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アフタヌーンティーを華やかに彩るサプライズ

アフタヌーンティーの裏話

前回ご紹介したアフタヌーンティーに欠かせない「キュウリのサンドイッチ」
紅茶好きの間では有名な話なのですが、男性陣を中心に驚きの声が沢山届いたので、今回は引き続き、<アフタヌーンティーのテーブルに彩りを添えるサプライズ>をお伝えしてみたいと思います。

古来よりパーティーは<食卓を囲んだ権力闘争>の場であり、アフタヌーンティーも例外ではありませんでした。
貴族にとっては、自分たちの富や地位を知らしめる場。そして貴族の称号のように明確な序列が存在しない中産階級の女性たちにとっては、いかに自分が理想的な家と庭を持ち、夫と子どもに囲まれ、「家庭の天使」として十全十美であるかを披露する、いわば「生活発表会」の場になったのです。
そんなアフタヌーンティーに、最先端のトレンドアイテムや、希少価値の高い花・果物・食材を並べ立てることで、自らの地位を揺るぎないものにできた…というわけです。
具体的にはどのような食材がテーブルを彩ったのでしょうか。

Surprise 1 魅惑のストロベリー

まずは、ストロベリー。
ストロベリーといえば、英国製ボーンチャイナ、「ウエッジウッドのワイルドストロベリー」を思い浮かべるかたも多いかもしれません。
野生のイチゴはヨーロッパでは石器時代の頃から食べられていたといい、それを物語る遺跡も見つかっています。ローマ帝国の時代には栽培が始まっていたのですが、当時は小粒で甘味の少ないイチゴでした。
現在、私たちが口にするようなストロベリーは、18世紀のオランダで、北米原産のバージニアイチゴと南米原産のチリイチゴを交配してつくられたものです。現在、世界中で栽培されているイチゴは、このオランダ系品種がメインとなっています。

そして、アフタヌーンティーが発祥したヴィクトリア時代のテーブルに華を添えたのが、ストロベリーです。
イギリスでは中世の頃から数種類の野イチゴを栽培し、ジェームズ1世の時代にはディナーのデザートとして饗されていました。当時は大変貴重だった砂糖やスパイスなどの贅沢な食材を使って作るストロベリーのデザートは、王侯貴族にとってはステイタスシンボルだったのです。
19世紀、イチゴはデザートとしてだけではなく、女性同士の集まりであるアフタヌーンティーパーティーにも登場するようになります。その愛らしいルックスはティーフーズにぴったり…女性たちのココロをときめかせたことでしょう。
20世紀に入ると、アフタヌーンティーのスコーンにも添えられるようになり、ストロベリー専用のバスケットや器も登場し、サプライズ演出としてゲストを愉しませました。

Surprise 2 王の果実 パイナップル

次は、パイナップル。
イギリス好きなら経験があるはず、なぜここに…?と思うような不思議な場所でのパイナップルとの出会い。食材としてだけではなく、室内装飾としても、人気がある果物です。

パイナップルがヨーロッパでブームになったのは中世の時代。
1493年、コロンブスの第二次探検隊が西インド諸島で発見したことがきっかけで、一大ムーブメントとなります。
南国らしい何ともエキゾチックなルックス、ジューシーで甘酸っぱいテイスト、王侯貴族だけが口にすることができる至高の果実として、権力の象徴になりました。

イギリスでは1670年代、王室お抱え庭師のジョン・ローズがパイナップルの栽培に成功します。
ジョージ王朝になると、温室栽培技術があがり、ウィンザー城の庭にもパイナップル専用のパイナリーが登場。貴族たちの間にもブームが広がり、パイナップルはおもてなしの席にうやうやしく登場するようになります。現在の価値にすると1個100万円近くの値がつけられていたこともあり、パイナップルをレンタルする業者まであらわれ、南国の花と一緒にディスプレイされたり、テーブルのセンターピースになることもありました。
そして、パイナップル人気はどんどんと加速し、建築のモチーフとして使われたり、オブジェになったり、家具や銀器の装飾として取り入れられたりしました。

パイナップル偏愛は21世紀にも受け継がれ、バッキンガム宮殿の晩餐会のテーブルセッティングとしてパイナップルが飾られることもあります。
記憶に新しいところでは、ウィンブルドン選手権やラグビーワールドカップのトロフィーの頂上にもパイナップルが君臨しています。

パイナップルが上部に
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また、アンティークのモチーフにも沢山使われています。たとえば、ティーポットのつまみ。よく見るとパイナップル…なんていうことも。ぜひ、みなさまも愛用品の中に潜むパイナップルを見つけてみてください。

王室のお抱え庭師John Roseがチャールズ2世に栽培に成功したパイナップルを献上するシーン

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