イギリス映画談
~サステナブルなファッションとは?『ファッション・リイマジン』
2023年9月22日公開
サステナブル?
地球の資源には上限がある。人類が地球に現れて以来、2022年に80億人という数字になるまで、ほぼ一貫して人口は増加してきた。1804年に10億人だった世界の人口は、20億人になったのが1927年、そして昨年には80億人になったのである。 この急速な人口増大によって、地球の資源が枯渇する可能性がある。それに気づいた人類は、少しでも長く、そしてうまく資源を使っていこうとサステナブルという言葉を使い始めた。
Sustain(持続する)とable(可能な)という言葉を組み合わされて作られた’sustainable’は日本語で”持続可能な”という意味になる。この’sustainable’という概念が世界的に普及するきっかけになったのは、1992年にリオデジャネイロで開催された「地球サミット」。1970年代からずっと心配されていた資源の枯渇や環境問題への危機意識がサステナブル(sustainable)という言葉でまとめられたのがこのサミットとすれば、最近よく言われるSDGsという言葉が採択されたのが2015年の国連サミット。 ”Sustainable Development Goals”の頭文字SDGsは”持続可能な開発目標”ということになる。
“地球を壊さず 常識を壊した” デザイナー、エイミー・パウニー
SDGsの理念に沿ってのファッションを作り出そうとしたイギリスのデザイナー、エイミー・パウニーについてのドキュメンタリー映画がやってくる。
エイミー・パウニーは1985年生まれ、イギリス・ランカシャーで家族と共にトレーラ―で生活し、育てられてきた。キングストン大学でファッションデザインを専攻し、卒業後「マザー・オブ・パール(Mother of Pearl)」にアシスタントとして入社。「マザー・オブ・パール」はイギリスのファッションブランドで、その後スタジオ・マネージャーに昇進、更にクリエイティブ・ディレクターに就任している。
彼女は2017年のロンドンファッションウィークで新人賞に選ばれ、10万ポンドの賞金を得て、新しいファションを作り出すことを決心する。
それがサステナブルなファッションライン《No Frills》(ノーフリル ≒ 飾りはいらない)を立ち上げることだった。
ちなみに映画内でファッション産業を、以下のように語っていた。
- ファッションは最も環境に悪い産業の一つ
- 毎年、兆単位の服が作られ
その5分の3が、購入した年に捨てられる - ファッション産業が”1つの国”だとすると
- 二酸化炭素排出量は
中国・アメリカについで 世界で3番目に多い
エイミーの考えるサステナブルファッション
2018年の秋に《No Frills》を発表するまでの18カ月間、彼女の活動を追ったのが『ファッション・リイマジン』という映画だ。
彼女が考えるサステナブルなファッションとは次のようなものだった。
- オーガニックで、追跡可能な原料を使用。
- 最小限の水と化学物質の使用。
- 社会責任を守る。
- 動物愛護を守る。
- 最小限の地域で生産する。
- 低炭素排出量を目指す。
サステナブルを求めて旅するエイミーとクロエ
オーガニックという面から使用するのはコットンとウールに限定する。
綿花の綿から紡がれた糸を織ってできるコットン、羊の毛を刈り取って紡がれた糸からできるウール。綿花栽培の地、羊の放牧地を訪ねサステナブルの条件に合った育てられ方をしているかを調べに行こうと、エイミーは商品開発を担当しているクロエ・マークスと旅に出る。
原材料から製品としての布になるまでの工程でのチェックもするため色々な国を訪ねる。
トルコ、オーストリア、ウルグアイ、ペルーと訪ね、サステナブルの基準に合った生産者を見つけていく旅。
“服を着る人すべてに観てほしい” ~英国大手新聞 ガーディアン誌~
人類が生活する地球、サステナブルなものを使うことで、人類も地球も生き延びることを目指したいものです。
公式サイト:https://www.flag-pictures.co.jp/fashion-reimagine/teaser.html