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アフタヌーンティーのお約束 ~招待状&お礼状~

アフタヌーンティーの招待状

「招待状からはじまって、お礼状までがアフタヌーンティーよ!」
紅茶留学中、マダムがよく口にしていた言葉です。日本にも折に触れてお手紙をしたためる文化はありますが、最近は結婚式の招待状もデジタル化し、お返事はこちらのQRコードから…なんてことも珍しくありません。それに比べると、イギリス人のカード文化はまだまだ健在。さすがクリスマスカード発祥の国、カード専門店はもちろん、ちょっとしたスーパーや書店のカード売場の品揃えも相当なものです。
2020年、イギリスに於けるグリーティングカードの市場規模は14億ポンド。日本円にするとざっと2220億円にもなるというから驚きです。

イギリスのライフスタイルに欠かせないティーパーティーでも、ちょっぴりかしこまったソーシャルオケージョンのアフタヌーンティーなどの際には、インビテーションカードが送られてきます。ネット社会の現代だからこそ、上質な紙に丁寧に書かれた招待状を受け取ったときの高揚感は特別なものとなるのかもしれません。
ヴィクトリア時代のアフタヌーンティーには、正装をした執事が馬車に乗ってゲストの邸宅を訪問し、インビテーションカードを手渡ししていました。招待状を受け取るというシチュエーションも、重要な演出のひとつ…というわけです。

そんなインビテーションカードは意外とシンプル。英国王室の招待状であっても、白い一枚のカードに、招待者名、主催者名、日時、場所、内容、ドレスコードなどが簡潔に書かれています。
フォーマルな招待状は、プロトコール(国際儀礼)で決められたルールに沿って書かれていて、ひと目でパーティーの目的、趣旨が把握できるように配慮されています。プロトコールというのは、マナーの世界においての国際規格。言葉もしきたりも違う国を越えてのコミュニケーションを円滑にするための約束事のこと。マナーが個人レベルでの礼儀作法だとしたら、プロトコールは国を越えた世界共通のエチケットという位置づけになるものです。

RSVPとは?

インビテーションカードの下には「R.S.V.P.」 という4文字が書かれています。何の略かおわかりですか?
これは、「お返事をお待ちしております」という意味。Rèpondez s’il vous plait. の略語で、英語で書かれているインビテーションカードでも、この4文字だけはフランス語です。「なぜここだけフランス語?」と疑問に思いますが、これは上流階級の共通語がフランス語だった18世紀頃の慣習からきているもの。「パーティーに参加するような教養人たるもの、たしなみとしてフランス語を理解すべきである」という特権意識がのぞいています。

RSVPの下には、返信が必要か、そして返信手段が書かれています。このお返事の出し方にも約束事があります。日本の結婚式のしきたりのように敬称の部分を寿の文字で消す、なんていうフクザツさはありませんが、「喜んで出席いたします」「残念ながら出席できません」など、YES/NOをはっきりとわかりやすく、3人称で書くというルールがあります。
そして、返信はなるべく早めにします。もし、日付が書かれている場合は、その日までに返信くださいという意味なのですが、記載されていない場合でも、何日も経ってから返事をすることは避けたいところ。招く側は、なるべく早めに人数を確定して準備に入りたいはずです。その日にというのは無理でも2.3日中に、遅くとも1週間以内にはお返事します。

お礼状の書きかた

アフタヌーンティーはじめ、パーティーへ招かれた際の感謝の気持ちは、サンキューレターで綴ります。ここはメールや電話ですませず、日にちをおかずにお礼状を書くのがスマート。なぜなら、招く側のマダムのことを考えると、パーティーの後片付けで手一杯のはず。
帰り際に延々と立ち話を続けることも避け、席を離れる際にプレートの上はキレイな状態になっているか、カップに口紅はついていないか確認し、お礼の言葉をお伝えしたら、スマートに立ち去るという思いやりの気持ちがマナーにつながります。
 
そして、想いはお礼状にしたためます。お手紙の形式や文面も大切ですが、まずカードや便箋に気を配ってみましょう。キャラクターのレターセットなどは、学生時代を終えたら卒業。老舗文具店などの、質のよいカードや便箋を用意しておき、季節やお送りするかたにあわせて選んでみてはいかがでしょうか。
お手紙には、お人柄や感性がすべて表れます。ほのかな香りをあしらってみたり、季節に合わせて切手をセレクトしたり…細部にまで心配りが行き届いたサンキューレターは最高に嬉しい贈りものです。
立ち去ったあとも、お相手のことを想う…そんなちょっとした気配りがエレガント。素敵な記憶となって、いつまでも刻みこまれます。


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