼントに選ぶ家庭も多い為)という事もあり思っていた以上の広告にヒット。

犬を連れてフリーマーケットを訪れるイギリス人
イギリス人にとって「犬」を飼う事は、ステイタスである事も多いようです

我が家では下記の条件で探してみました。

① 我が家から引き取りに行きやすい場所であること。
② 生後2か月から3か月の間であること。
③ 予算内であること。
④ マイクロチップ、ワクチン接種、虫下しなどの処置がされていること。
⑤ 性別はメス

初めてイギリスで犬を買う事(犬を飼うのは3回目ですが)になった為、いろいろとわからない事も多かったのですが、今回利用した”Pets4Home”がかなりわかりやすい詳細を載せてくれていた為、助かりました。

ほとんどのブリーダーさんが買主に子犬を渡す前にマイクロチップや虫下し、ワクチン接種などの初期に必要な処置はしてくれていました。

引き取ったばかりの柴犬、クッキー
子犬引き取り時には、パピーセットなど今まで食べていたドックフードやトイレシーツ、毛布などを売主さんがプレゼントしてくれるケースが多いです

ただ、クリスマス前だった事から、どの犬種の子犬も値段は最高値。
柴犬はイギリスでは珍しい犬種という事もあり、他の犬種の中でも特に高値がつけられておりました。

*ちなみに価格のご参考まで。ブリーダーさんによってつける価格はまちまちなのですが、筆者がチェックした中での最高値は約60万円ほどでした。今回、日本の柴犬子犬の価格を調べてみたところ、イギリスの販売価格と大差がない事がわかりました。イギリスと日本の物価指数の違いを考えると、日本の方がペットの販売額がイギリスより高額という事になると思います。*

我が家の予算を大きく超えていた事から、クリスマス後まで購入は待つことになりました。思った通り、クリスマスを過ぎると価格の値下げが始まりました。
また待っている間に運よく、ロンドンで子犬を販売しているブリーダーさんを発見。しかも、母犬がそれほど体格の大きな子ではなく美人さん!価格も許容範囲。と願ったり叶ったりの子犬ちゃん達でした。

販売されていた子犬は全部で5匹。メス3匹にオス2匹。
一番最初に目をつけたタヌキ顔のかわいらしいメスの子犬は、あっという間に売れてしまった為、残りのメス二匹をまずは見学させてもらうことに。

”Pets4home”のサイト内でブリーダーさんとやり取りすることが出来るのもとても便利でした。

ブリーダーさんは、ロンドンに住む小さいお子さんのいらっしゃるご家庭。
母犬であるモチちゃんはルーマニアから輸入されてきた柴犬との事でした。その日はちょうど近所に住む別の柴犬アイ子ちゃんがいて、2匹のネーミングから日本へのリスペクトを感じられて思わず嬉しくなりました。

その日は子犬の見学と、どの子にするかを決めるにとどまり次の週に引き取りという事になりました。

ソファの前に座る、母犬のモチちゃん
数ある柴犬の子犬の中から選ぶ決め手となった母犬モチちゃん

コロナ禍に横行したブリーダー詐欺!

さて、支払いの経緯なのですが、ブリーダーさんと言っても今回のようにブリーダーを専門としている訳ではなく、一般家庭の飼い犬が出産した子犬を販売しているケースも多いようです。よって、個人対個人となってしまう支払いには細心の注意を払いたいところ。

実際、コロナ禍では、ブリーダー詐欺が横行したと言われています。手口としてはコロナ禍のロックダウン中、室内でのミーティングが禁止されていた事から子犬の見学は公園などで行われ、買主がお金を振り込んだ後、売主が子犬を買主の自宅まで配達するという流れだったにも関わらず、待てど暮らせど子犬は届かず挙句の果てには売主と連絡もつかなくなるといった具合。
買主は、子犬を実際に見学出来ている事からすっかり信用してお金を払ってしまったところ実は子犬はどこかから借りてきた子犬であって、お金だけだまし取られてしまったようです。

これらの事件によって、”Pets4home”では、Pet Paymentsというシステムを導入。
欲しいペットが見つかった場合、買主の支払いは”Pets4home”に対して行い、”Pets4home”は売主に対してデポジットを支払い、そのペットを他者へは販売しないように確約されます。そして、実際にペットを引き取ったその場で、買主は”Pets4home”のサイトからコンフォメーションのボタンをクリックする事によってその場で残金が売主に振り込まれるという売主・買主両者にとって安全な仕組みになっています。

この支払システムによって我が家も安心して子犬を購入する事が出来ました。

そして生後2か月半で迎え入れた我が家の柴犬クッキー(メス)。
彼女との楽しいイギリス暮らしは始まったばかり。

ラグの上で座るクッキー
生後2か月半で我が家にやってくる事になったクッキー

犬を通じて知るイギリス暮らしの良さをこれからどんどん発信していけたらと思っております。どうぞよろしくお願い致します。

March / 佐藤 昌子

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在英歴20年、2014年より英国式おもてなし教室「Atelier Curious March」を主宰。テーブルコーディネート、インテリア、カラーコーディネー...

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