ローズウッド・ロンドン「北斎アフタヌーンティー」を味わう

ローズウッド・ロンドンの魅力

ロンドンの中心、ホルボーンに佇むローズウッドホテルは、古典的な建築美と現代的な洗練が融合したラグジュアリー空間である。荘厳な石造りのファサードを抜け、中庭を通り抜けると、そこには穏やかで落ち着いた時間が流れている。訪れる者を包み込むのは、格式ばりすぎず、それでいて非日常をしっかりと感じさせる空気感である。

扉を開けば、ロンドンの喧騒を忘れさせる優雅なインテリア

北斎アフタヌーンティーの世界

イギリスにおけるアフタヌーンティーは、観光客にとって必ず体験したいティータイムである。外国からの訪問客をもてなす場として利用されたり、家族や友人と連れ立って楽しむ姿も見られる。伝統的なアフタヌーンティー三段スタンドにサンドイッチ、スコーン、ペストリーを並べる様式は今なお健在であるが、近年ではホテルやティールームが独自のテーマを設け、芸術やファッション、映画などの文化を絡めたクリエイティブな趣向を凝らす例も増えている。

モダンなインテリアと優雅なティータイムが出会う空間
口の中をリフレッシュしてくれる小さな和のアクセント

サンドイッチとペストリーのこだわり

今回、ローズウッドホテルが打ち出したのは、日本を代表する浮世絵師・葛飾北斎に着想を得たアフタヌーンティーである。どのスイーツも、北斎の浮世絵のような躍動感と色彩の遊び心が感じられる。和の要素を表面的に取り入れるだけではなく、英国伝統のアフタヌーンティーの枠組みに見事に調和させていたことである。

一口ごとに広がる繊細な香り。和のアクセントを効かせたサンドイッチたち

サンドイッチのコレクションには、酒風味のスモークサーモンと柚子胡椒マヨネーズを合わせた一品や、和風にアレンジされたビーフサンドはわさびコールスローとふんわりミルクバンと合わせられている。どれも口に含むと繊細な香りが広がり、日本の調味料がイギリス的な素材と絶妙に調和していた。卵サンドは日本風にふんわりと仕立てられ、どこか懐かしさも感じさせる味わいであった。
スコーンはプレーンとレーズンの 2 種が毎日焼きたてで提供され、クロテッドクリーム、イギリス産ストロベリージャムと共に楽しめる。柚子を使ったチーズケーキも美味しかった。

ゆず風味のチーズケーキ
北斎の色彩と造形美を映した、目にも美しいアートスイーツ

視覚と味覚で楽しむアートスイーツ

波を思わせる流れるようなデザインのスイーツや、富士山を形どった小さなケーキなど、ひとつひとつが食べるのをためらうほど美しく仕上げられている。口に運べば、軽やかな甘さと爽やかさが広がり、見た目の印象を裏切らない完成度である。
「桜と鶯」は、桜チェリーゼリーと煎茶風味ガナッシュ、柚子チョコが絶妙に重なり合い、春の香りを感じさせる味わいだ。「神奈川沖浪裏」を模したケーキは、ホワイトチョコとレモンシフォンケーキ、イチゴコンポート、ライチバニラクリームが織りなす爽やかなハーモニーを楽しめる。また、「山頂の雷雨」はふわっとした抹茶風味の滑らかなムースに抹茶ピスタチオフィユティーヌ、チョコレートムース、味噌キャラメルが重なり、和の深みとコクのある味わいを表現している。
アフタヌーンティーに欠かせないのは紅茶である。クラシックな紅茶に加え、北斎の世界観に合わせた日本茶のセレクションが用意されている。

日本のエッセンスをイギリスで体験するひととき

ローズウッドホテルの北斎アフタヌーンティーは、伝統を尊重しつつ新しい工夫を加えた特別な体験である。紅茶や日本茶を味わいながら北斎の世界観に浸る時間は、忘れられないひとときになるだろう。

ローズウッドホテルのアフタヌーンティーは、テーマや内容が定期的に変わる。最新の情報や開催期間、予約方法は公式ウェブサイトで確認することをお勧めする。

ローズウッドホテル アフタヌーンティー: https://www.rosewoodhotels.com/en/london/dining/art-afternoon-tea

エリオットゆかり

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イギリス在住料理研究家 イギリス人の夫、23歳の日本在住の長男(現在ロンドン在住)、21歳の長女の4人家族。 2000年にイギリスに移住 食をメインにイギリ...

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