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クリスマスライトがきらめく12月のイギリス

まだ12月になってもいないのに、クリスマスの話は早すぎる!と言われそうです。でもロンドンは11月に入り、クリスマスライトが点灯し始めた途端にクリスマスムードに拍車がかかってきました。
去年がパンデミックの影響で多くの行事がキャンセルになった反動かもしれませんが、今年は特に賑やかに感じるのは私だけでしょうか。

イギリス最大と言われるリージェント通りのクリスマスライトは最古のもので1954年に始まり、ロンドンのクリスマスライトの先駆けとなりました。今では30万個のライトがまるで天蓋のように空を覆います。 

リージェント・ストリート
Photo by Jamie Davies on Unflash

リージェント・ストリートに続き、オックスフォード・ストリートにクリスマスライトがお目見えしたのは1959年のこと。その後ロンドンの他の商店街でもクリスマスライトが点灯し始めました。1970年代の不況の際に一時姿を消したこともありましたが、1980年代になって再び復活して今に至っています。

オックスフォード・ストリート

ファッション系の小さなブティックが立ち並び、歩行者天国となっているカーナビー・ストリートのクリスマスライトは毎年大事なメッセージを伝えてくれます。
去年はパンデミックの最中で、イギリスではまるでクリスマスそのものがキャンセルになったように淋しい空気が漂っていました。そんな中で、カーナビー・ストリートのクリスマスライトが運んだメッセージは「団結、希望、そして繋がり」でした。まさにコロナ渦の真っただ中ではぴったりのメッセージでした。

そして今年。世界中の難民のためのチャリティと共同で作り上げたクリスマスライトは「カーナビーの万華鏡」という名前のもとで、600の色とりどりの蝶が「復活、変換、変化、希望、人生」といったメッセージを送っています。暗くて冷たい冬の空を舞う蝶は正にこのメッセージにぴったりです。

カーナビー・ストリート

1974年まで果物、野菜市場があったコヴェント・ガーデンは今ではファッション関係のお店、レストラン、王立オペラ劇場が並び普段でも賑やかな地域ですが、クリスマス時の華やかな雰囲気は格別です。

コヴェント・ガーデン
Photo by David Ramirez on Unflash

16.5メートルの巨大クリスマスツリーには3万個のライトが飾られます。このツリーはロイヤルファミリーが毎年調達するクリスマスツリーと同じ場所で育った木とか。

どのクリスマスライトも特に今年は環境を考慮して飾られています。例えばコヴェント・ガーデンではツリーを切る度に、3本の新しい木が植えられます。クリスマスが終わると、ほとんどのツリーがそうであるように、ここのツリーもリサイクルされます。

また、コヴェント・ガーデンのクリスマスディスプレイはディズニーとパートナーを組んでいるために映画「Frozen」のテーマソングが流れ、イベントも企画されているようですし、すぐ近くのTheatre Royal Drury LaneではFrozenのミュージカルが上演されています。

コヴェント・ガーデンのクリスマスツリー

高級ショッピング店街でブランドのお店が立ち並ぶボンド・ストリートの孔雀のクリスマスライトは、豪華さを漂わせています。話は18世紀に遡りますが、派手な服装をした男性たちがこの付近でよく見かけられ、彼らは「孔雀」と呼ばれていたそうで、それがクリスマスライトのデザインとして使われている理由のひとつという説もあります。

オールド / ニュー・ボンド・ストリート

クリスマスの風物詩はライトアップだけではありません。ロンドンではあちこちにスケートリンクができて、雪が積もることがほとんどないロンドンを雪国に誘ってくれます。自然史博物館の敷地内にできるスケートリンクは有名でしたが都会で野生動植物を鑑賞できるガーデンができるそうで、スケートリンクは今年が最後とのこと。他には政府関連機関他、ロンドン大学付属の美術館コートールド・ギャラリー他芸術、教育機関が備わるサマーセットハウスの中庭に造られたスケートリンクがあります。

サマーセットハウスのスケートリンク
© Luke Dyson

今年からシャンパンの製造会社モ・エ・シャンドンがパートナーになったこともあってスケートリンクの横のスケートラウンジではシャンパンに冬のスパイスを入れた季節のカクテルが人気です。

サマーセットハウスのスケートラウンジ
© Luke Dyson

ロンドンのクリスマスと言えば昔からの伝統であるトラファルガー広場のクリスマスツリーは欠かせません。それは商店街のクリスマスライトが始まるもっと以前からクリスマス時のロンドンの名物になっています。

第二次世界大戦中ノルウェーがドイツの侵攻を受けた際に、イギリスが遠征部隊を派遣してノルウェーを助けてくれたお礼として、1947年から毎年クリスマスツリーが贈られて来ます。それは樹齢50~60年の木で高さは20メートル以上あり、オスロに近い森で伐採され、その後船でロンドンに送られてきます。そしてツリーに飾られる500個の電球は毎年12月の第一木曜日に点灯式が行われ、この式自体が大事な行事のひとつにもなっています。イギリスのクリスマスツリーのライトの飾り方と違い、直立に並ぶライトはノルウェーの伝統を取り入れているからなのです。

ところで余談ですが、実はこのツリーは完全に無料でトラファルガー広場に来るのではありません。ノルウェーを出てからトラファルガー広場までこの2トンもあるツリーを運ぶ運送屋が、多分ウェストミンスター市に運賃を請求していると思います。その額は・・・・・1ポンド!こういうところがイギリスらしいではありませんか!つまりヴァンガードという運送会社がほとんど全ての費用を寄付しているようなものです。

トラファルガー広場のクリスマスツリー

ネルソン提督のコロムを背景に聳えるノルウェーのクリスマスツリー、現在はそれに加えクリスマス・マーケットも人気です。

トラファルガー広場のクリスマス・マーケット

イギリス人にとってクリスマスは家族や親しい友人と過ごす大切な時です。12月に入れば秒読み開始といったところでしょうか。それまではクリスマスに向けて着々と準備を始めるのが毎年この時期です。

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