イギリス映画談 ~孤独に生きる男と一人ぼっちになった少女のアクション映画『シェルター』~
2026年8月28日公開予定

おじさんと少女というのは多くの映画で描かれてきた。おじさんは40~50代の男でイメージはある程度固定しているが、少女といえば年齢的には5~15歳くらいだが、その10歳の年齢差の間にはイメージ的にはかなりの違いがみられる。

アウター・へブリディーズ諸島での孤独な暮らし
おじさんは古い灯台のある小さな孤島に住んでいる。他に建物もなく、名前のない大きな犬と一緒に暮らしている。その灯台を住み家にしているおじさんの元には、週1回小舟で食料品や生活物資を届けに少女がやってくる。彼女は実の伯父さんの運転するモーターボートで島の近くまでやってきて、船着き場もない島に上陸するため、小舟に乗り換えて物資を届けに来るのだ。
島はスコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島の中にあると文字で紹介される。アウター・ヘブリディーズ諸島はスコットランド本島から北西に65㎞ほどのところにある大小119の島々からなる。その中にあるこの島は、いかにも孤独に暮らす主人公には似合っている。他の人間に出会うことはない。少女とも基本的には会話はない。彼女は段ボール箱に入った物資を玄関口において、帰っていくのである。彼女は13~14歳くらいだろうか?
イギリスの秘密情報部には長い歴史がある
世界の国々が戦争をする場合、対戦相手国のことを知る必要があるだろう。相手の長所、短所を知って、自国の勝利に向けて準備しようとするのは当然のことだ。各国にはそのための組織がある。アメリカの中央情報局(CIA)、フランスの対外治安総局(DGSE)、ロシアの対外情報庁(SVR)や連邦軍参謀本部情報総局(GRU)、イスラエルのイスラエル諜報特務庁(通称モサド)、韓国の国家情報院(KCIA)、日本の国家情報局(NIB)などである。
そんな中、世界で最も有名なのはイギリスの秘密情報部(SIS)だろう。SISはSecret Intelligence Serviceの頭文字だが、むしろ通称であるMI6の方が有名だろう。この組織の活動は1909年に始まっている。第一次世界大戦の始まる5年前にスタートしている。第一次世界大戦が始まると、全情報を一元的に管理するため戦争省情報部(Directorate of Military Intelligence, DMI)とまとめられた。そして、情報の種類によって番号が割り振られた。MI1(暗号、暗号解読)、MI2(極東、アメリカ、ソ連、中東、スカンジナビア)、MI3(東欧、バルト海沿岸諸国)、MI4(地図作成)、MI5(防諜)などである。

MI6は他国の情報を探るため、イギリス自身は1994年まではその存在を正式には認めていなかった。しかし、ケネディ大統領の愛読書として007シリーズが有名になり、その作者であるイアン・フレミングが元MI6の諜報員であったことが知られるようになった。MI6での経験が小説にリアルさを与えていたのだ。同様にMI6の経験を生かして有名になった作家には、サマセット・モーム、グレアム・グリーン、ジョン・ル・カレ(MI5から移籍)などがいる。これだけの有名作家がいれば、イギリスが情報スパイ小説で有名になったのもうなずける。
映画の主人公は元MI6の諜報員で、今はMI6から追われている。追っ手に見つからないように孤島にひっそり暮らしている。

主人公マイケル・メイソンを演じるジェイソン・ステイサム
この孤独な元スパイを演じるのはジェイソン・ステイサム。無口で、ちょっと陰のある男、動きはシャープで正確といった特徴は、正にこの役に合っている。

1967年7月26日生まれの59歳。元水泳の飛び込み選手で、イギリスの代表チームに所属していた。1992年にロンドンのクリスタル・パレス・ナショナル・スポーツ・センターで飛び込み技術を学んでいた時に、モデル事務所にスカウトされ、モデルとして、リーバイスやトミー・ヒルフィガーの仕事にかかわったり、ロックやジャズなどのミュージックビデオに出演したりしていた。モデルで活躍しながら、父親の稼業であった市場の屋台で偽物の宝石や香水を売っていたという。
1998年映画「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」に出演、俳優としてデビューした。上記の違法販売をしていた時、この映画のためにストリートに精通した詐欺師を演じられる人間を探していたキャスティング・プロデューサーの目についたというのだから、何が功を奏すか分からない。
今回の映画では船から海に飛び込むシーンもあるが、さすがに飛び込み選手という美しさだった。本当に何が功を奏すか分からない。

ステイサムはこの物語が気に入ったのだろう、自ら製作にもかかわり、監督には〝以前から一緒に仕事をしたいと願っていた”として、リック・ローマン・ウォーに自らオファーしている。ウォー監督はジェラルド・バトラーと組んだ3本の極限サバイバルドラマが有名だ。
少女ジェシーを演じるのはボディ・レイ・ブレスナック
2011年8月16日生まれの彼女は間もなく15歳。映画撮影時は13~14歳くらいで正に役にぴったり。アイルランド出身で、映画デビューは日本で今年4月に公開された「ハムネット」、この「シェルター」が2作目となる。今後の映画作品も複数予定されている。さらに、舞台でも注目作品に出演していて、俳優としての演技やプロ意識が年齢以上のものとして称賛されている。
この映画でも、おじさんと少女という関係から発展していきそうなところも感じさせている。

少女を守るために、MI6に見つかってしまう主人公、MI6との厳しい戦いもきっちりえがかれるジェイソン・ステイサムの新作、お楽しみください。
映画『シェルター』公式サイト:https://shelter-movie.jp/













