ウェールズってどんな国?
琥珀色の紅茶が恋しくなる秋涼の日、駐日英国大使館<British Embassy Tokyo>にてウェールズ政府主催のウェルシュアフタヌーンティーレセプションが開催されました。
今まで何度か大使館のパーティーに参加しましたが、今回はチームの一員として参加し、アフタヌーンティーの魅力についてスピーチもさせていただきましたので、その様子をレポートします。
駐日英国大使館は、日本におけるイギリス政府の外交活動の拠点。関西にある在大阪英国総領事館と協力し、日英関係を深めるためにさまざまなイベントを開催しています。
ご存知の通り、イギリスと呼んでいる国の正式名称は<United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland グレートブリテン及び北アイルランド連合王国>。
イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの国(Country)から形成されています。ラグビーやサッカーのワールドカップなどで国ごとにエントリーすることもありますが、普段は連合王国を意識することはあまりないかもしれません。けれど4つの国の背景には、それぞれ国旗や国花があり、長い歴史の中で育まれてきた言葉や文化、生活習慣が存在し、強いアイデンティティを持ち合わせているのです。そして英国大使館の中にも、それぞれの国の政府機関が置かれています。
ウェールズはケルト族をルーツに持ち、長い歴史と伝統のある美しい国です。
イギリスの西部に位置しイングランドと接していますが、一歩ウェールズに入ると、そこは異国情緒漂うケルトっ子の国。公用語として使用されているウェールズ語が、道路標識や看板など、いたるところに登場します。広大な自然に恵まれ独特の文化と伝統を持ち合わせるウェールズ。アフタヌーンティーにもその多様性が見受けられます。
- 面積 : 約20800平方キロ(英国全体の約8%)
- 人口 : 約310万?(英国全体の約4.8%)
- 首都 :カーディフ
- 公用語 :英語/ウェールズ語
- 国家のシンボル: ウェルシュリーキ(西洋長ねぎ)
- 国花 :ダフォディル(黄水仙)
- 国技 :ラグビー
ウェルシュアフタヌーンティーの魅力
ウェルシュアフタヌーンティーレセプションが開催された場所は、大使公邸。
駐日英国大使館の場所は千代田区一番町、皇居を見渡す敷地に1872年赤レンガの建物が建築されましたが、関東大震災で倒壊してしまったそうです。
現在の大使館本館と大使公邸は、1929年に建築されたコロニアルスタイル風の建物。厳しいセキュリティチェックを受け、大使館に一歩入ればそこは日本の中のイギリス。エントランスを抜けると、まずはチャールズ国王にご挨拶をします。
ゲストが揃うと、Richard小泉ウェールズ政府日本代表からの開会挨拶、そしてジュリア・ロングボトム駐日英国大使のスピーチもあり、ゲストのみなさまも真剣に耳を傾けます。また、ウェールズより来日されたタンカステル社、英国政府観光庁VisitBritainのプレゼンテーション、そして私のほうからはウェールズの紅茶やウェルシュアフタヌーンティーの魅力についてお話させていただきました。
私とウェールズのご縁は、前職ソニー時代にあります。
ソニー株式会社のイギリス拠点は、ウェールズ南部のブリジェント。残念ながら現在は閉鎖してしまいましたが、1980年、英国輸出産業に貢献した功績が認められ、日系企業としては初となる「クイーンズアワード」も贈られたという関係があったのです。
なぜ、ソニーがウェールズを選んだのかというと、そこには裏話がありました。
時は遡り1970年、チャールズ国王がプリンス・オブ・ウェールズとして来日された際、大使公邸で開かれたレセプションの席上で<もしも、イギリスに工場を建てる予定があれば、ぜひ私の領地ウェールズを思い出してください>そうみずから誘致した…という話が残されています。
今回のレセプションに参加したゲストも、昨今のアフタヌーンティー人気を受けて、幅広い業種のかたがいらっしゃいました。このあとの懇親会はソニーの例にもあるように、大きなビジネスにつながるチャンスでもあるわけです。
美味しいウェールズ
スピーチが終わると、いよいよウェルシュアフタヌーンティー試食懇親会です。
レセプションルームの中央にはウェルシュアフタヌーンティーのテーブルコーディネートが飾られています。実はこちら、UK Walkerのライター牟田彩乃さんが手掛けたティーテーブル。今回、同じウェールズチームとして、レセプションを盛り上げました。
当日のメニューは、ウェールズチームメンバーの熱い想いを、英国大使館エグゼクティブ・シェフ、フレデリック・ウォルター氏が見事に形にしてくれたアートともいえる作品の数々。セイボリーからペイストリーまで、宝石箱のようなティーフーズが並びます。
主役となる本日の紅茶は、ウェールズっ子たちが愛してやまない国民的ブランド WELSH BREWウェルシュブリュー。実はウェールズは日本と同じ軟水エリア。日本の水で淹れても、イギリスの味と変わらないパーフェクトな風味を味わうことができます。
特に、大使館専属バトラーがシルバーのティーポットで丁寧に淹れた紅茶の味は格別でした。
当日の天気はイギリスらしく朝から雨でしたが、レセプションの時間になると晴れ間も広がり、ガーデンの芝生が眩しく光り、テラス席でガーデンアフタヌーンティーを愉しむ姿もありました。
ウェールズの紅茶とアフタヌーンティーフーズに関しては、魅力的なストーリーも含めて、まだまだ紹介したいことが沢山あります。次回はそんな<美味しいウェルシュアフタヌーンティーの世界>へご案内したいと思います。
《ライター》藤枝理子の著作紹介(一部)