ダルメインの春はマーマレードで始まる
イギリス・ダルメインの春は、世界マーマレードアワード&フェスティバルで始まります。
1月の募集、2月の審査、3月のアーティザン部門の発表、そして4月20日はマーマレードフェスティバル。今年のフェスティバルで、私はマーマレードのデモンストレーションをやらせていただきました。
「マーマレード」で世界中の人が集まるダルメイン、私が参加した授賞式やフェスティバルをご案内しましよう。
マーマレードアワード&フェスティバル
今年は4月19日にアーティザン(プロ)のゴールド授賞式、翌日20日が、ホームメイド(アマチュア)部門の受賞式とフェスティバルの日程でした。
2005年に始まったこのフェスティバルも今年で19回目、回を追う毎に出品数も増え、今年も3,000以上のマーマレードが集まったと聞きました。このアワード&フェスティバルの目的は、ダルメインのホームページによると「教育」「アーティザンマーマレードメーカーのサポート」「コミュニティ」「楽しみ」などいくつか挙げられますが、一番力を入れている事は「チャリティーのための募金活動」です。そのため、ホームメイド部門と開催されるイベントでの収益は、ホスピスなど慈善団体に寄付されます。
アーティザンワークショップ
アーティザン部門のゴールド受賞者と審査員や関係者が意見交換をするのが「アーティザンワークショップ」です。
ベアトリス・マコッシュさんの司会で、イギリス大会のトップ審査員ジェイン・マグズさん、日本でもマーマレードとベイキングで有名なダン・レパードさん、保存食の専門家パム・コービンさん、高級ファームショップ、ウエストモーランドのアレグザンダー・エヴァンズさん、ブルーバッジガイド兼日本にイギリス文化を紹介している由美子タイヴァースさんがパネリスト。今後どのように販売を伸ばしていけばいいのか、これからの事を考える時間でした。専門家と直接話ができるのはまたとない機会でした。
マーマレードのテイスティング
テント内の会場にはアーティザンのマーマレードがテイスティングできるように並んでいます。テイスティングの時は、いつもどれから味見をするのか、目移りして迷います。ブラッドオレンジ、セヴィルオレンジ、ライムにチリが入ったものをテイスティングしました。マーマレードというのは、同じ柑橘でも作り手によって、味わいが異なるもの。そして他の柑橘と組み合わせたり、お酒を入れたり、果物を入れたりとレシピは数えきれません。
至福の時なのですが、テイスティングにもう少し時間があればいいのにと思うのはいつもの事です。
アーティザン部門のゴールド授賞式
今までインスタグラムで交流があった方々と直接お会いする機会があり「一緒に写真を撮りましょう」となりました。日本ではなかなかお目にかかれなくても、イギリスでお会いできるのは、それはマーマレードの力です。写真以外にも日本人のゴールド受賞者も数人いらっしゃるのですが、残念ながらタイミングが合いませんでした。
台湾の受賞者の方々は台湾の国旗のもと、皆で一緒に写真をとっていました。台湾の方は皆フレンドリーで、お友達になりました。
今年の審査では、特にゴールド、シルバーの採点基準が厳しくなり、ゴールドを取るのは以前よりもっと難しくなったと聞きました。例年、日本からのゴールド受賞者も増えてきましたが、今年はそれ以上に増えている気がします。それだけマーマレードの文化が根付き、日本のマーマレードのレベルも確実に上がっている証拠です。来年は日本の受賞者が、もっと増えるかも。そうしたら日本人受賞者全員で、記念写真をとるのも楽しいのではないかと思います。
マーマレードフェスティバル
フェスティバルは、ホームメイド部門の受賞式から始まります。私はちょうどデモンストレーションの準備と重なったことから、見学はできませんでした。当日はマーマレードクエスチョンタイムやゲストのトークなど、マーマレードにまつわるイベントが開催されました。
