UK Walkerではロイヤルファミリー担当記者のようになっておりますが(笑)、しばらくご無沙汰しているうちに、もうエリザベス女王がお亡くなりになって丸2年が経ちました。
エリザベス女王の命日(9月8日)に寄せて、女王のお馬担当の従者だったテリー・ペンドリー氏のインタビュー記事がデイリーメール紙に掲載されました。素敵なエピソードで、なおかつイギリス上流社会の英語が垣間見られる記事でしたのでご紹介します。
テリー・ペンドリー氏のインタビュー記事
~デイリーメール紙 Mail Online~
デイリーメール紙の該当ページは、こちらです。
【デイリーメール紙サイト掲載写真のご紹介】
上段:88歳になる直前、ポニーのエマに乗る女王とテリー・ペンドリー氏
中段:最後のお別れウィンザーのロングウォークで女王の棺を見送るペンドリー氏とエマ
下段:2021年7月2日、ロイヤル・ウィンザー・ホースショー2日目、ハイランドクラスとフェルズクラスに出場する馬を見守る女王2世とスタッドグルーム、テリー・ペンドリー氏
お亡くなりになる数週間前のこと。女王の希望でペンドリー氏は乗馬にお供しました。この時はもうだいぶ弱くなっておられたので、デイリーメール紙サイトの最初の写真のように馬で並んでではなく、女王から「私が落ちないように馬の横を歩いてちょうだい」とリクエストがありました。
28年にわたって女王に仕え、良き友でもあったペンドリー氏は、女王お気に入りの馬「エマ」のすぐ隣を歩きながらおしゃべり。お互い口には出しませんでしたが、多分これが最後の乗馬だろうとわかっていたとのこと。でも女王の体は年齢相応に弱っていらしたものの、気力はいつもどおりエネルギーに満ちていました。
ペンドリー氏は女王に、「エマと一緒に写真を撮りましょう。馬は26歳、陛下は96歳、これはなかなかの記録ですね」と言い、女王に写真を差し上げました。
翌日、女王はペンドリー氏に「あなた、昨日はずいぶん失礼だったわね」とおっしゃったので、ペンドリー氏は慌てて「大変申し訳ありません。私、何を申しましたでしょうか?」と詫びて尋ねたら、前日彼が「馬は26歳、陛下は96歳」と言ったことをさして、「私の年齢のことを言ったでしょ」と大笑いなさったのです。この時も楽しく朗らかな女王陛下でした。
女王がお茶目でユーモアたっぷりの楽しい方だったことについては様々なエピソードがありますが、これもいいお話ですね。
上流英語で使われる”What?”
さて、上流英語についてです。
ペンドリー氏が乗馬中の女王の横を歩いているとき、女王が「私が王女だったころから一度もこんなことはなかったわ」とおっしゃるので、「何のことでしょう?」とお聞きしたら「誰かがこうして私の(馬の)横を歩くことよ」とおっしゃった、というくだりがあるのですが、私が「何のことでしょう?」と訳した言葉は What? の一言なのです。
女王がおっしゃったことを聞き返す状況でのwhat、これは上流の人ならではの使い方です。ちなみにイギリス社会の「上流階級 upper class」とは、王族を筆頭に現在も「貴族」として生活している人たちだけを指します(貴族にもいろいろいます)。日本語での「上流」が指すイメージとは違うことにご注意ください。
私は残念ながらイギリス社会での上流階級の知り合いがいないので、この「聞き返すときに sorry?や pardon? などでなく単純に what? と言う」というのは知識として知っていただけだったのですが、この記事を読んで、本当に言うのね!と面白がった次第です。
キャサリン妃からのビデオメッセージ
さて、女王の命日の翌日には、今年3月にガンを公表してほとんどの公務から退いていらしたキャサリン妃の復帰を知らせる素敵なビデオメッセージ が発表されましたね。王室ファンとしてはエリザベス女王を懐かしみつつ、今はチャールズ国王はじめご一族のお幸せを祈るばかりです。
《ライター高島まきのホームページ情報》
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