英国のお菓子
~A nice cup of tea and baked sweets~
4年ぶりの英国訪問
2023年の夏、4年ぶりに英国を訪ねました。ヒースロー空港の上空から緑の牧草地と赤いレンガの家々が点在する田園風景を眺めると、急にほっとして甘いケーキと熱いお茶をいただきたくなりました。
14時間半の長旅の疲れを癒すのはこれが一番です。
素朴な家庭の味が楽しめる英国のお菓子
英国のお菓子はどのお店で食しても素朴な家庭の味がします。クリームやソースに媚びず素材そのものの焼き菓子ゆえ微妙な配合や焼き温度で味が異なります。そのため見かけと異なりとてもデリケートです。
イギリスのティールームでは当日焼いたケーキをカウンターに並べ大きく切り分けたピースをドーマーから出して提供してくれます。日本のように冷蔵庫に入っていないところが英国風。ナチュラルでホームメイド感満載です。
大好きな『レモンケーキ』
数ある定番のケーキの中で特に大好きなレモンケーキ。大きくて自立できず倒して届けられました。日本のカフェの感覚だと、お菓子はお皿の上にきちんと立たせて供するのが当たり前とされていますが、イギリスでは横倒しも大丈夫。この大雑把ぶりも私が好きな英国の一面かなと食べながらしみじみ思いました。
定番のお菓子と言えば『ビクトリアスポンジ』
定番のお菓子、ビクトリアスポンジ。
日本のスポンジケーキより肌理が粗いけれど、甘さも程よくイギリスを訪ねると必ずいただきます。今年92歳になる友人は、お嫁に行く前にスポンジケーキが焼けるように特訓をされたと話してくれました。
今は電動泡だて器があり簡単にできるけれど、彼女が若い頃は手動のため素材がピンと立ち上がるまで40~50分もかかったとのこと。お菓子作りは体力が入りますね。
ティーポットは時代を偲ばせる紅茶のための楽しいアクセサリー
ケーキに欠かせぬお茶のための楽しいティーアクセサリー。ティーポットのコレクションからその時代が偲ばれます。ジョージアン時代からビクトリア時代にかけてエレガントなお茶文化が花開きました。19世紀の半ば過ぎに貴族社会で大流行したアフタヌーンティーなども大英帝国の繁栄を象徴するフードカルチャーのひとつです。
アフタヌーンティーは、通常午後4時から…
ビクトリア時代に生まれたアフタヌーンティー文化。通常午後4時に出されます。私が初めてイギリス人の友人宅に招かれたときも開始時間は16:00でした。概ね2時間くらいお茶とお菓子を楽しみ18:00ころお暇しました。アフタヌーンティーにも決まったマナーがあり時間を守ることは必須です。
作り手によって味が異なるお菓子『スコーン』
近年大人気のスコーン。小麦粉とバター、レシピによっては卵も加わるシンプルなものですが作り手が100人いれば100通りの味が出来るほど微妙なお菓子です。配合によって味が変化する英国菓子の難しさが隠されていると言っても過言ではありません。
スコーンの起源は定かではないようですが最初に造られたのはスコットランドだと言われています。オーブンの無い時代に丸い石でできたお皿のうえに種を丸く伸ばしストーブで焼いて作っていたそうです。
焼きあがったスコーンはこの様に切り分けていただいていました。
熱々のスコーンと温かいお茶できっとお話も弾んだことと思います。
英国の夏の楽しみ”パブリックフットパス”を歩く
イギリスではパブリックフットパス(Public footpath)という名前の公共の小径が、そこここに見られます。これらはみんなの小径として活躍しています。ロンドンでもパブリックフットパスのサインをよく見かけますが、やはり素敵なのは田舎の路。道沿いに咲く花やベリーの実を摘みながらウォーキング。英国の旅の醍醐味です。
ウォーキングで摘める野生のブラックベリー
野生のブラックベリー。
夏の英国では野生のものからお庭のものまで、様々なベリー類が収穫されます。夏のお菓子に欠かせない実から美味しいプディング(英国のスィーツ総称)が出来上がります。
イギリスの夏の風物詩『サマープディング』
古くなった食パンで作られるサマープディング。美しいルビー色のプディングはイギリスの夏の風物詩のひとつです。
トライフルも夏の定番です。
これらのベリー類はプリザーブ(保存食)として冬のお菓子のために保存されます。
クリスマスの定番スイーツ『ミンスパイ』
クリスマスの定番、ミンスパイ。ミンスミートとはお肉ではなくお酒に漬け込まれたドライフルーツのことです。
作り方は各家庭で多少異なりますが、ファミリーの歴史と幸せがいっしょに漬け込まれているせいかクリスマスにいただくと心が温かくなるイギリスならではのパイです。
クリスマスのもう一つの定番スイーツ『クリスマスプディング』
クリスマスのもう一つの定番、クリスマスプディング。夏の間にドライフルーツ類と種を一緒に混ぜ合わせ布で包んで軒下に吊るしておきます。乾燥し石の様に硬くなったものを、クリスマスの日に蒸して家族で切り分けていただきます。登場するときブランデーを掛け写真のようにブルーの火を灯してテーブルへ。クリスマスのテーブルのクライマックスです。
この様に食べ物のことを書き綴っていると、英国で体験した春夏秋冬の行事や楽しかったイベントが思い出され、なつかしさでいっぱいになります。食を通して蘇る記憶の数々につくづく健啖家の自分にあきれ返っております。
2023年ももう終わりに近づきました。2024年が素晴らしい楽しい1年になりますように。皆様どうぞ良いお年をお迎えください。
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