ここ数年、台湾のマーマレードメーカーは、自国の柑橘で作った素晴らしいマーマレードを販売しています。今回は台湾の柑橘「南庄橙」を使ったマーマレードのブースがありました。私も試食をしましたが、日本の柑橘とはまた違う、柑橘の風味が強く野性的で、魅力的な味わいでした。
マーマレードフェスティバルに関わる人々
約4か月にわたったマーマレードアワード&フェスティバルは、20日のフェスティバルで終わりを迎えます。その間、たくさんのボランティアの人々と関係者が働いています。
ホームメイド部門の審査は、The Women’s Institute という婦人会に所属している審査員が行います。アーティザン部門の審査員と同様に、これらはすべてボランティアです。
今回は、デモンストレーションの時間の都合上、ランチを用意していただきました。ダルメインのキッチンで食事をしていると、在英国日本国大使館の大使ご夫妻や、マーマレードの審査員や、クエスチョンタイムに出席する人、このイベントにまつわる関係者が入れ替わり立ち替わり食事をとり、ワインのサービスまでありました。
関係者へ慰労として、夕食会の招待など、一般には公開されていない行事もあります。寄付を集め、マーマレードアワード&フェスティバルを成功させるため、ダルメイン側の準備と熱意は大変なものだとしみじみ感じました。
デモンストレーションで使ったオーブンAGA(アーガ)
今回は「ゆず&梅酒」マーマレードの作り方のデモンストレーション。砂糖を入れて煮詰めるだけにして準備しました。今回は、初めてAGA(アーガ)というイギリスのオーブンを使いました。イギリスのカントリーサイドのB&Bのキッチンなどで見かけた、憧れのオーブン。しかし使うのは初めてです。
使用方法は、重いフタを上に開けて、熱くなっている鉄板の上に鍋を置きます。そうすると、数分もたたなない内に、マーマレードが加熱されて沸騰して泡立ちます。アーガの火力の強さにびっくりでした。このアーガには、オーブンの機能もついているので、マーマレードのビンを消毒も兼ねて温めました。ダルメインでマーマレードを作る時は、このアーガのコンロを使うのでしょうか。同じ道具を使うと、マーマレードもとてもおいしくできそうです。
マーマレードのデモンストレーション
イギリスでは、ゆずがとても人気があります。その独特の素晴らしい香りが、イギリスの人達を魅了するのでしょう。確かに、他の柑橘にはない独特の香りです。
デモンストレーションでの英語の通訳は、長年私がマーマレードフェスティバルに参加の際、ガイドをお願いしたタイヴァース由美子さんです。由美子さんのお陰で、旅行だけでは経験できないイギリスの文化を教えていただきました。
デモンストレーションの後は、参加者と一緒に出来たばかりのマーマレードを味わいました。
人を繋ぐマーマレード
フェスティバルの最後のイベント、アルズウォーターでマーマレードのジンを飲みながらのクルージング。ギターを弾く歌手と一緒に、乗船者同志が曲にあわせて、肩を組み、また踊りながらの大合唱。下船の頃には日も暮れて、空はマーマレード色です。
台湾、イギリス、日本、世界中からマーマレードフェスティバルに集まってくる方と繋がるのは素晴らしい事でした。マーマレードの味はどんどん進化しています。来年のフェスティバル、もし参加できるのであれば、どんな味わいのマーマレードと出会えるか楽しみです。そして今回お会いした日本、世界中の人と来年のフェスティバルで再会できれば、こんな嬉しい事はありません。
マーマレードは世界中の人と人をつなぐ素晴らしいものです。
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【2024年ゴールド受賞】
•黄梅&柚子&梅ジン
•ユズ&赤梅with梅リキュール
•ユズ&ライム
•甘夏&レモン&土佐ベルガモット
•甘夏
•甘夏&レモン
•甘夏withオレンジフラワー&ジン
※時期により売り切れの場合がございます、ご承知おきください。