英国のハロウィンと大人色のアフタヌーンティー

なぜ盛り上がらない?英国のハロウィン

Halloween is just around the corner.
もうすぐハロウィンですね!ハロウィンの起源は、2000年以上昔の古代ケルト族にあります。その時代は11月1日が新年。前夜にあたる10月31日という意味でAll Hallow’s evening→Hallow’even→Hallowe’enと名づけられました。もともとは、「夏の終わり」を意味する「サウィン(Samhain)」という収穫祭が由来。そして、この日はこの世とあの世の間にある扉が開き、ご先祖様の霊が戻ってくるとも信じられていたので、日本でいうと「大晦日」と「お盆」が重なった祝祭のような存在ともいえます。

ケルトといえば、ウェールズやアイルランドを思い浮かべる人も多いはず。確かに17世紀頃までは英国国教会でも祝祭として扱われていたようなのですが、現在のイギリスでは、日本のように仮装をして練り歩き大騒ぎしたり、子どもたちが「トリック・オア・トリート」といって近所の家をまわる光景は、ほとんど見かけません。
私が紅茶留学をしていた家庭でも、小さなジャック・オー・ランタンを飾ることはありましたが「もともとはカボチャではなくカブを使っていたのよ」と言われて驚いた記憶があります。ハロウィンの文化が移民とともにアメリカに渡った際に、手に入りやすかったカボチャを代用したことから定着したそうなのです。
・・・ということで、イマイチ盛り上がりに欠けるハロウィン。イギリスでは11月に入るとすぐにガイフォークスデーがあり、花火を打ち上げたり、パレードが行われたりと大盛りあがり。ハロウィンよりもガイフォークスのほうが盛大なお祭り?というイメージが定着しているからかもしれません。

ハロウィンアフタヌーンティー

アフタヌーンティー好きの間では、この時期楽しみなのがハロウィンアフタヌーンティー。実はイギリスでも、セレブレーションアフタヌーンティーとしてジワジワと浸透しつつあります。秋の味覚である「カボチャ」は身体をあたためる食べものでもあり、美味しいだけではなく、美容にも健康にも効果がある嬉しい素材です。

・・・と甘い言葉に誘われて、このところ毎週訪れているハロウィンアフタヌーンティー。
なかでも印象的だったのが、ANAインターコンチネンタルホテル東京の「ハロウィン・アフタヌーンティー ~イン・ザ・スカイ~」です。どうしても見た目の演出に走りがちなハロウィンですが、こちらは可愛いだけじゃない、大人のアフタヌーンティーに仕上がっています。ティーフーズが充実して満足感が高いうえ、通常「アトリウムラウンジ」で行われるアフタヌーンティーが改装中の今だけ36階からの眺望を満喫できる~イン・ザ・スカイ~という特別仕様に。眼下に見渡すのは国会議事堂をはじめとする東京パノラマビュー。
開放感に溢れ、都心にいながら心地の良い癒やしの空間に心踊ります。

ANAインターコンチネンタルホテル東京:ハロウィン・アフタヌーンティー ~イン・ザ・スカイ~

ANAインターコンチネンタルホテル東京
「ハロウィン・アフタヌーンティー ~イン・ザ・スカイ~」

ロンネフェルトのティーセレクション

最近、都内のホテルアフタヌーンティーで数多く目にするのがロンネフェルトの紅茶です。
ロンネフェルトの本社はドイツ。正統派の英国紅茶ではないのかしら?そう感じるかたもいらっしゃるかもしれません。実はドイツはヨーロッパ全体の茶貿易における「ハブ的」な役割を担っていて「最高級ダージリンは日本とドイツが競り合う」とオークション会場で囁かれるほど、紅茶にこだわりを持つ国なのです。

ドイツにお茶がもたらされたのは、1610年頃。オランダと国境を接するドイツ北海沿岸の東フリースラントから、オランダ東インド会社によって、お茶が持ち込まれました。そのため、主に北部エリアで広く紅茶文化が親しまれていたのですが、ロンネフェルトを設立したJohann Tobias Ronnefeldt氏は、沿岸地帯ではなくフランクフルトに1823年拠点を置きました。彼のセレクトする紅茶の美味しさは瞬く間にヨーロッパ中に広がり、200年以上経った今もなお、業界トップのクオリティーを誇っています。

ドイツは世界マーケットを意識した紅茶ビジネスを行い、世界中の茶産地から原料となる紅茶を厳選して買い付け、各国の顧客ニーズに応じてプロフェッショナルなティーテイスターがブレンドを行い再輸出する「ティーパッッカー」としてのポジションを築いています。
紅茶はあくまでも農作物。その年に収穫された茶葉をそのまま味わうことも愉しみのひとつですが、安定した品質を求めるマーケットの需要も大きいものです。ドイツは、そのどちらのニーズにも対応するという柔軟性でビジネスを拡大し、21世紀に入ってからも右肩上がりの続伸を続けています。

ロンネフェルトといえばスリーピングポット
美味しさの秘密は100年前から受け継がれる独特のシェイプ

ロンネフェルトのティーセレクションでぜひトライしてみていただきたいのが、まずはダージリン。「スプリングダージリン(春摘み)」「ダージリンサマーゴールド(夏摘み)」どちらにするかは、お好みで。そして、この季節になると恋しくなるのが「アイリッシュウィスキークリーム」。アッサムをベースに芳醇なウイスキーとカカオのほろ苦い香りが奏でる深い味わいは大人ハロウィンにぴったりの一杯です。

《ライター》藤枝理子の著作紹介(一部)

藤枝理子

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RICO FUJIEDA アフタヌーンティー研究家 東京都世田谷区にて紅茶教室「エルミタージュ」を主宰。 紅茶好きが嵩じてイギリスに紅茶留学。帰国後に東京初...

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